猫とワンルームディスコ
コミックエッセイ『ただいまみいちゃん』では、ひとりの女性(踊るの大好き)と1匹の猫(踊るの大好き)のささやかな日常をお楽しみいただけます。第7話となる今回は、ふたりが住むおんぼろのアパートの一室で踊り狂うお話を描いてみました。ぜんぜん違う生を生きてきたのに、ヘンな一体感が生まれることってあるよね。
「ただいま」と言った瞬間からダンシングトゥナイト。午後8時、お腹の空いたみいちゃんが玄関まで迎えに来てパーティーが始まる。家に出る前にセットしておいた卓上式のミラーボールのスイッチを入れると築50年のボロアパートがサイケ空間に衣替え。バイブスが高まる。
お腹が空いたみいちゃんもテンションがマックス。ドライフードの袋を振ればマラカス、ラテンのリズムに心躍る私とお腹が空いたみいちゃんの食欲がシンクロ。私にもしっぽがあったらブンっと立てて振っていただろう。高揚する気分だけシェアして私たちはワンルームで盛り上がる。
音楽をターンオン。陽気な曲を流したらノリノリ。でたらめなリズム刻む私とエサをくれと鳴くみいちゃん。私たちはてんで違う生き物。欲しいものさえ一緒じゃない。だけど、この空間と高まる気分だけ共有している。
ここは6畳1間のダンスフロア。夏は湿気でカビカビ、冬は床の冷たさでしもやけ。ボロボロのダンスフロア、私たちのたのしい生活。
Text/佐々木ののか(@sasakinonoka)
Comic・Illust/池田明久実(元ぱの)(@panoramango)