趣里と菅田将暉が現代の若者たちを演じたラブストーリー『生きてるだけで、愛。』をチェック
「劇団、本谷有希子」の主宰としても知られ、16年に芥川賞を受賞するなど作家としても活躍する本谷有希子の原作小説『生きてるだけで、愛。』が映画化されました。主人公を演じるのは、活躍めざましい新進気鋭の女優・趣里と、若手人気俳優のトップに立つ菅田将暉。不器用な男女ふたりの、愛しく、切ないラブストーリーの誕生です。
◼︎本谷有希子の同名原作が映画化!
DRESS読者のみなさん、こんにちは。
今回みなさんにご紹介したいのは、劇作家・小説家の本谷有希子の同名原作を映画化した『生きてるだけで、愛。』です。
2016年に小説「異類婚姻譚」で第154回芥川賞受を賞した本谷有希子が、2006年に発表した『生きてるだけで、愛』は、第135回芥川賞候補に、のちに単行本が第20回三島由紀夫賞候補にもなりました。
本作のヒロイン・寧子は過剰な自意識に振り回されて、自分自身すらコントロールできず、現実との折り合いがうまくつけられない女性。
映画では、寧子の彼氏・津奈木のキャラクターを独自に膨らませ、他者とのつながりを求める現代の若者たちの姿をエモーショナルに映し出します。
◼︎『生きてるだけで、愛。』のストーリー
寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)は同棲して3年になる恋人同士。
メンタルに問題を抱え、鬱状態にある寧子は、バイトも満足に続かない。おまけに過眠症で、津奈木の買って帰ってくるお弁当を食べる以外は、敷きっぱなしの布団の上で寝てばかりの生活をしているのだった。
一方の津奈木も、文学に憧れて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事ばかりを任されることにやりがいを感じられず、職場での人間関係にも行き詰まっていた。
そんなある日、寧子がいつものように家で寝ていると、突然、かつて津奈木と付き合っていたという安堂(仲里依紗)が訪ねてくる。
寧子と別れさせて、津奈木を取り戻したい安堂は、寧子が津奈木から離れても生きていけるようにと、なぜか寧子の社会復帰を手助けするという。
寧子は、安堂の紹介で半ば強制的にカフェバーでバイトを始めることになり……。
◼︎主演ふたりの熱演に注目
本作の主人公・寧子(やすこ)を演じるのは、TVドラマ『ブラックペアン』のクールな看護師・猫田役も記憶に新しい趣里です。
俳優の水谷豊を父、女優の伊藤蘭を母に持つ趣里。
独特の雰囲気と個性を持った彼女が、鬱で過眠症というヒロイン・寧子を繊細な危うさと、感情豊かな力強さで見事に演じている姿は必見!
その圧倒的な存在感から、今後の活躍が楽しみです。
そして寧子の恋人・津奈木(つなき)を演じるのは、若手人気俳優の菅田将暉です。
社会や仕事への不満を抱えながらも、優しさと無関心がない交ぜになった男の存在感を、いつもより少し大人な表情と包容力で演じています。
閉ざされた心情と生き様を抑制の効いた芝居で魅せる様からは、不器用ながらも真っ直ぐな男の色気を感じます。
◼︎寧子と津奈木、恋の行方は――。
愛することにも愛されることにも不器用で、関係が成就する前に自ら壊してしまうような寧子。
他人と距離を保つことで傷つきも、傷つけもしないけれど、すべてを諦めているような津奈木。
いびつな自分を受け止めてくれる相手がお互いに必要だった、不器用な男女ふたりの関係は、寧子の前に津奈木の元カノ・安堂が現れたことから変化していきます。
ふたりはなぜ、惹かれあい、3年間も一緒に暮らしていたのか。
物語が進むにつれて「自分という存在を誰かにわかって欲しい」「誰かとつながりたいという」現代の若者たちのリアルな心情がどんどん浮き彫りになっていきます。
せめて一瞬だけでも、わかりあうことができたら…。とても愛おしく、とても切ない、そんな彼らの願いがヒリヒリと心に突き刺さります。
あまりに真っ直ぐで、あまりに不器用な男女ふたりのエモーショナルなラブストーリー『生きてるだけで、愛。』は、スクリーンでぜひご覧ください!
◼︎『生きてるだけで、愛。』公開情報
『生きてるだけで、愛。』
11月9日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
原作:本谷有希子『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫刊)
監督・脚本:関根光才
出演:趣里 菅田将暉 田中哲司 西田尚美/松重豊/石橋静河 織田梨沙/仲 里依紗
配給:クロックワークス
上映時間:109分
公式サイト:http://ikiai.jp
©2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会
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