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レズ風俗体験記。自分の性欲を否定してきた私が、性欲はあっていいんだと思えるまで

性欲を持つ自分を自覚し、セックスしたいと思ったみかさん。男性との性行為は抵抗感や怖さが勝り、たどり着いたのはレズ風俗でした。他者との肌の触れ合いや親密なコミュニケーションを経て、自らの性を否定しなくなったみかさんに、レズ風俗体験前後の気持ちの変化を綴っていただきました。

レズ風俗体験記。自分の性欲を否定してきた私が、性欲はあっていいんだと思えるまで

「性欲を持ってはいけない」「純潔を失ってはいけない」。自分に性欲があるのを自覚しながら、私はそれを否定して生きてきました。

「性行為をしたい」と思う自分を激しく嫌悪していました。だから、わけがわからなくて、とにかくつらかった。

官能小説を読むことも、AVを見ることも、自慰をすることも、そういったものに興味があることさえ周囲にバレてはいけないと、必死に隠していた日々。知られたら軽蔑されると、本気で信じていたんです。

30代を過ぎて処女であることも引け目に感じ、とりあえず誰とでもいいから身内にバレずに性行為を経験したい、という焦りもありました。

最初はホストクラブにでも行って、ホストに抱いてもらおうかと思ったことも。ただ、男性と性行為をするのは抵抗感があり、万一妊娠したら……という恐怖感もありました。

■初体験の相手は、レズ風俗店の女性キャスト

そんなときに、書店でたまたま『すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない』(著:御坊、WAVE出版)を見つけて、レズ風俗店というものがあると知ったんです。

同書で紹介されるレズ風俗店「レズっ娘クラブ」のサイトやキャストさんのブログを読み始め、思い切って予約。

最初にお会いしたキャストさんはとても素敵な方で、待ち合わせ場所でにこやかに話しかけてきてくれました。

ホテルでも優しく気遣いながら触れてくれて、たくさん抱き締めてくれました。お別れのときも名残惜しんでくれて、本当にうっとりするような時間だったと思います。

初めて他者と抱き合ったことは、肌の触れ合いで得られる解放感や安らぎを教えてくれて、自分の感覚を大事にしよう、自分の人生を生きようと決意するきっかけにもなりました。

(関連記事)レズ風俗のこと、真面目に知りたい――利用方法からできることまで、運営者に聞いてきました。

■「性欲はあっていいものなんだよ」に救われた

その後も定期的にレズ風俗を利用しました。毎回素敵なキャストさんのおかげで、楽しく充実した時間を過ごせていたのは事実です。

ただ、快感を受けて体が反応しても、そんな自分を軽蔑する自分がいました。だから、「性欲がある自分を認め、受け入れる」ことができず、利用した直後は満たされた気がしても、またすぐに虚しい気持ちになっていました。

転機があったのは、キャストさんに「性欲がある自分を気持ち悪いと思っている」「性欲がある自分を受け入れるのが難しい」と思い切って打ち明けたときのこと。

キャストさんは「性欲はあっていいものなんだよ」「性欲を自覚している◯◯さんは全然気持ち悪くなんてないよ」と、微笑みながら言ってくれました。

この瞬間、性欲を持った私自身が、初めて居場所をもらえた気持ちになりました。今まで排除して殺してきた私の一部を認めてもらえたから、本当に嬉しかったです。

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■性欲を自覚したっていいんだ、と思えるようになった

性欲を否定する私も、性欲を持った私も、等しく私の一部であって、どちらもあっていいんだという安心感を得ることができて、根本的な自己肯定感を築く第一歩を踏み出せたような気がしています。 

私が自分の性欲を極端に押し殺してきた原因のひとつは両親の関係です。不仲でケンカばかりする両親を見ていると、「私なんて生まれてこなければ良かった」と幼心に思いました。

性行為さえなければ、私は生まれずに済んだのだから、「性」が憎い。それでも私も「性」を持っていて、汚らわしくて気持ち悪い。

恋愛や結婚などなくなればいい。愛なんて幻想で、性行為はただの繁殖行動だ。私の穢れた遺伝子を後世に残す必要はない……。

そんな私が理想とする女性像は聖母マリアでした。「母」という女性性の象徴を持っていながら、純潔を保った処女である――その奇跡をとても尊く感じていたのです。

■自分の「性」を否定するのは、「生」をも否定すること

でも、キャストさんのおかげで、私は私自身を肯定することができるようになりました。性欲があるのを自覚し、受け入れていいんだと思えるようになりました。

とにかく誰とでもいいから性行為をしたい、という驚くような動機から、偶然出会ったレズ風俗ですが、ここまで自分の人生や価値観が変わるとは思っていなかったです。

「レズっ娘クラブ」経営者の御防さん、指名させていただいたキャストの皆さん、レズっ娘クラブに関わるすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。もしホストクラブに行っていたら、こんな未来はなかったのではと思います。

自分の「性」を否定することは、自分の「生」を否定することにもなります。性別や性欲の有無など関係なく、誰もが自分らしく生きられる世界になりますように。心から願っています。

Text/みかさん
正社員を目指すセクシュアリティ保留の30代フリーター。

協力/レズ風俗レズっ娘クラブ

画像/Shutterstock

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DRESS編集部

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