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“なよなよ”してるのはダメですか? W杯をきっかけに注目された「男らしさ」の行方

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「男性が強ければ国も強くなる、男性がなよなよしていれば国もなよなよする」。多くの人が熱狂したW杯が開催された7月中旬、中国ではこんな言葉がネット上で話題に。この表現を巡るネット言論をたどってみたところ、見えてきたものとは――。

“なよなよ”してるのはダメですか? W杯をきっかけに注目された「男らしさ」の行方

「男性が強ければ国も強くなる、男性がなよなよしていれば国もなよなよする」

多くの人が熱狂したW杯が開催された7月中旬、中国ではこんな言葉がネット上の流行語となりました。

W杯で決勝を戦ったフランスチームのキリアン・エムバペ選手の姿と、W杯出場を逃した中国で活躍する彼と同年代のイケメンアイドルの写真を並べてつけられたキャプションです。

「男性らしくない」アイドルグループの普及が、中国のサッカー界の弱さにまで影響を及ぼしていると言いたげな流行語。

しかし、この表現を巡るネット言論をたどってみると、却って今、中国では「男らしい男」の概念が変化しつつあることが見えてきました。

■「男らしさの欠如」へのバッシング

中国芸能界では今、「小鮮肉」と呼ばれる少年のような華奢な体つきに、整った顔立ちを備えた系統の男性アイドルが人気を博しています。

韓国アイドルの人気を受ける流れで、おおよそ2014年頃からそんなブームが起きています。韓流スターのように美しい肌を保ち、化粧を施してカメラの前に立つ中国アイドルたちが、小鮮肉・第一陣となったのです。

現在は「アイドル練習生」と呼ばれるアイドル育成のリアリティ番組が存在し、多くの小鮮肉が活躍しています。

今年は、2018年の干支戌年にちなみ、「犬系男子」というカテゴリが発明され、注目され始めています。可愛げがあって、若く、対人関係において相手の考えに従いやすいイメージの人物が犬系男子に分類されます。

映画『君の名前で僕を呼んで』で第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた、アメリカの俳優ティモシー・シャラメはこの犬系男子の例として挙げられています。

ここ数年、世間で人気を獲得してきたこうした「新型」の男性は、従来の「陽剛=力強く剛健な」「血性のある=義理堅い」「気性のある=強い感情を長期間持続させることができる」男性像とは真逆だと捉えられています。

小鮮肉と呼ばれるアイドルたちが注目されるにつけ、それに反感を示す「従来の男らしさを備えた男性だけが男性だ」といった声も聞かれるようになります。

そうした中で、「男性が強ければ国も強くなる、男性がなよなよしていれば国もなよなよする」という、現在の中国男性の「女性化」を嘆く言葉が出てきたのです。

■性別に関わらず、好きに生きる自由があるはずなのに

こうした意見を中国の人々はどう考えているのでしょうか。8月21日、ある大学教授によるコラムが発表されました。

教授は性別による「らしさ」は所詮社会が規定しただけであり、両性に境界線を引く指標は恣意的なものであると説きます。

そして、件のイケメンアイドルグループを引き合いにした「男性らしさ」の欠乏に対する一部ネットユーザーの嘆きに対しては、「男性の女性化」というテーマ自体がナンセンスだと主張。

性別にかかわらず、個人は個人が望む生活や装いを選択する自由があり、それを他人が非難する権利はないと断言します。

微博

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今、日本では、従来の「男らしさ」とは一線を画す男性を表す「ジェンダーレス男子」というカテゴリが存在します。

先日テレビ出演時に、夫婦間の家事分担についての発言が話題となった、タレントのりゅうちぇるさんもこのカテゴリに分類されるひとりです。

同番組内では95年生まれのりゅうちぇるさんと、50~60代の男性タレントとの価値観の違いが浮き彫りになり、Twitterではその際のりゅうちぇるさんの価値観や態度を褒め称える意見が多数ツイートされました。

中国版TwitterのWeiboでも同様にりゅうちぇるさんにの意見に賛同する声が見られました。中国人、少なくともWeiboユーザーの中には、夫婦間の家庭における役割分担は、性別によって規定されるべきではないとの価値観があるようです。

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■中国で「新たな価値観」が広まるのも時間の問題?

ここ数年、目覚ましい成功を見せる中国ビジネス。中国では「経済的に成功した者の意見が正しい」と考えられる傾向があります。

そのため、従来好ましくないと評価されていた組織やビジネスモデルであったとしても、商業的に成功すれば社会に受け入れられるケースも珍しくありません。

小鮮肉と呼ばれる彼らは、自分たちのような存在を好意的に受け止める人々に支持されることで、その存在感を高めてきました。

彼らは中国人男性に対して、「僕たちのように女性らしくあるべきだ」と価値観を押し付けているわけでは決してありません。それを美しいと感じる人々や自らそうありたいと願う人々が、自ら「従来の男らしさ」を捨て去ることで、小鮮肉人気が成立してきたのです。

今日、中国版TwitterのWeiboを覗けば、そこにはまだ「男性が女性を守るべきだ」「悪事を見つければそれを正しに走るのが男性らしい」との意見を見つけることができます。男女を規定する社会規範が柔軟であるかというと、そうでない部分もまだまだ残っています。

同時に今年、中国では「00後」(リンリンホウ)と呼ばれる2000年代生まれのうち、最後のひと世代が18歳という成人年齢を迎えました。デジタルネイティブであり、グローバル化の影響を多分に受けた彼らが今後、消費の主役になるでしょう。

市場における彼らの経済的な強さと多様な価値観が結びつくことで、中国社会のこれまでの価値観や規範意識が変容させられることは十分に考えられます。中国が古い価値観を脱ぎ去る日は、そう遠くはないのかもしれません。

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画像/Shutterstock

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山浦 雅香

85年生まれのアラサー、6歳息子と夫と三人暮らし。就職後2年目の27歳で出産し退職、子育て専業2年間、再就職のち2018年からフリーランスというめまぐるしい人生。大学時代の1年間の北京留学経験を活かして、現在は翻訳やウェブで...

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