40歳の誕生日を契機に「産まない人生」に舵を切ったつもりが、まさかの妊娠発覚。想像もしなかった出来事のあとに待っていたのは、崩壊していく思い描いていた未来と、価値観の変化だった。アラフォーで妊娠・出産することについて筆者の体験をもとに綴っていきます。
「小さいうちから預けるなんて、子どもがかわいそう」を考える【アラフォーで産む#8】
出産後もキャリアを継続したい女性にとって、いちばん心が揺れるのは「子どもがかわいそう」という周囲の声ではないでしょうか。 今回はキャリアを続けたい女性が直面する「出産を契機に仕事の仕方を見直したら?」という周囲の声について、筆者が考えていることをご紹介します。
■「子育て」ほど「正解」がよくわからないものはない
「アラフォーで産む」と決めてから、友人の話や育児書、そして先輩ママさんのブログなどを通じて、さまざまな育児ノウハウを知った。
その結果、私がいちばんびっくりしたのは「人によってずいぶんやり方・考え方が違う!」ということ。
たとえば、子どもの寝かしつけの方法。
月齢が若いうちから、時には泣かせっぱなしにし、睡眠リズムを無理にでも作った方がよいという考え方がある。この他に、1歳くらいまでは泣くたびにあやさないと、自己肯定感が育たないという考え方がある。
「子育てにはメソッドがある」と思っていた私には、寝かしつけの方法から断乳の時期、離乳食の進め方、トイレトレーニングなど……なにからなにまで、時には正反対の方法がそれぞれ良しとされている状況に驚いた。
■産後2カ月で保育園に預けるのはやっぱりかわいそう?
子育てのノウハウと同様に、出産後の女性の人生というのも、バラバラだ。
産前はフルタイムで働いていても、出産を機に子育てに専念する人。
パートタイムの仕事にとどめ、育児に軸足を置く人。
時短勤務でバランスをとる人。
そして私のように、なるべく働き方は変えずに育児を乗り切ろうとする人……。
人の数だけ働き方がある。
時に友人から話を聞いていく中で、言葉に詰まってしまうことがあった。
それはやはり産後2か月で子どもを保育所に預けるという、私のキャリアを優先する姿勢についてだ。
直接的に咎められたことはないものの、せめて1歳近くになるまではそばにいてあげた方が、産後直後の復職は体の負担も心配、というのは実の親からも含めて何度となくやんわりと諭された。
ただ育児休暇がなく、また日本支社がわずか5人という会社で働く私にとって、もっと月齢が進んだ状態まで子どもを育てる、というのは「現職を退職する」に他ならない。
幼い子の世話をしながら転職活動をするのは産後2カ月復帰するより大変だと思ったし、なにより「一定期間とはいえ、仕事を持たずに子育てに専念する」というのは性格的にどうしても耐え難いと感じた。
となると、私には産後2カ月で復帰するしか道はない。万が一それで子どもに悪影響が出ているなど感じることがあったら、それはその時に考えると決めた。
■子育てに「正解」はない。あるのは「こう育てたい」という思いのみ。
そもそもまわりを見渡せば、専業主婦の母親の元で育った人、バリキャリママの元で育った人、実にさまざまなご家庭で育った方がいる。
そして面白いことに「その結果どういう子育てをしたいのか」は人それぞれ。
専業主婦の家で育ったからこそ自分も子どもになるべく寄り添いたいと考える人もいれば、社会と繋がりが薄い自分の母親をみて、自分は出産後も仕事を続けたいと考える人もいる。バリキャリママの元で育っても「自分の子どもにはそういう思いをさせたくない」という人もいれば「母親がそうだったから自分も働くのは当たり前」と思っている人がいる。
子どもとどう関わっていきたいか、というのはよく考えるととてもパーソナルなことだ。
人生観そのものと言ってもいい。だから誰かの「こう育てたい」という思いを参考にすることはあっても、模倣する必要はない。今はそのように考えている。
■「バリキャリママ」に必要なのはお手本となる女性探し
とはいっても、「出産後もバリバリ働く」は日本においてはまだまだ少数派のように思う。
そのため「本当にこのままでいいのか」と不安になる機会は他の「こう育てたい」という女性よりも多い気がする。
そこでおすすめしたいのは、お手本となる先輩バリキャリママを探すこと。
私にとってはこの連載でも紹介した2児のママながら海外出張を定期的にこなすアメリカ在住の同僚Sと、22時までの延長保育をフル活用しながら深夜残業ありのマスコミ勤務を続ける友人のY。
ふたりの子どもがスクスク育っていること、そして彼女達の「子どももキャリアもあきらめない」という姿勢にとても勇気をもらっている。
繰り返しになるが、どういう子育てをしたいか、はどういう人生を送りたいか、と等しい。それはそもそも人それぞれなものだと思っている。誰かの「こういう人生がいい」を参考にすることはあっても、真似する必要はない。自分で決めた「こうしたい」に沿ってやっていきたい。