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2018年、プロレス界の「最高男」宮原健斗を観にいこう

宮原健斗さんは、全日本プロレスに所属するプロレスラー。1989年生まれの28歳。団体の顔として、全日本プロレスの人気再燃に貢献してきました。DRESSプロレス部 部長補佐の池田が注目する、プロレス界で輝く若手エースのひとりでもあります。宮原選手のインタビューをお届けします。

2018年、プロレス界の「最高男」宮原健斗を観にいこう

全日本プロレスのトップレスラー、宮原健斗さん。186cmの長身から繰り出されるパワフルで美しい技の数々と、相手の技を見事に受けきる、バランスの良い試合で魅せる選手のひとりです。

陽のオーラにあふれ、実力と人気を併せ持ち、とにかく華がある。そんな宮原さんに心奪われる女性ファンも少なくありません。2016年2月には、団体を象徴するタイトル「三冠ヘビー級王座」を史上最年少で獲得。

キメ台詞は「全日本プロレス、最高ですか!?」、ニックネームは「満場一致で最高の男」。団体の顔として、全日本プロレスの人気再燃に貢献してきた宮原さんは、試合後にマイクを持って、自身の言葉で締める機会が多いです。

「ジムでトレーニングをしていると、おじさんが近寄ってきて『この前試合観にいきました』と声をかけられて。さらに帰り際に僕のほうを振り返って、『最高です!』と笑顔で言って、去っていったんですよ。僕の台詞だけど……? と思いながらも嬉しかったですよ」

「最高」な男、宮原健斗が最高な理由は、実際に試合を観にいかなければわかりませんが、本インタビューで宮原さんの魅力に少しふれていただきたいと思います。

■数年後の目標は立てない。代わりに今日を全力で過ごし、未来につなげる

――2018年2月にデビュー10周年を迎えます。2014年に全日本プロレス所属となって、飛躍し続けている印象を受けますが、ご自身のなかではどんな気持ちでここまで走ってきましたか。

まったく満たされることはなかったです。たとえば、三冠ヘビー級王座をとったときは、もう少し感動するかなと思ってました。シングル(1対1での戦い)のベルトだし、しばらくは感動に浸るのかなって。でも、全然で。とった瞬間に先を見てました。

――先、というのは?

チャンピオンベルトが似合うレスラーになることです。当時はベルトに巻かれている感があったというか、ベルトを巻いてもしっくりきていない感じがあって。

――しっくりくるようになった、と感じるようになったのは?

1年3カ月、防衛し続けて、ベルトを手放したときでしょうか。ただ、ベルトのことは意識せず、常に一番上にいようという思いで戦ってました。半年くらいすると、自分がベルトを持っているのが当たり前、みたいな感覚になっていて、ベルトに成長させてもらいました。

外から「全日本プロレスのチャンピオンは宮原なんだ」と見られることで、押し上げられたんじゃないかなと思います。団体の顔として見られるわけですから、他団体のチャンピオンたちの存在は意識にありましたね。

――今、次の目標というか、どんな未来を見ていますか。

僕はあまり先の目標というものを立てないんです。数カ月後、数年後の目標を立てたところで、なかなかその通りにならないことが多いので。そもそも人生って、予期せぬことばかり起きませんか(笑)?

今年ヨシタツ選手(*)とタッグを組んだのも想定外でした。なんでこんな空気読めない人と一緒に……と最初は思いましたからね(笑)。でも、偶然は必然でもあって、起きたことにはすべて意味がある。だから、その過程ではがんばるしかない。

だから、今日という日に全力を注いで、明日からの未来につなげる。遠い未来の目標よりも、明日の目標を立てるんです。たとえば、今日(取材日は2017年12月17日)だったら、「埼玉大会を盛り上げるぞ!」とか。

*フリーで活動するプロレスラー。

――盛り上げるというと、宮原選手は試合中の華やかさが特徴的。人を惹きつける表現力の高さは、異業種の者からしても学ぶところが多いです。リング内で戦っているときだけでなく、待機している様すら絵になるというか。

僕はリング上で全身を使って表現するのがプロレスラーだと考えています。つま先から頭のてっぺんまですべて使って、エネルギーを吐き出す思いでリングに上っています。脚や手など体も使うし、表情や声も全部使う。

歌手が声で魅せるのと同じで、プロレスラーは全身で魅せるんですよね。だから、常にいろいろなエンタテインメントを観たり聴いたり、体験したりして勉強していますよ。お客さんに伝わらないと意味がないので、どうすれば確実に伝わるかは常に意識にあります。

■「リトル宮原」が宮原健斗を俯瞰的に見ている

――ご自身の試合を観返すことはありますか?

入場時のところしか観ません(笑)。あと、試合後にマイクを持って話すところも観ますね。今日もここに来るまでにチェックしてきましたよ(笑)。

――プロデューサーみたいな感覚で、客観的にチェックしているんですね(笑)。

「このときの入場はイマイチだな」とか「このカメラワークだと宮原の良さが出てないな」とか、逆に「この宮原はカッコいいな」とか、俯瞰的に、客観的に見ているリトル宮原がいるんです。「この間(ま)、いいね!」とか、ひとりで観ながら言ってますからね(笑)。

――プロレスラーに限らず、自分の映像や音声と向き合うと、想像していたのよりもカッコ悪くて、ダサい自分だなと感じて、穴があったら入りたい気持ちになります。でも、そうやって現実を直視して、自分をより良くしていくのは、魅せる職業の人でなくても、大事な姿勢かもしれませんね。

確かに自分のはずなのに、良くも悪くも、自分ではない人に見えることってありますよね。でも、常に自分を客観視して、良くしていくのは、変化していくためには必要不可欠なことなのかなと思います。僕は直感力を大切にしていて、直感で動く宮原をリトル宮原が見ていて動かしている感覚なんです。

――直感力。

自分が見て、どう思うか、どう感じるかを一番大事にしています。直感力で生きているようなものですね。7割の人が違うんじゃないかと思っても、自分が直感で「GO」と思えば、進んでいく。結果を出せば他人の評価なんていくらでも変わりますからね。

――試合後に、会場に来ている子どもを抱いて写真を撮る。あのパフォーマンスもご自身が思いついて始めたことですよね。

プロレス好きな父親と子どもの頃から、プロレス会場に行っていたこともあり、自分が子どもだったらこうされると嬉しいな、ということをしてるんです。僕はプロレスラーに抱っこされて、写真を撮ってもらったことはないですが、会場でプロレスラーに話しかけたことがあります。

それを20年くらい経った今でも覚えてるって、すごいことじゃないですか。だから、僕と写真を撮った子も、10〜20年後もいい思い出として残るんじゃないかと思います。某人気テーマパークで某人気キャラと撮影するのと同じような感覚ですよ(笑)。

■キャリアに依存しない。いつまでもフレッシュな存在でいたい

――プロレスラーになりたい、と思ったのもその当時、子どものころですよね。

小学校の卒業文集には「プロレスラーになりたい」と書きました。ただ、夢について親と直接話したことはなかったです。高校時代にレスラーになろうと思って受けた、健介オフィスの入門テストもひとりで決断して履歴書を送りました。

僕の信念のひとつに、「結果を出してから報告する」というのがあるんです。プロセスは見せたくないので、地元の仲間たちにも、デビューしてから報告しました。

子どものころからの夢を叶えた今、当時から変わっていないのは、プロレスへの気持ちです。プロレスという夢を、今も純粋に追い続けているというか。

――大学学祭でプロレスの興行をする「キャンパスシリーズ」もその一環なのでしょうか。プロレスと馴染みのない人にも観て、知ってほしい、広めたい、というプロレスへの愛が伝わるプロジェクトだと感じました。

大学生にプロレスを観てもらうチャンスだと思ったんです。秋に第1弾をしてみると、やっぱりあの世代にプロレスはまだ浸透していなくて。そのぶん、広がる可能性があるなと感じました。第2弾、第3弾があったり、大学以外の場で横展開することも考えられるでしょうね。

キャンパスシリーズを開催したおかげで、キャリアについて講演会をしてくれないか、と話をいただくこともあり、宮原健斗というレスラーを通じて、プロレスを広げるチャンスをたくさんいただけたのも嬉しかったです。

――2018年でデビュー10周年を迎えます。どんな気持ちですか。

昨日より今日、という風に変わりながらも、良い意味でキャリアを感じさせないレスラーになりたいです。デビュー10年も20年も変わらない、フレッシュなレスラーでありたい。小さい頃からのプロレスへの夢が変わらないので、ピュアさを失いたくないなと思っています。

(完)

宮原健斗(みやはら けんと)さんプロフィール

1989年2月27日、福岡県福岡市生まれ。全日本プロレス所属。父親の影響で幼少期からプロレスを好きになり、後にひとりで試合会場に足を運ぶようになる。中学で野球、高校で柔道に取り組む。高校卒業後、佐々木健介さん主宰・健介オフィスに入門。2013年にフリーとなり、全日本プロレス、プロレスリング・ノアに出場。2014年1月、全日本プロレスに入団し、2016年2月、史上最年少で三冠ヘビー級王座を戴冠。Twitter( @KentoMiyahara ) 

宮原健斗さんが所属する全日本プロレスの大会情報

「2018 ニューイヤーウォーズ」
2018年1月2日〜14日
http://www.all-japan.co.jp/events

「2018 YOKOHAMA TWILIGHT BLUES SPECIAL」
2018年2月3日、横浜文化体育館
http://www.all-japan.co.jp/events

「2018 エキサイトシリーズ 〜宮原健斗デビュー10周年記念大会〜」
2018年2月18日、福岡・博多スターレーン
http://www.all-japan.co.jp/events

構成/池田園子
試合写真提供/全日本プロレス

DRESS編集部

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