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妊娠という、何ひとつ思い通りにいかないプロジェクトで学んだこと【海外で、産む】

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2018年1月に出産を控えています。1年を振り返る代わりに、妊婦として生活してきた数カ月間を振り返ってみました。「妊娠=出産まで約10カ月のプロジェクト。私がプロマネ、私と夫がプロジェクトメンバー。そう難しくはないはず」と考えていましたが、実際は思い通りにいかないことの連続。でも、そこで得たものはたくさんありました。

妊娠という、何ひとつ思い通りにいかないプロジェクトで学んだこと【海外で、産む】

■プロジェクトマネージャーとして臨もうと思った妊娠期間

社会人になって17年目の今年。その期間の多くを「IT/Web/アプリ開発のプロジェクトマネージャー」としてキャリアを積んできました。

プロジェクトマネージャー、以下プロマネと呼びましょう。プロマネはざっくり言うと「担当プロジェクトを予定通りかつトラブルなくリリースする。そのためにタスク管理やスケジュール管理、リスク管理、品質管理、リソース調整、プロジェクトメンバーのマネジメント、社内調整を行う」仕事です。

古くはウォーターフォール、最近だとアジャイルやスクラム、カンバンなど、さまざまなプロジェクトマネジメント手法を学び、資格を取り、職場で実践し、日本だけでなく海外の多国籍な環境でも働いてきた私には、「妊娠=出産まで約10カ月のプロジェクト。プロマネは私、プロジェクトメンバーは私と夫。期間はそこそこ長いけど人数の少ない小規模プロジェクトだし、世界中のたくさんの人が経験していて実績もあることだから、そんな難しくないでしょう」と安易に考えていました。

性格上、考えられるタスクを洗い出し、多少のリスクを想定しながらスケジュールを決め、それをこなしていくことに喜びを感じるタイプです。ちなみにアドリブや急な無茶振りは苦手です。

そういえば子どものころ、遠足や修学旅行は「行く前までの準備に一番気合が入るタイプ」でした。

■でも妊娠してから、何もかも思い通りにいかなかった

新しいプロジェクトが始まるときというのは、事前に上司からある程度の情報共有があり、あれやこれやと準備を整えた上ででキックオフとなるものですが、妊娠においては当たり前ですが内示なんてありませんし、妊娠しているかどうかは医師に判断してもらうしかありません。

自分の体のことなのに自分で判断がつかないというのもイマイチ納得がいきません。

そして唐突に始まる妊娠期間。タスクリストを作りたくても、いつまでに何をすればいいのかまったくわからないので慌てて情報収集。高齢出産のおかげで、まわりに出産経験者が多いのは非常に助かりました。

土地勘のないマレーシアで出産するのも、自分で決めたこととはいえ想定外だったため、病院探しや情報収集に予定外のリソースを投入しました。

ストレスも多く、今思えばマタニティブルーの一環かもしれませんが、初期のころはよく号泣していました。何も言わずに話を聞いてくれたプロジェクトメンバー(=夫)に感謝です。

つわりの症状が軽かったので、妊娠初期はさほど苦労はしませんでした。ただ、安定期に入って体調が落ち着いたと思ったら、今度は本業の方で今までのようにフルパワーで働けないことが「自分の市場価値が下がる」と不安を呼び、これまたマタニティブルー。

「妊娠」自体に慣れてきたと思ったらすでに妊娠後期。体調面でまったく予想していなかったトラブルが発生し、この原稿を書いている今も、お尻の骨が痛くて歩くのもままならない状態です。

仕方ないので引っ越しの荷造りや家事全般はプロジェクトメンバー(=夫)任せ。家庭において自分のパフォーマンスを発揮できないこともストレスに感じました。

■リリース日、リリース手法すらコントロールできない

理論上の「出産予定日」はあるものの、実際にいつ出産するのかはそのときになってみないとわかりません。早まることもあれば、遅くなることもあります。いつ陣痛が来るのかなんて、誰もわかりません。

自然分娩を希望していても、胎盤の位置次第では帝王切開を選ばざるを得なかったり、計画出産したくて帝王切開をお願いしたくても、そういう事情は受け付けない医師がいたり。

私は無痛分娩を希望していますが、妊娠29週・32週の検診では子どもが逆子だったため、「34週の時点で逆子だったら帝王切開前提で予定を立てましょう」と言われました。

人生最大のプロジェクト、ましてや命がけなのに、自分の意思ではどうすることもできません。

■思いがけず得られた「よかったこと」

そんな、思い通りにいかないことだらけのプロジェクトですが、予想外の「よかったこと」がいくつかありました。

ひとつ目は、日本だとありがちなストレスがなかったこと。海外だからか会社に恵まれたのかマタハラに遭うこともなく、満員電車に揺られることもなく、厳しい体重制限で悩むこともなく、体調以外のストレスはほぼありませんでした。

ふたつ目は職場の部下の成長。内気で指示待ちタイプに見えた部下が、私の妊娠をきっかけに仕事に対する姿勢が変わりました。2017年のMVPとして社内で表彰されたくらいです。おかげで、産休中の業務に対する不安が少し減りました。

3つ目は、夫に惚れ直す機会が多かったこと。妊娠していなかったら決して垣間見ることのなかった優しさを何度も実感できました。もともと優しい人ですが、妊娠したことでますますその優しさに磨きがかかったように思えます。

お腹の子どもなんて、私よりも夫が話しかけた方が元気よく動いてくれます。住み慣れたフィリピンを離れて土地勘のないマレーシアで出産することにかなり不安がありましたが、結果的には夫の働く国に来て一緒に暮らすようになって正解でした。

■妊娠は「思い通りにいかない」を受け入れる器を備える期間だった

結果的に、「プロマネとして妊娠期間をスムーズに進める」という私の妄想は脆くも崩れ去りました。
これが仕事だったらグダグダ過ぎて我慢ならなかったことでしょう。

でもいいんです。友人に言われた言葉を思い出しました。

「妊娠期間中には思い通りにいかないことがたくさんある。でもそれは子育てでも同じ。むしろ子どもを産んでからの方が期間は長いんだから、思い通りにいかないことでカリカリしていたら身がもたない。

むしろ、『なんとかなる』『なるようになる』と楽観的になった方が楽。妊娠期間はそう思えるようになるための練習だと思えば?」

妊娠初期にこれを聞いて、「思い通りにいかないなんて絶対にイヤだ!」と余計イライラしたことがありましたが、仕事と違って妊娠期間のあれこれは、気負いすぎず流れに身を任せてもなんとかなるとわかってきました。不思議なものです。

お腹の成長と共に、私の人として・母としての器も大きくなっているのかもしれません。

あと1カ月で予定日を迎えます。何が起こるかわかりませんが考えても仕方ないですし、お腹の子は産まれたいときに産まれてくるでしょうから、それまでどっしり構えていたいと思います。

そういえば、お腹の子もすでにプロジェクトの立派な一員でした。むしろプロマネはお腹の子で、私と夫がそれを支えるプロジェクトメンバー。たまに理不尽なことを言う上司とそれに振り回される部下の関係に思えてきました。

そんな上司が相手だったら、プロジェクトが思い通りにいかないことばかりなのも仕方がありません。流れに身を任せようとしみじみ実感しました。少なくとも、プロジェクト進行がグダグダでも怒られることはありませんしね。

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suni

海外で働いています。1979年生まれ、千葉県出身。自称バリキャリからの33歳で無職→語学留学→34歳でフィリピン就職→35歳でインドネシアで働く日本人と交際開始→36歳で結婚し夫がインドネシアからフィリピンに移住→37歳で夫...

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