フィリピン発の本格ミステリー小説『Smaller and Smaller Circles(仮:迫る包囲網)』を翻訳出版したい!
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2055世界中の犯罪小説を出版する独立系出版社と、ユニークな作品を提案する作家エージェンシーが発掘したサスペンス小説!
フィリピンを舞台にした小説は限られていて、日本で数点刊行されているものの、手に取ったことがない方が多いのではないでしょうか。そんな中、フィリピンで生まれた本格的なミステリー小説『Smaller and Smaller Circles』を日本で出版しようとする企画が立ち上がりました。
フィリピンと聞くと何を思い浮かべるでしょうか。セブ島のビーチ? 混沌としたマニラの市街?
では、フィリピンの小説って読んだことありますか?
フィリピンを舞台にした小説は日本語や翻訳で何点かあるものの、手に取ったことがない方がほとんどではないでしょうか。そんな中、フィリピンで生まれたミステリー小説を日本で出版しようとする企画が立ち上がりました。作品タイトルは『Smaller and Smaller Circles』。
1997年夏、フィリピン・マニラ。ゴミ山がいくつもそびえるパタヤス地区で顔の皮を剥がれ、内臓を抜き取られた少年の死体が次々に発見される。
フィリピン国家警察から捜査への協力を要請された法人類学者のサエンス神父は、残忍な連続殺人鬼を見つけ出すため、かつての教え子で友人でもある心理学者ルセロ神父とともに全力を尽くす。やがて2人は心に深い闇を抱える犯人を導きだすのだが――。
本書のオリジナル版は、フィリピン国内で異例の発行部数を記録し、フィリピン国民文学賞など数々の賞を受賞しました。それが世界の優れたクライムミステリーを出版するニューヨークの出版社、Soho Crimeの目に留まり、大幅に加筆されて2015年にアメリカで刊行されると、フィリピン初のクライムフィクションとして多数メディアでも紹介され、英ガーディアン紙が「古典的で良質なシリアル・キラー小説」と絶賛しました。
そして今年、本書を日本の読者に届けるために、日本語版の出版を目指すクラウドファンディングプロジェクトがはじまったのです。
ここではこの作品のおすすめポイントをご紹介していきます。
まず注目したいのは、本書の出版に関わる女性たちです。著者のF.H.バタカンはフィリピン大学大学院で修士号取得後、政府の情報機関であるフィリピン・インテリジェンス・コミュニティーで10年近く勤務したのち、放送ジャーナリストとなったという異色の経歴をもちます。
諜報員とジャーナリスト両方の目を通してフィリピンの社会に向き合ってきた著者が書いたからこそ、本書はリアリティあふれる作品となったのです。
また、『Smaller and Smaller Circles』を発掘してアメリカに紹介したJacaranda Literary Agencyは南アジア初の文芸エージェンシーです。運営するのはインド、シンガポール、そしてフィリピンをそれぞれ拠点とする3名の女性。小説からノンフィクション、児童書に至るまで、アジアを中心とする優れた作品を欧米の出版社に紹介する橋渡し役として活躍し、世界中の出版社から注目されています。
アジアの文学作品が日本語に翻訳されることも近年は増えてきているものの、日本の翻訳文学市場のほとんどを占めるのは欧米の作品です。本プロジェクトには「西洋以外でも文学が書かれていること」をより多くの人に知ってもらいたい、そして「欧米の作品ばかり翻訳される流れを変えていきたい」という思いも込められています。
またエンターテイメント作品として面白いことはもちろん、フィリピンの社会問題を鋭く描いていることも本書の魅力です。ゴミ拾いをしてその日その日を生き抜く子供たち。腐敗に慣れきってしまっている警察組織。本書のオリジナル版が書かれたのは90年代ですが、フィリピンの状況が今も変わっていないことに著者は怒りをあらわにしています。
日々のニュースとは異なるレベルでフィリピンの実情を容赦なくつきつけてくる本書は、ミステリーや海外文学の愛読者に限らず、フィリピンをはじめとするアジア、国際情勢に関心がある人など、幅広い読者に受け入れられること間違いありません。
ぜひ、本プロジェクトのサポーターとして、翻訳出版を応援してください。
フィリピン発の本格ミステリー小説『Smaller and Smaller Circles(仮:迫る包囲網)』を翻訳出版したい!
https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2055世界中の犯罪小説を出版する独立系出版社と、ユニークな作品を提案する作家エージェンシーが発掘したサスペンス小説!
プロジェクトを主催するのは、クラウド・ファンディングを活用して世界中の本の翻訳出版を、という新しい出版の仕組みを提唱するサウザンブックス。2016年の設立後、すでに6作品の翻訳出版プロジェクトを成立させています。
そして、今回は出版翻訳を専門とする翻訳会社トランネットとのコラボ企画で、翻訳者はトランネットが主催するオーディションによって選定されるため、文芸作品の翻訳家デビューを目指す人にとっても、貴重なチャンスです(オーディション参加費やトランネット入会費とセットになったプランもあります)。
支援の募集期間は2018年2月3日まで。「出版記念イベントご招待」や「ロンドンブックフェアご案内」等のお楽しみプラン(数に限りあり!)や、書籍が一般販売価格よりもお得に購入できるなプランも用意していますので、ぜひご支援をよろしくお願いいたします。
先立って10月に開催された釜山国際映画祭でも上映された本作は、映画祭の創設者である故キム・ジソクを敬って新設されたキム・ジソク賞にもノミネートされました(受賞は吉田大八監督の『羊の木』)。残念ながら受賞は逃したものの、本作品が映画界でも高い評価を受けていることが窺えます。
出版翻訳専門の翻訳会社。年間約150冊、累計1800冊以上を翻訳。日々、日本の読者に読んでもらいたい海外の書籍を探している。