1. DRESS [ドレス]トップ
  2. 美容/健康
  3. 医師が実践する、アンチエイジングな食事術

医師が実践する、アンチエイジングな食事術

アンチエイジング生活、アンチエイジングを意識した食事を始めて7〜8年になる医師の今野裕之先生。自ら実践するなかで、老化はコントロールできる、と実感。アンチエイジング生活を始める上で押さえたい、「酸化」「炎症」「糖化」を詳しく解説します。

医師が実践する、アンチエイジングな食事術

歳をとるのは自然の摂理であり、決して悪いことではありません。しかし、老化が進んでしまうと、当然ながらがんや認知症など、加齢に関連するさまざまな病気にかかりやすくなり、見た目も老けてしまいます。

私自身は30代半ば頃からアンチエイジング生活を本格的に始めました。おかげで体内年齢は20代後半を維持できており、42歳になった今、実年齢より若く見られることが多くなってきました。老化のスピードはコントロールできるのです。

■老けて見えたくない……まずは「酸化」「炎症」「糖化」を知ろう

若く見える人と、老けて見える人は何が違うのでしょうか。長生きの家系、短命の家系があるのは事実で、生まれ持った遺伝子によって、老化のスピードが影響されている部分もあります。

しかし、一般的には遺伝子が寿命に影響する割合は約25%と言われています。なぜこのようなことがわかったかというと、まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児の、それぞれの寿命を調べたのです。

もし、寿命が遺伝子によって完全に定められているとすれば、同じ遺伝子を持つ双子なら、必ず同じ年に寿命を迎えるはず。しかし、実際はそうではありませんでした。

では、いったい何が双子の運命を分けたのでしょうか。これまでに寿命に関連する要因は数多く発見されていますが、中でも特に重要なのが、「酸化」「炎症」「糖化」という要因です。

酸化

「酸化」とは、いわば体のサビ。鉄でできたものがサビて赤くなり、ボロボロになった様子を思い出してください。

私たちの体の中でも同じようなことが起こっています。サビの元となる物質が作られるのは意外なことに細胞の中。

細胞が活動するためにエネルギーを作る際、その副産物として「活性酸素」という物質が作られます。この活性酸素は周囲の物質をサビつかせる力が非常に強く、遺伝子や組織を次々と傷つけてしまいます。

この活性酸素を消すために必要なのが、ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化作用を持つ栄養素。これらの物質が不足すると、活性酸素は体の中でいつまでも暴れ回ります。

炎症

「炎症」はいわば体内の火事。怪我をしたところにばい菌が入り、赤く腫れて膿んでしまったという経験は、皆さん一度はあると思います。

このように、炎症は体内に入った異物を除去する生体の防御反応であり、現実に火事が起こった跡に建物の残骸が残るように、炎症が起こった後にはダメージを受けた組織がその場所に残ります。

その部分は修復されるまで正常に機能しませんから、炎症が体中に起これば、それだけ体にダメージが溜まっていき、老化が進んでいくことになります。

さらに恐ろしいことに、老化とともにダメージを修復する時間が遅くなり、さらに老化した細胞は自ら炎症を起こす物質を分泌するようになるので大変です。

ちなみに、世界では老化した細胞を取り除くことにより、若返りを図る研究が続けられており、動物実験では良い結果が得られているようです。

将来、私たちもその恩恵を受けられるかもしれませんね。炎症を抑えるのに有効な栄養素は、オメガ3脂肪酸やビタミンD、そして発酵食品や食物繊維などを摂って、腸内環境を整えるのも重要です。

糖化

最後に「糖化」について。これは、血液中の余った糖がタンパク質と結合して、有害な物質になってしまうという、いわゆる体内のコゲつきのようなものです。

美味しいきつね色のホットケーキを思い出してください。あのきつね色のコゲが小麦のタンパクと糖が熱によって結合してできたコゲであり、一度ホットケーキになったらもとの小麦粉に戻すことはできません。

糖をたっぷり含んだ甘い飲み物やお菓子、そして炭水化物ばかり食べていると、糖化はどんどん進んでいき、それととともに体は糖に侵され、老化していきます。

最近ブームになっている糖質制限は、単にダイエット目的だけではなく、このような糖化のダメージを減らして老化を抑えることにも役立ちます。

このように、食事が老化のスピードに与える影響はとても大きなものです。前述の一卵性双生児の寿命の差は、食事の違いによるところも大きかったに違いありません。

■アンチエイジングを意識した食事を

見た目の印象を大きく変える肌に関して重要なのが、皮膚のハリに関わるコラーゲンですが、このコラーゲンもまた、「酸化」「炎症」「糖化」によってダメージが蓄積されると、シワやたるみの原因になっていきます。

しかも、コラーゲンは紫外線や大気汚染、外部刺激や細菌・ウィルスなど、外部からの影響もあって、体の皮膚の中でも特に老化が進みやすい部位です。

外からコラーゲンを食べれば、傷ついたコラーゲンを補えるのではないかと思われるかもしれませんが、コラーゲンの摂取によって、肌が若さを保てるかどうかは今のところ賛否両論あります。

コラーゲンは食べても腸から吸収するには大きすぎるため、消化して小さくしないといけませんが、小さくなった「元」コラーゲンの成分が、再びコラーゲンになるとは限らないからです。

体内に吸収されたコラーゲンの断片がコラーゲンの生成を促すことも言われていますが、健康食品やサプリメントからコラーゲンを摂るより、コラーゲンと同様に肌の原料となるたんぱく質を多く含む魚や卵、豆、肉などを毎日しっかり食事で摂る方が先でしょう。

また、コラーゲンを作るためには赤身の肉や魚・レバーに含まれる鉄、牡蠣などに含まれる亜鉛、パプリカや柑橘類に多いビタミンCも必要です。いずれも現代人には不足しがちな栄養なので、普段から意識して摂るようにすると良いでしょう。

皮膚が健康な細胞と入れ替わるのは約30日。栄養をたっぷり摂って、肌がきれいになった1カ月後の自分を目指して、健康的な食生活を楽しんでください。

2017年10月4日公開
2019年6月6日更新

今野 裕之

ブレインケアクリニック院長。精神医学とアンチエイジングに関する知識と豊富な臨床経験を背景に、体に優しい心の治療を実践。

博士(医学)、精神保健指定医、精神科専門医、日本抗加齢医学会認定医、美咲クリニック顧問、瞳美容研究所顧問、日本ブレインケア・認知症予防研究所所長。 著書に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術」など。

関連するキーワード

関連記事

Latest Article