「私」の人生、あるいは「家族」の人生――働く母として思うこと
チェコの片田舎で、３姉妹を抱えてのフリーランス生活。海外で、自分らしく笑顔で子育てするためにはどうすればいいのか。わたしが思うことを書き綴りました。
今週は、仕事の締め切りが重なっている。こんなときに限って、子どもは熱を出している。
だけど、在宅で仕事をする私には問題ない。
これが、私がフリーランスかつ在宅ワークを選んだ理由です。
■チェコに移住しても、仕事を辞めたくなかった
わたしの場合、夫の故郷へ移住ということで、当初、海外で仕事を続けることが最優先順位ではありませんでした。まずは、自分を含め子どもたちが現地に慣れること、言葉を覚えること、生活していくことが第一目的。
ただ、本当のことを言うと、日本を出るとき、自分の仕事は辞めたくなかった……。
子育てに追われながらも、いろいろな人たちの手を借りて、そのときできる限りを尽くしてきた仕事。それを移住を機に、終わりにはしたくなかったのです。
■出産を終えて、仕事再開への準備を始める
チェコに来てからは、慣れない海外での子育て。子どもたちも小学校へ通う年頃だったことから、しばらくは母子共々、慌ただしく日々が過ぎていきました。
その後３人目を出産してから、「そろそろ仕事再開に向けて準備をしておきたい」と考えるようになりました。
できれば、日本でしていたような仕事がしたい。
しかしながら、ここはチェコの片田舎。現地の人でも仕事がないと言っているのに、外国人の私に仕事があるとは思えない。実際、ハローワークにも通いましたが、まず希望する職種そのものの枠が少ない。おまけに、近場には希望する職場がない状況。
通勤に時間をかけて希望の職場へ行ったとしても、子どもは小さいし、急な病気で代わりに見てもらえる人もいない。日本と違って、チェコでは子どもの病気で親も休みをいただくことができますが、それでも急な休みは周りに迷惑をかけることには変わらない。
どこで、何ができるかと考えていたときに、海外在住でもインターネット環境が整っていれば、在宅で仕事ができるWebライターの仕事を見つけました。
まずは、そこに登録をして、最初は仕事量を控えつつ、実績作りをしていきました。以前と比べると仕事スタイルは変わりますが、専門分野での執筆だったため、充実した時間でした。
これが、子どもと笑顔で向き合いながら、私らしくいられる仕事への第一歩でした。
■次なる準備は「人とのつながり」を大切にすること
今は、一番下の子どもが幼稚園生なので、もうしばらくはこのまま在宅でやっていこうと思っています。ですが、その後は状況に合わせて、働き方を変えていきたいなと思っています。
現在はライター業と別に、自宅で日本語や折り紙、習字などを教えたりもしています。
今年のはじめに、この町の博物館で習字のワークショップを依頼されたのがきっかけですが、縁あって今ではそこへいらした方に自宅へ来ていただいてレクチャーしています。この博物館のイベントも、昔からの友人に声をかけていただきました。
チェコでは、フリーランスという形を取る人たちは多く、知り合いや友達のつてというのはよく耳にします。次なる準備は、人脈作りなのかもしれません。
■私の人生なのか、家族の人生なのか
海外での生活にも慣れ、愛する夫とかわいい子どもたちにも恵まれ、これ以上ない幸せですが、それでも時々、今の仕事は家族との折り合いをつけてのこと、と思ってしまう自分がいます。
身軽にはなれない自分がたまらなく嫌になるときもあります。もちろんそれは、時間が経てば改善される可能性もあるのですが……どうしても「今」動きたくなってしまうときがあるのです。ちょっと、欲張りですけどね。
そういうことをチェコ人の友達と話すと 「あなたが本当にしたいなら、誰がなんと言ってもやるべき。だって、あなたの人生だから」 と、よく言われます。
だけどそう言われると 「わたしの人生だけれど、わたしも含めた家族の人生だから」と答えてしまいます。はたして結婚後・出産後も「わたしだけの人生」なのかは断言できないのです。私の決断で子どもや夫の人生も変わってしまう、やはり、わたしも含めた家族の人生なのです。
家族みんなで笑顔になりたい。
だからこそ、柔軟な考え方やそれに対応できる自分でありたいと常々思うのです。
