クルージングで楽しむ華やかな旅【高田賢三】
パリ在住の世界的ファッションデザイナー、高田賢三さんによる連載。「華やか×◯◯」をテーマに毎月1本コラムをお届けします。第10回は「華やか×旅」でその思いを綴っていただきました。高田賢三さんが考える、華やかな旅とは――。
■‘73年、カリブ海で初クルージング
僕の初めてクルージングはカリブ海。
カリブ海は、皆さんもご存知のように、7000をも超える郡島や岩礁が点在し、それらがまるで宝石のように散りばめられている。そして船から見る島々は、太陽の光を浴びて輝きを放っていた。
訪れた先々の島では、まるで自分たちだけの空間と時間を手に入れているような気分にもなる。そこには、独自の風土と文化があり、歴史の面影が、街並みや暮らしの中にも色濃く息づいていた。
クルージングでの旅で、一番印象に残っているのは‘84年トルコへの船旅。その船旅は今までの船旅の中で、一番印象的で豪華でした。
今でも覚えていますが、部屋の名前が確か”シーザ”。澄み切った青空そして照りつける太陽。夕方、夕日が一番綺麗に見える場所まで、小さなボートに乗り換えて目的の場所までたどり着き、アペリティフを飲みながら、沈む夕日を眺める。
海に太陽が落ちていくような……それはどんな映画でも観られない、自然界を肌で感じられる、とてつもなく大きな自然というスクリーンの中で目の前に広がる美しい映像。美しい以上に感動的なひとときでありました。クルージングは、バカンスの醍醐味ですね。
■船旅は自然との共存のよう
バカンスでは、暖かく心地よい気候の場所を選ぶことが多いですね。前述したように、カリブ海やその後は、プーケットそして、ギリシャなどに訪れています。海・太陽・クルージングは、僕にとってバカンスと切っても切れないものになっていますね。
プーケットでは、ヴィラで過ごすこともありますが、数日間は友人の船で楽しみます。今年も行くことにしていて、ギリシャの旅。クルージングは欠かせません(笑)。
だいたい10人乗りくらいのヨットでの船旅。朝起きて、心地よい風を感じて、ランチを皆でワイワイお喋りしながら食べる。
ちょっと暑くなるとヨットから透き通る海に飛び込んで、泳いでみる。場所によっては、島を回ったり、名所を見たり……。また、日中はデッキで本を読んだり、皆でゲームをしたりと、本当にゆっくり過ごします。
他愛のない時間が最高に贅沢なときであると思うのです。そして夕方! やはり夕日を眺めるのが僕にとって1日のうち、一番の楽しみ。
夕日を探しにバカンスに行っているみたいですね。夕食はヨットで食べたり、2日に1回くらいは寄港して、その土地の美味しいレストランで旬な食材のメニューを堪能したり。
帆にまかせて旅をする。そんな何でもない時間こそが華やかな時間であり、華やかな旅であるのだと……。