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努力家と天才肌の、激しく鮮やかな対比に目を奪われる - 映画『ザ・ダンサー』が見逃せない理由

“モダンダンスの祖”と言われる伝説のダンサー、ロイ・フラー。〈シルクと光のダンス〉で世界を熱狂させた激しくも美しいその生涯が、彼女の伝記をもとに映画化されました。ロイ役には、マドンナも絶賛したミュージシャンのソーコ。ロイの最大のライバル、イサドラ・ダンカンをジョニー・デップの愛娘リリー=ローズ・デップが演じます。

努力家と天才肌の、激しく鮮やかな対比に目を奪われる - 映画『ザ・ダンサー』が見逃せない理由

◼︎映画『ザ・ダンサー』実話がベースとなったそのストーリーは?

父親を亡くし、ニューヨークで暮らす母を頼って生まれ育った町を離れたマリー=ルイーズ・フラー(ソーコ)は、幼い頃からの夢である女優になるため、オーディションを受け続けていた。

美人でも、スタイルが良いわけでもない彼女がやっとつかんだのは、セリフのないたった3分の出番だけ。ところが、この舞台でずり落ちそうになったスカートの裾をつまんで踊って見せたところ、観客から拍手喝采! 長いスカートの衣装と舞台装置のアイデアが閃いたマリー=ルイーズは、自らロイ・フラーというダンサー名を名乗り、ついに舞台デビューを果たす。

客席にいたルイ・ドルセー伯爵(ギャスパー・ウリエル)はロイのダンスに心を奪われ、ふたりの間には、友情のような愛情のような奇妙な関係がスタートするが……。

ある日、自らが考案したダンスを、別の女優に勝手に踊られてしまったロイは、特許を求めて、フランス・パリへと旅立つ。

有名なミュージックホール「フォリー・ベルジェール」にたどり着き、自ら設計した4色の光に照らされて、シルクの衣装で舞う世界で唯一無二のダンスを披露するロイ。

翌朝の新聞で、「夢の花が咲き開いた」と大絶賛され、一躍スタートなった彼女は、彼女を慕って集まった若いダンサーたちとともに、夢だったオペラ座での公演に向け、練習を重ねていく。

だがある日、若いダンサーの中にひときわ目を引く存在、イサドラ・ダンカン(リリー=ローズ・デップ)を発見し……。

◼︎『ザ・ダンサー』ってどんな作品? 見どころは?

見どころ1:実在のダンサー、ロイー・フラーの生涯に迫る!

映画『ザ・ダンサー』が描くのは、実在した天才ダンサー、ロイ・フラーの激しくも美しい半生。

1982年、アメリカに生まれ、幼少の頃から舞台女優として活動していたロイ・フラーは、ひょんなきっかけから、即興的に激しいダンスを披露し、観客を驚嘆させます。

後に「サーペンタインダンス」と呼ばれるこのダンスをきっかけに、単身パリに渡りセンセーショナルなデビューを飾ったロイは、アール・ヌーヴォー時代のミューズとしてパリのアートシーンに君臨しました。

画家・ロートレックや彫刻家・ロダン、芸術家・コクトー、作曲家・ドビュッシーなど名だたるアーティストを魅了した彼女は、独自にカラーフィルターを用いた色の照明を開発するなど、舞台演出の革新者としても活躍します。

本作『ザ・ダンサー』では、ロイがダンサーとしてデビューしてから、夢だったパリ・オペラ座での公演までの激しくも美しい道のりを、公私共に赤裸々に映し出します。

ソーコ演じるロイが、〈シルクと光のダンス〉〈鏡のダンス〉など、衣装をまとって激しく踊るシーンは圧巻です!

見どころ2:美しすぎる情景。パリ・オペラ座での撮影を敢行!

バレエの殿堂、パリ・オペラ座での公演を夢見るロイ。本編の最後で踊られる〈鏡のダンス〉は実際のオペラ座で撮影されました。

撮影が許可されたのは、なんと夜中の2時〜朝の8時までの一晩だけ!

それでも、「撮影が許可されたこと自体が特別なこと」と本作の監督・脚本を務めたステファニー・デイ・ジューストは語ります。

見どころ3:ロイとイサドラ、ふたりのダンサーのぶつかり合い!

実話をベースにした作品でありながら、本作では主人公ロイ・フラーと、彼女が目をかけ、後に最大のライバルとなるダンサー、イサドラ・ダンカンとの確執をドラマティックに描いているのも見どころです。

努力と発明でダンサーへの道を駆け上がっていたロイと、持って生まれた華と才能で周囲を魅了するイサドラの対比は切なくも情熱的で、愛憎渦巻くふたりの関係から目を離すことができません。

◼︎マドンナも認めた! ミュージシャンsoko(ソーコ)って?

本作のロイー・フラー役で主演を務めるのは、1985年フランス・ボルドー生まれ、現在31歳のソーコ(本名:ステファニー・ソコリンスキ)。

16歳のときにパリに出たソーコは、演劇学校をはじめ、いくつかの学校に通うものの途中で退学してしまいます。

ですが、自宅で自主制作したミニアルバム中の1曲『I'll Kill Her』がデンマークをはじめとした北ヨーロッパを中心にヒットし、ステラ・マッカートニーのショーにも使用されるなど、一気に頭角を現しました。

さらに2014年、彼女の曲『We Might Be Dead by Tomorrow』をフィーチャーしたファッション・ブランド、レンのプロモーション短編映画『First Kiss』がYoutubeにアップされたのをきっかけに、この曲が全米ビルボードのシングル・チャートでいきなり9位にランクインし、話題騒然となります。

映画にも早くから出演を続けており、2009年にはグザヴィエ・ジャノリの『A l'origine』でセザール賞、2012年にはアリス・ヴィノクールの『博士と私の危険な関係』でロミー・シュナイダー賞にノミネートされるなど好評価を得たソーコ。

本作でセザール賞の主演女優賞にノミネートされ、ミュージシャンとしてだけでなく、女優としてもその活躍の幅を広げています。

2016年国際女性デーのためにマドンナが制作したショートフィルム『Her Story』では、マドンナと念願のコラボを果たし、話題を呼びました。

Instagramのフォロワー数も183千人を誇るソーコ。最近では『Your name. (君の名は。)』も観たようですね!

◼︎本作のもうひとりのミューズ:リリー=ローズ・デップ

本作でロイ・フラーに見出され、のちにライバルとなる新人ダンサー、イサドラ・ダンカンを演じるのは、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘、リリー=ローズ・デップ。

名付け親はマリリン・マンソンという、生まれながらのスター。そんな彼女のあまりの美しさから、目を離すことができません。

ロイを発明と努力の人だとするならば、イサドラは生まれ持った美しさと存在感で圧倒する天才型。まさにリリー=ローズにとってハマり役ともいえます。ロイに感情移入して見ると、そのあまりのスター性に敗北感を感じてしまうほどです。

ソーコ演じるロイ・フラーのド迫力のダンスや、オペラ座をはじめとする美しい情景もさることながら、イサドラ・ダンカンを演じるリリー=ローズ・デップの瑞々しい美しさだけでも一見の価値ありな本作。

凝った衣装と舞台装置で観客を感動させるロイと、その身ひとつの優雅な舞で人々を魅了するイサドラ。真反対の二人のダンサーの鮮やかな対比を、スクリーンで確かめてみませんか?

『ザ・ダンサー』は、6月3日(土)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamura ル・シネマ他全国にて公開されます。

◼︎『ザ・ダンサー』公開情報

『ザ・ダンサー』
6月3日(土)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamura ル・シネマ他全国公開
監督:ステファニー・ディ・ジュースト
出演:ソーコ『博士と私の危険な関係』、リリー=ローズ・デップ『Mr.タスク』、ギャスパー・ウリエル『たかが世界の終わり』
配給:コムストック・グループ
上映時間:108分
公式サイト:http://www.thedancer.jp/
© 2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR - WILD BUNCH - ORANGE STUDIO - LES FILMS DU FLEUVE - SIRENA FILM

古川 ケイ

映画・ファッションライター。女性誌や女性向けWeb媒体を中心に、新作映画やオススメのファッションアイテムなどを紹介しています♫

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