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映画『素晴らしきかな、人生』感想。豪華キャストで贈る感動のヒューマンストーリー

『プラダを着た悪魔』を手掛けたデヴィット・フランケル監督の最新作『素晴らしきかな、人生』。すべての大人たちに贈る”人生のドン底の乗り越え方”【シネマの時間】第3回目は、『素晴らしきかな、人生』の魅力と感想をアートディレクターの諸戸佑美さんに語っていただきました。

映画『素晴らしきかな、人生』感想。豪華キャストで贈る感動のヒューマンストーリー

こんにちは。アートディレクターの諸戸佑美です。

厳しい寒さも和らぎはじめ、春の訪れを感じる季節となりましたがいかがお過ごしですか?

3月は、希望や愛に溢れた季節である一方で惜別の情にかられる切ない時期でもありますね。【シネマの時間】第三回は、そんな出会いと別れの春におすすめの映画『素晴らしきかな、人生』をご紹介させていただきます。

■映画『素晴らしきかな、人生』人生のギフトを見逃さないで

すべてが上手くいく人生なんてあり得ない?
誰にでも訪れる人生の試練、失恋、家族や仲間との別れ、仕事の失敗ー

『プラダを着た悪魔』(’06)で多くの女性を夢中にさせたデヴィット・フランケル監督が、今度は世界中の大人たちに向けて”人生の試練から再び歩み出す力”を与えてくれます。

ニューヨークの広告代理店の共同経営者として大成功を収め、華やかで順風満帆な毎日を送っていた主人公のハワード(ウイル・スミス)でしたが、愛娘を難病で亡くしたことで生活が一転、深い喪失感に見舞われます。

別れを経験しない人生など皆無に等しいですが、それが大切な人との永遠の別れになった場合の傷心は深くはかりしれません。

笑顔が消え仕事にもやる気を持てず、次々と契約を打ち切られるようになり、会社は倒産寸前。
まさに人生のドン底へ転がっていくのです。

会社の将来を不安視する同僚たちもそれぞれに深い悩みを抱えていますが、ハワードをなんとか失意のどん底から救い出そうとあらゆる手を尽くします。

そんなある日、ハワードの前に「愛」「時間」「死」と名乗る奇妙な3人の男女が現れ、彼の人生が再び動き始めます。

あなたなら試練をどう乗り越えますか。
あなたなら大切な友人が人生のドン底で悲しんでる時どうするでしょう。

仕事に手がつかないほど悲しみに暮れているハワードが、会社になんとか出社するも愛好しているドミノをこどもの様にただ組上げている様子が印象的に描かれています。

壮大なドミノが冒頭とラストで倒されていくのですが、築きあげたものが一瞬にして次から次へ崩れ去るようにも、かけがえのない縁が見事に繋がっていくようにも見え象徴的です。

美しいニューヨークを舞台に、ファンタジックな感動のヒューマンストーリーを是非ご堪能ください!

■素晴しい脚本にアカデミー賞豪華キャストが集結!

映画『素晴らしきかな、人生』は、アラン・ローブによる素晴しい脚本をもとにアカデミー賞常連の豪華キャストが集結しています!

主役のニューヨークで広告代理店の経営者であるハワードを務めるのは、『インデペンデンス・デイ』(’96)、『幸せのちから』(’06)などハリウッドを代表する正当派俳優として活躍するウイル・スミス。

これまでの役とは違うシリアスな役を、奥深く繊細に演じて魅力的です。

そんなハワードを気にかける同僚の3人にも実力派豪華キャストが起用され、ビジネスパートナーのホイット役には『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(’14)でアカデミー助演男優賞ノミネートのベテラン俳優エドワード・ノートンが抜擢。

顧客担当のクレア役には、映画『愛を読むひと』(’08)でアカデミー主演女優賞に輝いたケイト・ウィンスレットが務め、また、『オデッセイ』(’15)などで名脇役との呼び名も高いマイケル・ぺーニャが顧問のサイモン役を演じています。

更に、ハワードを救おうとする舞台俳優たちには、『クイーン』(’06)でアカデミー主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンや『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(’03)で一躍人気を博したキーラ・ナイトレイ、『メイズ・ランナー』(’14)で知られる新星ジェイコブ・ラティモアの3人が扮しています。

他にも『007 スペクター』(’15)のナオミ・ハリスがカウンセラー役で登場するなど、主役級の名優たちが脇を固めておりワクワクする競演に見応え十分です。

■心を動かす魅力的なセリフ、言葉の数々

3月は出会いと別れのシーズンでもあり、これからの未来や可能性に夢を膨らましながら、希望と不安な気持ちでいっぱいな方も多いと思います。

この映画は、主人公だけでなく登場人物みなそれぞれに深い悩みを抱えているのですが、そんなすべての大人たちにそっと優しく寄り添い、心温めてくれる作品です。

”どんなドン底に陥ってもそこには必ず人生のギフトがある”という強いメッセージ性を軸に物語が展開しており、心に響く言葉の数々も魅力的できっとあなたに力を与えてくれるでしょう。

例えば冒頭、広告代理店の代表であるハワードが社内の若き従業員に向けて、熱くスピーチをする場面があります。

「君の”なぜ”への答えは何だ? なぜ今朝も起きた? なぜ朝食を食べた? なぜその服を着た? なぜここへ来た?」

「会社に来るのは繋がるためだ。人生は人がすべて。」

「広告は人に伝えることがすべてだ。いかにその商品やサービスが暮らしを豊かにするか。」

「愛と時間と死。この3つが地球上のすべてのひとをつなげる要素だ。誰もが求めたり避けたいもの。誰もが買ってしまうもの。なぜなら人は常に愛を渇望し、時間を惜しみ、死を恐れるからだ。」

「愛と時間と死、そこから始めよう」

この場面では、ニューヨークで広告代理店の経営者としての主人公の考え方が語られており、その後の展開の伏せんとして重要なシーンなのですが、私自身とても興味深く惹き込まれました。

ニューヨークであんな素敵なオフィスを持てるなんてもともとこの主人公は、とても優秀な方だと思うし、私もニューヨークで機会があればぜひ仕事をやってみたいです。

主人公は、愛娘を亡くしその信じている概念「愛」「時間」「死」の三つに向けて、宛先のない手紙を書くようになるのですが、書くという行為は、心のセラピーにもなるのですね。

又、「殻を脱いで人生を変えよう」というコピーが、キーラ・ナイトレイ扮するエイミーが登場する場面であるのですがホイットとのやりとりも含めて素敵でした。

映画では、悲しみに暮れるハワードを救おうとする人達との絆を中心に、日常の積み重ね、身の回りのささいな優しさや美しさも次第に彼の心を癒して新たなる人生の一歩を導いてくれています。

辛い時、直接言葉をかけてもらうのも嬉しいですが、一緒に時間を共有したり、精神的にでも寄り添いそばにいてくれる存在は本当にありがたいものですね。出会いは財産だとしみじみと思います。

ぜひ、みなさんもお気に入りのシーンや言葉に出会ってみてください!
観賞後、今まで人に言えなかった悩みなども自然と話せたりして、語り合いたくなる映画です。

■ニューヨークの美しい街並やファッションも見所!

摩天楼のマンハッタンや、お洒落スポットのブルックリンなど、一度は行ってみたい憧れの街ニューヨーク。

劇中では、スノードームのようなクリスマスシーズンのニューヨークを、イルミネーションなどで美しく演出し、夢のニューヨーカーライフを随所で追体験することができるのも見所の一つです。

主人公のハワードが勤務する会社は、実際にニューヨークの広告代理店“Wieden+Kennedy”で撮影されたもの。洗練されたリアルなニューヨークのオフィスの様子を楽しめます。

又、最近のニューヨーカーの間では、環境活動の一環として、自転車での移動がスタンダードとなりつつありハワードも日常的に地下鉄を使いこなすのはもちろんのこと、自転車でイースト川に架かるウィリアムズバーグ橋を渡るシーンもあり素敵です。

更に、名所から最新トレンドまで、ニューヨークの人気スポットが登場。

話題のホイットニー美術館のレストランや、100年以上の歴史を持つ高級デパートバーグドルフ・グッドマン、ラストシーンではセントラルパーク内の最もエレガントなゴシック・ブリッジが映し出されるなど、ニューヨークの街の持つお洒落な雰囲気をスクリーンで堪能することができます。

もちろん本作は『プラダを着た悪魔』や『マイ・インターン』(’15)に続き、華麗なるファッションも満載です。

衣装を担当したのはリア・カッツネルソン。着用ブランドは、プラダ、グッチ、クロエ、トム・フォード、ジル・サンダー、イザベル・マランなど豪華キャストの着こなしにもご注目ください!

■動画(予告編)

■映画『素晴らしきかな、人生』作品紹介

2017年2月25日(土)より「TOHOシネマズ六本木ヒルズ」「丸の内ピカデリー」ほか全国順次ロードショー!
公式ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/subarashiki-movie/

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.,VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT, LLC

原題:COLLATERAL BEAUTY
製作年:2016年
製作国:アメリカ
映倫区分:G
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:94分
監督:デイヴィッド・フランケル
脚本:アラン・ローブ
製作総指揮:トビー・エメリッヒ、リチャード・ブレナー、マイケル・ディスコ、マイケル・ベダーマン、アンカー・ルングタ、ピーター・クロン、スティーヴン・パール、ブルース・バーマン
製作:トビー・エメリッヒ、マイケル・シュガー、アラン・ローブ、アンソニー・ブレグマン
撮影:マリス・アルベルチ
美術:ベス・マイクル
衣装:リア・カッツネルソン
音楽:セオドア・シャピロ
編集:アンドリュー・マーカス

■『素晴らしきかな、人生』キャスト

ハワード=ウィル・スミス
ホイット=エドワード・ノートン
クレア=ケイト・ウィンスレット
サイモン=マイケル・ペーニャ
ブリジット=ヘレン・ミレン
マデリン=ナオミ・ハリス
エイミー=キーラ・ナイトレイ
ラフィ=ジェイコブ・ラティモア

アートディレクション・編集・絵・文=諸戸佑美

諸戸 佑美

本や広告のアートディレクション/デザイン/編集/取材執筆/イラストレーションなど多方面に活躍。

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