ミラノでお気に入りのアンティーク探しを~ミラノ通信#4
ミラノのナヴィリオ運河沿いでは、毎月最終日曜日に、「大骨董市」というアンティークの市場が開催されています。わざわざ「大」と呼ぶだけあって、500余りの出展者が2キローメートルほどのエリアに並ぶ大きな規模です。アンティーク市の様子と買い物のしかたなどをミラノ在住河見さんにレポートしてもらいました。
ミラノでは月一度、ナヴィリオ運河沿いに「大骨董市」がたちます。毎月最終日曜日の早朝から、500余りの出展者が軒を連ね、骨董好きや観光客、天気が良い日には散歩がてらぶらぶらひやかしに来るミラネーゼたちで日没まで賑わっています。
大きなものはダイニングテーブルと椅子に始まり、ソファ、棚などの大型家具、レトロなテレビや電話、蓄音機、置時計、飾り棚、ランプに絵画、置物まで、ありとあらゆる家具やインテリア用品が揃います。
キッチン関連の食器やカトラリーには掘り出し物が期待できます
キッチン関連もいろいろと揃います。カップ&ソーサーや食器など、こちらは地方の旧家の蔵から大放出されたものが並ぶラッキーなタイミングだと、いまは生産されていない珍しい絵柄のリチャード・ジノリのセットが破格で見つかることも。
こんな掘り出し物は、とうぜん瞬く間に売れてしまうので、本気で掘り出し物を探すなら、搬入後に商品を並べている朝一番に行くのがおすすめです。
カトラリー、銀器などシルバー専門店、テーブルクロスやナプキンなどリネン専門店なども、いくつもの専門店が出展しています。
シルバーは丁寧に磨き、リネン類もきちんと洗ってぴしっとアイロンをかけ、次の世代が譲り受けて使っている古きよきヨーロッパの伝統。代々受け継がれるものを次の世代に渡すまで、大事にメンテナンスしながら使って引き継いでいくって、なんだか素敵ですね。
使い込まれたものには独特の風合いがでてくるので、どこか温かみを感じるところがアンティーク好きを惹きつけるのでしょうか。
目利きの力が試されるファッションアイテム
ファッション部門も、毛皮専門店やサングラス専門店、服や靴、バッグ、アクセサリーのセカンドハンド的な商品を並べる店、レース専門店などさまざまです。
有名ブランドのバッグや靴、小物が並ぶ店もありますが、本物かどうかは自身の目で確かめるしかなさそうです。
ブランドではなくても、イタリアで手作りされた1920年代から1960年代のバッグは、丁寧なつくりに、レトロな雰囲気があり、いま持っても十分に魅力的なものがたくさんあります。値段は30~400ユーロほど。ファッションのアクセントに、お気に入りのひとつを探すのも楽しいですね。
上の写真は、ヴェネツィアのムラーノグラスをつかった1960年代のクラッチバッグ。120ユーロ。シンプルなワンピースにシルクのロンググローブをつけて、こんなクラッチとともにお出かけしたら、いつもと違う気分で楽しめそうです。
下の写真は、発色の綺麗な1970年代のシルクスカーフと、アンティークなチェーンに現代の生地を組み合わせた作品。古いものだけではなく、アンティーク素材を使った新品もあるのです。スカーフ、バッグともに20ユーロ。
冷やかし気分で見て歩いても楽しめます
骨董市は高価なものから安価なものまで、価値ある骨董品からガラクタまで玉石混交。ある人には価値がなくても、ある人には価値があるのが面白いところです。
ぶらりと散歩がてらのぞいてみて、お気に入りが見つかればラッキー、くらいの気持ちで行ってみると、意外な掘り出し物に出逢うことも!
ほかの都市でも定期的に開催される骨董市
イタリアではミラノやローマ、フィレンツェ、アレッツォなど各都市から小さな町まで、定期的にアンティークマーケットが開催されています。のんびり長閑な雰囲気なのは、どこの骨董市を訪れても驚くばかり。本当に売る気があるのだろうか? と疑問に感じるくらい、売り手も座って寛ぎ仲間とお喋りしたり、売り物のテーブルにランチを並べてワインを飲みながら座って食事中、なんていう光景もよく見られます。
お互いにハッピーな気持ちになるのがイタリア式お買い物
呼び込みなど一切ないけれど、質問すると親切になんでも教えてくれるので、興味あるものがあればぜひ、店のご主人に話しかけてみることをオススメします。意外なストーリーを知ることができたり、値引きにも応じてくれますよ。
支払いは、たいていの店でカードが使えます。カードならいくらまで、現金ならさらにもう少し安くするよ、と、たいてい現金のほうが割引率は高くなります。
「シニョリーナ(お嬢さん)には、特別にまけちゃうよ~」なんていいながら、びっくりするくらい値引きしてくれることも。おしゃべりしながら、相手も自分も楽しくすごし、お互いハッピーな気持ちになるのがイタリア式お買い物術なのです。
下町情緒を楽しめるナヴィリオ地区
ナヴィリオ地区は下町情緒あふれる雰囲気で、運河沿いには常設の古本屋やヴィンテージショップ、歴史あるレストランが立ち並びます。新しくオープンしたギャラリーやモダンなレストラン、カフェも次々にオープンしている注目エリアでもあり、骨董市の開催日には朝から晩まで営業している店がほとんどです。
運河沿いにゆっくり散歩くらいのペースで歩いて30分ほどの距離なのですが、お店をのぞきながらひと周りすると、2時間くらいはかかります。興味の度合い、掘り出し物の遭遇率にもよりますが、じっくりみるならなら3~4時間は必要なところです。
カフェやレストランも充実していますので、前後にランチやアペリティーボしながら、半日コースだと十分満喫できます。
ミラノ滞在中に開催されていたら、一度のぞいてみると素敵なご縁がまっているかもしれません。
ミラノ大骨董市(Mercatone dell’antiquarito sul Navigilo Grande)
地下鉄ポルタ・ジェノヴァ駅から徒歩5分ほどのナヴィリオ運河沿いで開催。毎月最終日曜日だが、7月はお休み。大雨など荒天の場合は、出展がほとんどありません。