なんとなく疲れた、何もしたくない。がんばりすぎた日は「自分をやさしく許す」こと
なんとなく疲れた、何もしたくない――どうしても元気が出ない日がある。仕事に、家事に、恋愛に……わたしたちの毎日は忙しい。どれも大切にしたいから、いつだって全力投球。だからこそ、たまには力を抜いてみることで、疲れた何もしたくない状態から抜け出そう。がんばりすぎたあなたへ届けたいショートストーリーです。
■なんとなく疲れた日、ダメな自分を見つけて泣きたくなる
なんとなく、疲れた日。
仕事で大きなミスをしたわけじゃない。なにか、傷付くことがあったわけでもない。はっきりとした理由なんてないけれど、なんだか、疲れた。どうしても元気が出ない。
毎日、やらなくちゃいけないことに追われて、誰かに気を使って、ひたすらに走って。そうしていると気づかないけれど、ふと、疲れた自分を見つけてしまう日がある。
どうしても、不安で
どうしても、泣きたくて
なにもかも、上手くいかなくて
なにもかも、投げ出したくなって
そんな自分を見つけてしまう日が、ある。
なんてダメなんだろうって、否定する気持ちを、ため息に溶かす。
ぼんやりとしながら、スマホを手にとる。
親指でスクロールした先の世界は、どれも、まぶしい。わたし以外のすべての人が素晴らしく思える。並んでいる写真はすべて、きらめいて見える。うらやましい。
眺めていると、わたしなんてますますダメな人間に思えてしまう。画面が流れていくたびに落ち込んでいく。ああ、見なければよかったと、自分を責める。
誰かにすがりたくて、友人にメッセージを送る。
――なんか、疲れた。
すこし経って、返信がくる。
――どうしたの?
――ちょっと弱ってるかも。
――大丈夫?
――元気ない。ダメだね~。ごめんね、突然。
――弱ってもいいんだよ。そんな自分も許そうよ。
……許す?
はっきりとした理由がないのに、元気のない自分を? もっとがんばっている人はたくさんいるのに、こんなにもダメな自分を?
思いがけないことばだった。自分では考えもしなかったから、すこし驚いた。どうにかして元気になって、早く前に進めるようにしないと、って思うんだけどな。
彼女は、続ける。
――だって、ダメって思うとさらに苦しいでしょ?
――ほら、わたしたち、真面目だからさ(笑)。
――弱ってる自分を否定して、落ち込んじゃう。
――でもね、そんな自分を許していいんだと思う。
――わたしたち、ちゃんと、がんばってるよ!
■疲れた。何もしたくない。そんな日は「がんばった日」
毎日、仕事をしたり、家事をしたり。気づかないうちに、わたしたちは、一生懸命になっている。大人になるとあまり言われないけれど、みんな、「がんばりやさん」だ。
がんばっている、なんて、言っちゃいけない?
本当にがんばっていたら、そんなこと言わない?
たまにはいいじゃない。すこしくらい。
それぞれの場所や方法で、わたしたちはみんな、がんばっているから。
だから、疲れた自分も、どうしても元気が出ない自分も、ダメだなんて思わずに。憧れたり、嫉妬したり、ときどき、揺らいだり。あなたになりたいと、わたしでありたいを行ったり来たりして、矛盾するときだってあるけれど。
そんな自分もいるよね、そんなときもあるよねって、やさしく許してあげよう。
「許す、かぁ……。」
友人が送ってくれた、その言葉を、何気なく調べてみた。許すには「ゆるめる」という意味もあるみたい。
そういえば、最近、新しい仕事に取り組んでいて、考えなきゃいけないことが多かった。成功させないとって必死だったし、いつもより気を張っていたかもしれないなぁ。
ゆるめる。そうだよね。たまには、いいよね。
わたし、ちゃんと、がんばってる。ダメじゃない。
うんと伸びをしてみる。両手を思いっきり上にあげて、ストンと下ろす。深く息を吸って、ふうっと吐きだして。たったそれだけでも、ふしぎと楽になれた。そっか、いつの間にか、力を入れっぱなしだったのかもしれないなぁ。
わたしたちはきっと、もっと、自分を許してもいい。
抱えすぎて、苦しくなって、疲れてしまったら。
がんばっている自分を、見ないふりせず、受けとめて。
ゆるめて、心をふんわりと軽くしよう。
許すことで、また、笑えたらいい。
あせらず、ゆっくり、進んでいこう。
ライター/物書き