顔も出演作も覚えているのになぜ……有名人の名前を忘れてしまう原因と対策
テレビを見ながら「このタレント、何ていう名前だっけ」と思ったことがある方は多いのでは? 思い出せなくてムズムズする……そんな方向けに、『「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方』著者の宇都出雅巳さんが、有名人の名前を忘れてしまう原因と対策をご紹介します。
「あれ? 忘れてた……」
仕事をはじめ日常でよく起こる「もの忘れ」や「ど忘れ」。
記憶力の悪さや歳のせいにしがちですが、実はそうではありません。
先月の記事「思い出せないと困る……ビジネスシーンで名前を忘れない方法」、「
再設定するのも面倒……パスワードを忘れない簡単な方法」に引き続き、「あれ? 忘れてた……」がなぜ起こるのか? どうやればそれが防げるのかを、『「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方』など多くの記憶に関する著作がある、記憶術の専門家・宇都出雅巳さんに解説していただきます。
■「覚えている」確信があるからイライラする
前々回の記事「思い出せないと困る……ビジネスシーンで名前を忘れない方法」で、名前というものが覚えにくく、忘れやすいことはすでに説明しました。
ただ、仕事で会った人の名前の場合と、芸能人などいわゆる有名人の名前の場合では、「あれ? 忘れている」のメカニズムは少し違っています。
まず、ひとつめの違いは、「名前自体はしっかり覚えているという確信がある」こと。
歌手や俳優など芸能人の場合、名前を目にする機会は多いものです。このため、名前自体には馴染みのある場合がほとんどです。
そして、「あれ? あの芸能人の名前は……」と気になるのは、名前をはっきり覚えていない芸能人ではなく、よく名前も知っている芸能人の場合です。
「覚えている」という確信が強いがために、「どうして思い出せないのだろう」とイライラしてしまうのです。
そして、もう一つの違いが、思い出せない原因は、その名前を忘れているからではなく、そのほかの人の名前の記憶が邪魔して起こること。
その芸能人の顔を思い出すと、その人に関係する芸能人の記憶も活性化して浮かび上がってきます。最初にそちらの名前に意識が向いてしまうと、なかなかそこから抜け出せず思い出せなくなるのです。
たとえば、「“あ”から始まる都道府県は?」と聞かれて、「青森県」とすぐに浮かんだのはいいものの、焦るとなかなか「青森県」から意識が離れず、ほかの都道府県が思い浮かばなかったりします(ほかには、秋田県、愛知県があります)。これと同じ現象です。
■無理に思い出そうとしないのがコツ
では、どうすれば、なぜか出てこない芸能人の名前が思い出せるかというと、がんばって名前を思い出そうとしないことです。
先ほど解説したように、実際にはもうすでに名前も思い出せているのですが、そのほかの芸能人の名前が邪魔していて、そこにたどり着かないだけだからです。
代わりに、その芸能人の顔や格好、出ていたドラマや映画、歌っていた曲など、名前以外のことで楽に思い出せるものをとにかく思い出すのです。
そのなかで、また、関連する芸能人の名前が浮かんできますが、そこにとらわれず、思い出したい芸能人に関連するイメージだけに絞って、浮かんでくる名前は絡まった糸をほぐすように整理していきます。
すると、ふっと、正しい名前が浮かんできて、「そうそう、これだ!」とわかって安心できるのです。
このように、「あれ? 忘れた……」と思っても、よくよく見つめてみると、単に忘れたのではない場合がよくあります。忘れてはいないけれど思い出せないこともあれば、今回の例のように、思い出しているのにほかのものに邪魔されている場合もあります。
くれぐれも、「あれ? 忘れた……」というときに、自分の記憶力の低下や悪さを嘆くような見当違いのことはしないでくださいね。嘆けば嘆くほど、さらに覚えにくく、忘れやすくなるので。
どんな「あれ? 忘れた」があるかは、よくある21のケースを取り上げて、それぞれを分析している拙著『「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方』でチェックください。
次回もまた日常でよく起こる「あれ? 忘れた?」の具体的ケースを取り上げ、記憶の正体と忘れないためのコツをご紹介します。お楽しみに!
■講座案内
東京の日本橋三越本店・三越カルチャーサロンで宇都出雅巳さん本人による短期講座:「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方 が開催されます。2016年11月20日(日)14時からです。
詳細・お申し込みはこちらから ⇒
短期講座:「名前が出ない」がピタッとなくなる覚え方
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。