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既婚者の元彼から連絡がくるとき

結婚した元彼から連絡が来た。交際していたのは20年も昔の話。そこまで月日が経っているのに、未だに戸惑いと懐かしさと少しの切なさも入り混じった感情が込み上げる。数年に一度誘われて会っていた元彼。当時付き合っていた彼から約6年ぶりに突然電話がきた――。

既婚者の元彼から連絡がくるとき

電話が得意でない私は、メールやLINEはするが要件がなければ通話はしない。平日の夜22時、珍しく着信音が鳴った。誰だろう……携帯を手に取ると、ひどく懐かしい彼の名前が表示されている。一瞬電話に出るかどうかためらうも、少し慎重な様子で「はい」と出てしまった。夜間だし、きっと酔って何かの勢いで電話してきたのだろうとは思ったが、電話の声は意外にも普通だった。

彼はひとつ年上で当時私が21~23歳くらいのときに付き合っていた。私は人よりお付き合いした男性の数は多いと思う。今まで彼氏何人いた? と聞かれたら即答できない。指折り数えて振り返らないと思い出せない。

そんな私の男性遍歴の中でも絶対に忘れない人がふたりいる。むしろ、そのふたりが強烈過ぎて、そのほかの関わった元彼たち群がだいぶかすむ。そして、そのふたりの中のひとりが彼で、いわゆる社内恋愛である。

彼が新入社員として4月に配属してきた日のことは今でも覚えている(私が短大卒で彼が大卒)。固い挨拶をして何だか緊張している人だなと思った。しかしそのイメージも入社数日で崩れる。大学時代にアメフトをやっていた彼はカッコ良かったし、明るく元気で素敵だった。会話をする前からどうやら私の事を気に入っているという噂を聞いた瞬間、私も急に意識しだし、皆で後楽園に行ったり、BBQに行ったりしながら徐々に徐々に距離を縮めていった。

そして忘れもしない、8月3日の神宮花火大会、偶然かどうかは今でも謎だがふたりきりで帰ることになり、駅のホームで告白されて付き合うことになった。実は当時私には彼氏がいたのだけど、それを知っていて告白をしてきてくれた。

■彼からのプロポーズを断った理由

彼と付き合った2年半余りはとても楽しいものだった。かなりモテるタイプの人だったけれど、約束通り浮気の心配は皆無だったし誠実だった。彼といるといつも笑顔でいられた。朝お茶して、日中仕事で会って、夜はデートもしくは電話、そして週末も一緒。はぁ、今では考えられないラブラブっぷり! 恋は盲目とはこのことだ。

しかし、いつか結婚してもいいなと思っていた彼なのに、ふたりの間に歯車が狂いだしたきっかけは、多分私にあるのかもしれない。彼は早くから結婚を考えていてくれたし、転勤したらついてき来てほしいとまで言ってくれたのに、当時の私の答えは「今はまだ無理だよ」だった。

手に職なり、自立した何かを持っていない自分が嫌だったのでまだ早いと思ったのだ。結婚したら家庭に入ってほしい彼と、結婚しても外に出ていたい私とではそもそも考え方が違ったのかもしれない。

安定を求める彼と変化を求める私。そうしながらも彼との付き合いは続いていたのだが、私が外の世界を見れば見るほど、彼は私に不安を感じているようだった

別に彼のことを嫌いになったとか冷めたとかでもないのに、徐々に追い詰められたような気になり、私の方から距離を置こうと言った。結局その後、別れたのだけど、彼は同じタイミングで傷心した女の子とすぐに意気投合し、私と別れて1カ月半後に付き合い始め、そのまま地方に転勤が決まり、1年後には結婚してしまった。

キツかったのはその女性も同じ社内だったこと、「もし全員が敵になっても俺は絶対に理央を守るからね」と言っていた彼が、真っ先にあらぬ噂をたてたり周りを巻き込みながら攻撃をしてきたりして、人は豹変するんだなぁと思ったこと。それでも私は表面的には冷静に淡々と仕事をこなした。

内心ボロボロだったけれど、今まで仕事をがんばってきたのに彼のせいで辞めるなんて意味がわからないし、プライドもあった。

松江 理央

東京出身。医療現場で働いた後インド、イタリアへと単身旅行。趣味は油絵、読書、麦酒、オーラソーマカウンセラー取得。

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