綺麗なランジェリーで人生が変わった
綺麗なランジェリーに出会ったのは、離婚を機に7年の専業主婦生活にピリオドを打ち、自信がないまま再び社会に出たときだった。そんな石川智恵さんは、鏡を見て「私、こんなに綺麗だったっけ?」と驚きます。その後、新たな目標ができて、人生はいくらでもやり直せると実感し――。今回は中編です。前編から合わせてお読みください。
■綺麗なランジェリーを身に着けたい
前編でご紹介した、私の人生を変えるきっかけとなった、フランスで140年以上の歴史を持つランジェリーブランド「Aubade」(オーバドゥ)。とても綺麗なランジェリーだ。
フランスではAubadeを身に着けると女性のランクが上がるとも言われ、自分の娘が20歳の誕生日を迎えるときに、大人の女性のしるしとして母親がAubadeをプレゼントするとも言われている一流ブランドだ。
思いきって購入した。
その日は帰ってすぐに着用して、鏡に映った自分のランジェリー姿を何度も何度も見た。
喪失感に加え、心身ともに落ち込んでやつれていた自分に、一気にパワーが注がれたと感じたことを、いまでもはっきり覚えている。
■ヨレヨレの下着は「もう絶対着られない!」
「このランジェリーが似合う女性になろう!」
心に誓う。
それからは上質な輸入ランジェリーがほしくてたまらなくなった。
次に色違いの赤を買った。
今まで自分が何も気にせずに着用していた、アンダーも伸びてよれている下着がとても恥ずかしくなった。もう着けられないと思った。
そうして、いつしか上質な輸入ランジェリーの虜になっていた。
今までの自分を変えたいと思っていたように、これまで持っていた下着をすべて捨てた。
ここから上質なランジェリーと共に私の人生が大きく変わり始めた。
■やりたいことを口に出し、挑戦し続ける人生が始まった
まず目標を立てた。
上質なランジェリーが似合う女性になる!
そのためには仕事をバリバリやって、7年間に及ぶ社会人生活のブランクを取り戻すべく、誰よりも働く! そして、ランジェリーのプロになる!
自信のない自分をなんとかしたいと思うならば、自信が持てる自分になれば良いんだ。
やりたいことを常に口に出す。書いてみる。やってみる。
毎日それらを意識し、実践して生活していると、会社からの信頼もいただき、営業や販売、販促、イベントの企画など一通りのことができるようになっていった。
百貨店やセレクトショップの方ともたくさん知り合えた。たくさんの人に助けられた。出会いがとにかく楽しかった。
今にして思えば、専業主婦として毎日してきた家事や料理の段取りも、もしかしたら仕事に役に立っていたのかもしれない。
もしも今、悩んでいる方がいたらお伝えしたい。
人生に無駄なことはひとつもない。
自信があるかないかは自分が決めることではない。
何かを始めるにあたって遅いということはない、と。
現在のポーランドランジェリーの仕事のお話をいただいたのは42歳になるときだった。
35歳のときは、自分が就職なんてできるはずがないと思っていた。
当時の自分には考えられない、42歳での転職。
■それでもときに、現実は厳しかった
といえば、ランジェリーの道を順風満帆に走ってきたかのようなサクセスストーリーのように聞こえるが、決してそんなことはなく、もがき苦しんだ3年間もあったのだ。
ポーランドランジェリーの仕事に至る前には、飲食や食品業界での仕事も経験していたから。
ランジェリーの事業部から飲食、食品事業への社内異動。
当時、会社の新規事業として新宿にイタリアコーヒーのカフェをオープンするにあたってショップマネージャーと同時に、イタリアコーヒーとイタリアのオーガニックオリーブオイルの卸売営業担当の仕事を受けることになった。
ここでランジェリーの仕事からはいったん離れることになる。
突然、飲食、食品業界に移りゼロからのスタート。
自分にうぬぼれていたのかもしれない。
商材は変わっても私なら成功できると思っていた。
しかし、そう現実は甘くはなかった。
カフェは業績不振でクローズとなり、コーヒー豆とオリーブオイルの卸売営業担当だけになった。
(後編に続く)
※ この記事は2016年5月19日に公開されたものです。