枯れた観葉植物と終わった恋の捨て方
**「私」(40代ワーキングママ由樹子)の目を通した「ちょい足しボタニカル生活」をお届けします**
職場の後輩・ステ子の話が止まらない。頬を紅潮させ、ランチ中ずっと弾丸トークだ。話の中心は、ステ子が週末に参加したという「元カレ元カノフリーマーケット」というイベントのことだ。処分に困っている元カレ元カノとの思い出の品を持ち寄り、売りさばくという、なんとも斬新なフリマらしい。
「いくら元カレからもらったものでも、パワーストーンとか捨てたら縁起悪いじゃないですか。フリマ会場にはお坊さんの“思い出供養コーナー”もあって、ぬいぐるみとかアクセサリーとか売る前に、ちゃんと供養してくれるんですよ。私の思い出の品が誰かの役に立ってくれたら、それはそれでハッピーだし。売れましたよ、ミキサー。5,000円で。買ってくれた男子がけっこうイケメンで。ふふっ。ついでにLINEも交換しましたっ」
元彼がグリーンスムージーを作るために買ってくれたというミキサー。それを手放したステ子の表情は何かが吹っ切れたように明るい。確かに終わった恋の思い出の品をいつまでも持っていても前には進めない。なるほど、そんな決別の仕方もあるのかと感心してしまう。こんなにあっけらかんと話す彼女だって、きっと眠れない夜があったはずだ。でもすぐに次の1歩を踏み出そうとする、彼女のしなやかな若さが、少しうらやましい。
「だけど生ものはダメって言われて、元彼が買った観葉植物の鉢だけが残っちゃったんですよ。こういうのってどうやって処分したらいいんですか? とりあえず視界から消したくてベランダに放置しておいたら、もうこんなに枯れちゃって、生き返るのムリって感じなんですけど」
ポットの中で何か得体の知れない植物が干からびている画像を見せられた。私は以前、花屋のおばさんから教わった方法を口にした。
「植物だから土に埋めて自然に返してあげるといいらしいわよ。庭とかマンションの植え込みとか」
「そっかーそうですよね。土に返してあげたら他の植物の栄養になるかもしれませんしね。さすが由樹子さん。帰ったらやってみます!」
植物は生き物だから、無造作に燃えるゴミで捨てるのはためらわれる、そんな感性を持ったステ子はいい子だなあと思う。またお気に入りの観葉植物と出会いたらいいね。
人もモノも自然も植物も、この世の中を循環しながら生きている。誰かが誰かの役に立ちながら。
+++ もなみのちょい足しポイント +++
観葉植物を枯らしてしまうと、ちょっと罪悪感を感じます。それは「生き物を世話できないダメな自分」を突きつけたられたように感じるからかもしれません。なんとか延命方法を教えて!という方もいますが、残念ながらカラカラに干からびてしまった観葉植物は元には戻りません。家の庭、マンションの植え込みや花壇などの土に埋めて処分してあげましょう。人形供養や針供養と同じで、しかるべき始末の仕方をしてあげれば、捨てる罪悪感より植物への感謝を感じることができるはずです。あ、でも大きな観葉植物はゴミ袋に入る長さに枝を切って、燃えるゴミに出してくださいね。不法投棄になってしまうといけないので(笑)。