夫婦のセックスレス、どう向き合う? 専門家が解決法をアドバイス
夫婦なのにセックスレス、夫婦だからこそセックスレス。「みんなどれくらいセックスしているの?」「そもそもセックスレスの定義って?」とモヤモヤを抱えている方も多いのでは?セックスレスの定義からみなさまのリアルなお悩み、そして専門家のアドバイスをご紹介します。
■「セックスレス」とは
記事中の写真はすべてイメージです
セックスレスは一般的に、「カップル・夫婦間で性交に近い性的な接触が月1回以下、さらにそれがかなり長期間にわたることが予想されている状態」と定義されています。
日本老年行動科学会セクシュアリティ研究会が行った夫婦間のセックス頻度についてのアンケート調査(※)では、40代女性のうち30%が「この1年まったくセックスをしていない」、そして24%が「年に数回程度」と答えています。冒頭のセックスレスの定義に当てはめれば、40代の日本人女性のおよそ半数がセックスレスということになります。
夫婦間のセックスレスは、放っておくと関係性に亀裂がはいりかねない深刻なトピック。この記事では夫婦がセックスレスに陥ったきっかけやセックスレスの対処法について、経験者の声を交えて紹介します。
最後には、数々のセックスレスカップルを救ってきた“ラブライフアドバイザー”OliviA(オリビア)さんのアドバイスも。セックスレスに悩む方は、ぜひ最後までお読みください。
■セックスレスになったきっかけは?
あなたはどうしてセックスレス? ということで、夫婦がセックスレスになったきっかけについて、リアルな声を集めてみました。
仕事が忙しくて……
産後に拒んだら誘われなくなって……
子どもたちと同じ部屋だから……
親の介護をきっかけに
太った体を見せたくなくて
セックスレスになった体験談を集めてみると、仕事に子ども、介護など、「夫婦以外の問題」が最初の原因となる夫婦が多いようです。そういった環境の変化をきっかけにどちらか(または双方)のセックス意欲が減退し、その後誘いづらくなりセックスレスに……というのが定番のパターンと言えそうです。
■夫婦のセックスレスについて、どう感じている?
モヤモヤ悶々するセックスレスの悩み、みなさんの気持ちと対処法とは?
もう諦めて漫画や動画で発散
本当はしたいのに言えないからひたすら我慢
割り切って外で発散!
拒んでいたら夫は浮気に走り、私はひとりに
「セックスレスでもまったく気にしない」という人ももちろんいると思いますが、やっぱり「本当はしたい」「性欲が満たされない」と感じている人が多そうです。セックスがないことよりも、必要とされていないように感じる寂しさが身に沁みている方もいるようです。
セックスをしないからといって、人間性を否定されたわけでも、嫌われたわけでもないはずです。でも実際にセックスがなくなることで、自分の存在価値に疑問を感じてしまうことも。
■セックスレス 夫側の意見
夫婦間でセックスレスに陥っている夫の気持ちも調査してみました。彼らはセックスレスについてどう感じているのでしょうか。
妻に拒まれて心が折れて
愛猫に見られているとたたない……
出産してから子ども中心の生活になりレスに
そもそもセックスはしたくないので……
セックスレス夫婦の夫側に話を聞いたところ、「妻が応じてくれなくなった」というケースが散見されました。そのきっかけの多くが出産。子どもを産んでから1年間は夜泣きや授乳、おむつ替えの対応で大忙しなので、セックスする心のゆとりがありません。女性としては「わかってちょうだいよ」と言いたいところですが、そのときに拒まれたことがトラウマ気味になっている男性も少なからず存在するのです。
もちろん、セックスは夫婦といえども、お互いの合意がなければ成立しません。妻がセックスを拒否したとしても、それは誰に咎められるものでもないはずです。だからこそ拒否されたときには、一度なぜセックスが嫌なのか、そして今後ふたりの間でセックスはどのようなルールで行うものにするのかなどを話し合う機会が必要なのです。
■セックスレスって何が悪いの? セックスレスの弊害
人間の三大欲求といえば、食欲、睡眠欲、そして性欲です。
食べなければ死ぬし、寝なくても死ぬ。ところがセックスがなくても、健康が損なわれることはありません。だからこそセックスレスは軽視しがちだし、悩んでいても誰にも相談できませんよね。
とはいえセックスレスの状態が続けばさまざまな弊害が生じることも。セックスレスから生まれる問題を3つ紹介します。
ささいなことを不満に感じ始める
「本当はセックスしたい」
「誘ってほしい」
「どうして拒否するの」
こんな不満が日々少しずつたまっていくと、セックス以外のささいなことも気になり始めます。これまでは気にならなかった付けっぱなしのトイレの電気に腹が立ったり、テーブルの上に放置されたマスクにいらついたり。
愛情を確かめる機会がひとつ失われる
夫婦の繋がりはセックスだけではないものの、セックスはとっても重要な要素。セックスの最中だけはスマホもサブスク動画も見ず、お互いを見つめ合い没頭していますよね。
その時間が10分であれ1時間であれ貴重。セックスレスになるということは、夫婦だけの時間がそれだけ減ってしまうということ。そして心が揺れたとき、寂しさを感じたときにお互いの愛情を感じられる行為がひとつ減るということ。
性欲の行き場を失う
日本では、結婚していながら配偶者以外のパートナーと性的交渉を持つことは不法行為にあたります。そもそも多くの方が「不倫はダメ」とわかっているはず。つまり人肌恋しくても、配偶者以外と性的交渉は簡単にはもてません。
セルフプレジャーでは快感を得られても、一体感や没入感はなかなか得にくく、心身共に満足できない方もいます。ではこのムラムラはどうすれば? セックスに応じてくれない、誘ってくれない夫を見るたびに、やり場のない怒りが湧いてしまうものです。
■【専門家よりアドバイス】セックスレスに悩む妻たちへ
夫婦間のセックスレスを解消したいと思ったとき、具体的にどのように行動すればいいのでしょうか。性に関する総合アドバイザーとして執筆や講演を行う、ラブライフアドバイザーのOliviA(オリビア)さんに聞きました。
また、夫婦が求めるセックスの頻度は異なります。それぞれが求めるセックスの頻度がぴったりと合っていて、それが「3カ月に一度」であれば、3カ月に一度性的なコミュニケーションがあればセックスレスが問題とはいえません。そういったご夫婦が「1カ月に一度セックスがないからセックスレス?」と悩む必要はありませんよね。
ただ、「したいのにセックスに至らない」「パートナーから誘ってもらえない」「セックスを断られる」といった状況であったり、どちらかがセックスの頻度に不満を持っていればセックスレスは悩みになります。
夫婦間のセックスレスの解決方法は千差万別ですが、「積極的にコミュニケーションを取ること」は多くの方に共通する解決法。
そもそもセックスは男性が誘うものとは限りません。女性にも性欲がありますから、したいときに誘ってもよいのです。セックスの主導権は男女どちらが持ってもいいですよね。そして女性がセックスをしたいと伝えること、アピールすることは恥ずかしいことではありません。「彼から誘わせなければ」というマインドを変えるだけで、状況が大きく変わることもありますよ。
といっても、いつもは受け身だった女性が突然誘うのはちょっと抵抗がありますよね。セックスの話題を振ることも難しい……という場合は、好きな異性のタレントの話、好きな恋愛映画の話などから入り、徐々に恋愛観やセックス観の話題を深めていくと良いでしょう。新鮮な気持ちを思い出すために、付き合い始めた頃の写真を一緒に見たり昔のデートを再現したりするのもおすすめです。セックスは、そういった日々のコミュニケーションの延長上にあるものなのです。(ラブライフアドバイザー OliviAさん)
専門家プロフィール
※2017年2月15日発行 現代性教育研究ジャーナル「セックスレス時代の中高年の性」, 荒木乳根子著