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熱の余韻が、深まる秋の夜にも私をあたためる。イイホシユミコのマグカップ

刻々と深まる秋。そろそろ冬支度が楽しい時期にもなってきました。誰に見せるわけでもないけれど、自分の気持ちや暮らしを豊かにするために買ってみた特別な“贅沢品”について、イラストレーターとして活躍するヤベミユキさんが綴ります。

熱の余韻が、深まる秋の夜にも私をあたためる。イイホシユミコのマグカップ

景色が刻々と艶やかに深まり、落ち葉のくしゃっとした心地よい音が響く季節。
冬支度にと朝晩のお白湯を飲むのに私が使い始めたものが、yumiko iihoshi(イイホシユミコ)「unjour(アンジュール)」のマグカップ。

■「夜更け」の名前がついた、青のマグカップ

1日のシーンを想像できるようにと作られているunjour(アンジュール)シリーズは、「matin(マタン)」=朝、「apres midi(アプレ ミディ)」= 午後、「nuit(ヌイ)」=夜更けとそれぞれ名前がついている。

私が買った「nuit(ヌイ)」は、夜更けにコーヒーでひと息というシーンをイメージしている小振りのカップ。マットな表情の奥に光沢がひそむ質感と絶妙な青、素朴ながらも凛とした佇まいが美しい。瀬戸の工房で職人さんたちが手作業で作っているため、一つひとつの表情が違っているのも愛着が湧く。

縁が薄くなだらかな飲み口は熱伝導がよく、温めた飲みものが喉を通り過ぎたあとも唇に熱が残り、その余韻は私の幸福感を上げてくれる。

深まる秋から冬の気配が覗いている。
物寂しい冬に備え、毎日をちょっとした幸福感とともに過ごせたらどんなにいいだろう。

■本当に欲しいのは、深まるほどに澄んでいく、静かでちょっとしたもの


そう、たとえば、誰に会わなくとも、その日のテーマを決めてちょっといい感じに装うこと。

自宅で過ごす時間が増えた今、私は初めて自分のためにおしゃれをするようになった。以前の私なら「なんて意味がなく面倒なこと!」と思っただろうが、これが思いのほかいい。
(それに、好きだけど似合わないから、年甲斐がないからと諦めていた服も、自分のためならなんだって挑戦できる。万歳!)

秋の夜長、日が落ちたら仕事の手を止めスマホもオフ。実家から持ってきた懐かしい香りの毛布にくるまれて、物語の世界に心をゆだね、そのまま眠りにつくのも至福なことだろう。

……なんて考えながら、コーヒーの入ったカップを口に運ぶと、小ぶりのカップはすっかり空っぽになっていた。

欲張りな私にとっては少し小さいカップ。だけどこれがいいのだ。温かいものが温かいうちに飲み終わり、もう少しだけ欲しくなる。

今やスマホを開けば、欲しいものがボタンひとつで買えてしまう。便利な半面止まらない物欲に少々疲れてしまう。あんなにも求めていたものでも、手に入れればすぐに他のものが欲しくなり、買えば買うほど心が乾くのはどうしてだろう。

本当に欲しいのは、この季節のように深まるほどに澄んでいく、静かでちょっとしたもの。夜、ベッドに入ると、「ママ……」と声がした。

「読み聞かせをしてほしくて待っていたの」
「もう、こんな時間まで起きていたの?」

なんて言いながら顔が緩む。小さな娘を抱いて眠る。これが私の一番の幸せなのだ。

次の日、そんな幸せな時間のために、いい感じのランプシェードでも買おうか、なんて思いスマホを開く。
そこから数日、スマホを開くたびに魅力的なランプシェードをあれこれと紹介してくれるネット広告に、私は振り回されるはめになる。

連載「素敵なあのひとの空気を纏う」バックナンバーはこちら

ヤベ ミユキ

イラストレーター。美容、アパレル業界を経てイラストの世界へ。前職のキャリアを活かしたファッション、美容イラストを描いています。

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