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旅に出て、女の人生を考えた

ひとり旅が苦手という脚本家・北川悦吏子さん。今回は旅の途中でDRESSが発売。他人の目を気にする「しあわせ」探しはやめましょうというのが今回のテーマです。

旅に出て、女の人生を考えた

旅行に行きました。
ハワイへ。ともだちと、娘と。

ぜんぜん、このエッセイと関係ないじゃん、と思うかもしれないけれど、
そんなことはなくって
旅って人生に似てるよね。
一週間とか二週間とか、長くなると特に。

ひとり旅に、ふらりと出かける人っていますよね?
海外なんかでも、へっちゃらで。
私、そういう人って結婚しなくても、快適に生きていくのでは、
とハタっと思い当たりました。
私は、ひとり旅、出来ません。
苦手です。
言葉ができないと、不安です。
できる人が横にいて欲しいと思ってしまいます。
こういう人は、結婚向き。

この旅行の最中に、DRESSの創刊号が発売されました。
分厚くて安いね。お得な感じ。
でも、あれ、会社帰りにふらりと買える重さじゃない。
どういうことだろう……。
一度、家に帰って、また、本屋に行って買うんだうか。
ま、いいや。

創刊号には、たくさんのアラフォーの女の人がいました。
みんな、自分の思ってることを、語っています。
結婚していないこと、子供がいないこと、が不幸せではない。
いい仕事ができて、ともだちがいたら、それでいい。
というか、家庭にしばられるより、そっちの方が自由。
幸せの基準は人によって違う。人、それぞれ。
他人の目を気にする「しあわせ」はもう、やめよう。

その通り!
何万回も、女性誌が繰り返してきた主張。
私も、インタビューの度に、そう言って来た気がする。

しかし、はて。
そんなに、みんな、人の目を気にして、「しあわせ探し」をしているんだろうか?
人の目って?
ともだち?親?
そんなに、人の目の数って、多くないよね?

会社で「××くんは、結婚しないの?」と上司に、言われる。
でも、それって、別に、「今日、天気いいね」くらいのことだよね。
言ってる方からすれば。
ということは、そんなことは、聞き流せばすむこと。

実は、気にしているのは、人の目、
ではなく、自分の心の奥底の声、ではないのだろうか?

やはり、家庭が欲しい。
女と生まれたからには、子供も生みたい。
そんな自分の心の中の声が、聞こえて来るか来ないか。
ここが、みんな悩むポイントなんだと思う。

しかし、結婚というやつは、若い頃だと勢いでできるが
ある程度の年齢になると
恋愛慣れして来て、かしこくなって、勢いだけでは走らなくなるので
人はなかなか結婚しなくなる、と思う。

ひとりが快適だと特に。
っていうか、ひとりは快適でしょう。
どう考えても。
ひとりで暮らしてれば、夫に気を遣わなくてもすむし、
お姑さんに、母の日に何送ろうか?なんて、考えなくてすむ。
時間がたっぷりあったら、お姑さんのプレゼント選びも楽しいかもしれないが、
大事な仕事の準備に追われていて、
ゴハン食べる間も惜しい時に、
お姑さんの母の日のプレゼントを選ぶのは
たとえ、楽天で、ポチッとするだけでも、相当なストレスだと思う。

家庭を持つ安心。子供を持つ充実。
でも、ひとりでいられなくなる不自由。窮屈さかげん。

これって、わりと等価交換な気がする。
結婚して家庭を持ったら、得られる物も相当あるけれど、
差し出すものも、相当多い。抱えるストレスも。

じゃあ、どこまで自分の心の声を聞き分けるか、ってことだと思うんだけど
(結婚したいか、そうじゃないか)、
自分の心はふらふらすると思うし
入って来る情報にも左右されるよね?
ともだちが、結婚してしあわせそう、とか
結婚して、もう離婚したいって言ってる、とか。

ここで、最初に書いたことに戻るんだけど、
ひとり旅、できるかどうか、これ、わりとポイント。
あと、何かのエッセイで読んだのは
「内臓悪いと、人は結婚するよね」
ってやつ。
私は、体が弱いので、そそくさと結婚していったクチなんで(どこかで、保険をかけようとしていた。自分の人生に)そういうの、よくわかります。

でも、ウチの70歳になるオバなんかは、すごくいいダンナさんに恵まれて
子供も優秀で、かわいい孫もいて
この前、でもポツンと言った。
「私、今度生まれて来たら、一生、ひとりがいいわ。気ままだもの。私ね、本当のこと言うと、ひとりでもぜんぜん楽しく生きられるの」

びっくりしたけれど、そういうことってあるだろうな、と思った。
オバは、優秀な人で、勉強もできたし、仕事もできた。
そして、体も丈夫だった。
でも、あの時代、女がひとりでいる、なんて選択はそもそもなかったんだろうなあ。

気ままになった時代だから、迷うこともあるけれど、
自分がどのタイプが、見極めるのも大切かも。
そして、それって、ともだちに聞いてみると、よくわかると思うよ。
私には、独身のともだち、
結婚してるともだち
両方いるけれど、
ああ、あの人は、ひとりでいた方がしあわせそう、とか
ああ、あの人は家庭があった方が安心するんだろうなあ、とか
一発でわかるもんね。

持って生まれた資質、タイプって意外と、あなどれない、と思います。

あ……。
今回は、恋愛のことでなくて、すみません。

恋愛……は、霞みたいなもんだからね。
人生設計とはまた別。

春の桜のように一瞬の幻。

だからこそ、美しいのよね。

ということで、次回はきっと恋愛の話を。

北川 悦吏子

脚本家。『ロングバケーション』『ビューティフルライフ』などの数々の恋愛ドラマのヒット作を生む。活動は多岐に渡り、作詞やエッセイでも人気を集める。映画『新しい靴を買わなくちゃ』では、脚本とともに監督も担当。

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