“Birdhead”九段下アートサロンイベントレポート
これまでKudART Project & Galleryはkudan house(旧山口萬吉邸)にて、2度の特別展(※)を開催しました。第3回目となる今回は、上海を拠点とするアーティスト・デュオ“Birdhead”展です。
■KudART Project & Gallery“Birdhead”
上海出身のSong Tao(ソン・タオ1979)とJi Weiyu(ジ・ウェイユィ1980)によるアーティスト・デュオ“Birdhead”。
中国国内にて新世代の作家の代表格として紹介されるだけでなく、第54回ヴェネツィア・ビエンナーレや“New Photography 2012”(Moma、ニューヨーク)、 “Living Cities”(Tate Modern、ロンドン) など、世界中の主要な芸術祭や美術館で開催されたグループ展に参加し、世界的に評価を高めてきました。
写真と書の組み合わせやコラージュなど、伝統をアップデートさせた作風を持ち、第一展でも紹介した日本を代表する写真家、森山大道にも影響を受けたという彼ら。
本展覧会キュレーターの加藤さんに解説をいただきました。
Welcome to Birdhead world again, 2019TOKYO, Photo by Shin Sumimoto
Birdhead《Birdhead World》2019年
加藤さん「Birdhead の代名詞的シリーズです。彼らが住む街、上海を撮影し、組み合わせたものがシリーズの始まりです。2008年以降、中国のアートシーンが盛り上がり、中国の生のエナジーを切り取った本シリーズは、国内外からも注目を集め、2011年には世界中の展覧会で紹介されました。そのため、本作は彼らのキャリアの転機にもなった重要な作品です。
今回展示したシリーズは、彼らが旅したシベリアやタイで撮影された写真で構成されています。ただ単に写真を並べるのではなく、一部を反転させたりすることによって、リズミカルな印象を作り出しています」
Welcome to Birdhead world again, 2019TOKYO, Photo by Shin Sumimoto
Birdhead《2019-ss-170-F005》2019年
加藤さん「女性のヌードを隠すように写真の上から書を入れた作品です。書で書かれた「也」 という文字は、「〜である」など複数の意味を持つ、日常的に使われる助詞ですが、言葉の歴史を調べていくと古くは女性器の意味もあったそうです。彼らの自画像的アイコンであるカメラを下げた鳥もその上に重ねて描かれています。
中国ではヌードのイメージの流通が厳しく規制されています。しかし、この作品からはその状況に対して妥協せず、むしろ創造の糧とするBirdheadの柔軟な遊び心を感じます」
Welcome to Birdhead world again, 2019TOKYO, Photo by Shin Sumimoto
Birdhead《birdhead rocks 01.》2019年
加藤さん「レジンを用いた作品で、“時を保存する”ところに写真と同じ意図を感じます。中心的モチーフとして描かれているものは中国に伝統的に伝わる台風を象徴する石で、それが『鳥の頭』にも見えます。額装は馬の毛を用いたユニークなものです」
彼らが日本で個展を行ったのは、今回が初めて。
加藤さんは今回の展示を契機に、日本でのさらなる活躍も期待しているとのこと。
今回の展覧会は完全招待制にて開催し、DRESSからは5組10名様のみご案内しました。
イベントのご案内は、DRESSメールマガジンか、LINE、こちらのAct.DRESSでの告知をチェックしてみてください。
■展示概要
※ 森山大道展 (2019年1月)、田名網敬一展(2019年6月)
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