6万円台でクルーズデビュー! 洋上の楽園「ゲンティン ドリーム」レポート
クルーズがお金と時間に余裕のある人のためのものというイメージは過去の話。世界一周何百万円という豪華クルーズも健在ですが、1泊1万円台で乗船できるカジュアルなクルーズも増えています。ここ数年は日本発着のクルーズも急増中! 週末プラス1〜2日の有給で行けるクルーズ、実はけっこうあるんです。究極のおもこり、してみませんか。
■お金持ちじゃなくてもクルーズは楽しめる!
クルーズって、選ばれし人が乗るものだと思っていませんか? もちろんそういったクルーズもあります。でもクルーズ船といっても多種多彩。
一般的な年収の人でも楽しめるクルーズはいくつもあります。そのひとつが、今回、私が乗船した、香港を拠点とするドリームクルーズが所有し、シンガポールを母港にしている「ゲンティン ドリーム」という船です。
アジアを拠点とする「ゲンティン ドリーム」は、比較的安価で短い日程が魅力。週末にさくっと非日常体験できることで人気です。
今回の行程は3泊4日。日曜の夕方にシンガポールを出港し、月曜日にペナン、火曜日にプーケットに寄港して、翌水曜日にシンガポールに戻ってきます。日曜の朝に発着する便に乗れば、クルーズ出港前にシンガポール観光も満喫できちゃいます。
「ゲンティン ドリーム」は、総トン数15万695トン、全長335m(東京タワーの高さよりも長い!)。19階建て客室数1674室、乗客定員3352人。
って、これ、ホテルにしたってかなりのサイズです。船を間近で見たとき、思わず「でかっ」という言葉が口をついてしまいました。
ちなみに客船のホスピタリティを示す指標として使われる「乗員ひとりあたりの船客数」も乗員ひとりに対して船客約1.7人となかなか高い数値を示しています。
そうなんです。これが海の上を移動するんです。船だから当たり前なのですが(笑)。
そして、宇宙飛行士と人魚の愛をテーマにしたポップな船体のデザインにもテンションが上がります。
■原則オールインクルーシブでコスパ抜群!
「とかなんとかいって、クルーズってお高いんでしょう」という方も少なからずいらっしゃると思うので、最初に料金の話もしておきましょう。
意外に思われるかもしれませんが、クルーズって、かなりコストパフォーマンスがいい旅の形態なんですよ。
宿泊費、移動費&無料レストランでの食事、プールやジャグジー、ジムなどの施設利用料、ショーやイベントなどのエンターテインメントなどが、基本的にはオールインクルーシブ。
今回のコースだと、乗船料は6万8600円から(客室等により異なる)。ドリームクルーズは他にもいくつものコースを運行していて、シンガポール・香港発着ともに、2泊3日のクルーズなら3万円台から用意しています。
ね、ものすごくお金持ちじゃなくても、意外と気軽に手が届く価格設定でしょ? 往復のフライトがついているお得なパッケージプランを販売している旅行会社もありますよ。
クルーズの魅力はなんといっても、寝ているうちに次の寄港地に着いていることではないでしょうか。朝起きたら寝る前とは別の景色が広がっているのは、何度体験しても感動します。
それに、重い荷物に煩わされることなく、旅ができる気軽さといったら! そして、これまた個人的な意見になりますが、「自由」なこともクルーズの醍醐味だと思っています。
船内での、また寄港地での過ごし方は、豊富な選択肢のなかから、その日の気分や体調で、自分で決めることができるのです。
船に乗っているだけなんて退屈じゃないの? と思われるかもしれませんが、航海中も、寄港中も船内の各所ではさまざまなアクティビティが行われています。
イベントのスケジュールは、前日に配布される船内新聞でチェック可能。学生に戻った気分で、気になるイベントには蛍光ペンで印をつけるのがまた楽しいんですよね。
分刻みでイベントに参加するもよし、部屋でごろごろと寝そべりながら大海原を眺めるもよし。どんな過ごし方をしても、誰も文句は言いません。
気分次第で自由に過ごせる、この気軽さ、たまりません! つまり部屋にいても快適ってことです。「ゲンティン ドリーム」は70%以上の客室がバルコニー付きですが、値段重視なら安価な内側の窓なしの部屋にするという選択肢もありかと。
■「ウォータースライドパーク」にハマる
さて、船内アクティビティには、その船のわかりやすく個性が出るものですが、「ゲンティン ドリーム」は、エンターテインメントが充実していることが大きな特徴でしょう。
最大999名まで収容可能な「ゾデイアックシアター」では、毎日、日替わりでショーが実施されています。ミュージカル調のもの、アクロバットなものなど演目もさまざま。かなり本格的です。
予約は必要ですが、鑑賞料は乗船料に含まれているのでお金はかかりません。ジャグジーも備えたプールもぜひ足を運んでみたいところです。6種(ひとつは子ども用)ものウォータースライダーを有する「ウォータースライドパーク」もあります。
ものは試しにと挑戦してみましたが、これは……正直ハマりました(笑)。一度滑ったあとは、今度は別のスライダーをすべってみようと、子どもたちとともにすぐに階段をあがりました。プールは夜にはライトアップされ、とても幻想的です。
ロープづたいに狭い平均台を通ったり、海の上に突き出した板を歩いたりする「ロープコース」も人気です。コースの最後は、海の上のしゅーっと滑る35mの「ジップライン」になっていて、見ているだけでも腰が砕けそうになります。
「ブリッジツアー」(要予約、15分間25シンガポールドル)も印象的です。操舵室を見学することができるだけでなく、オペレーションルームの中をキャプテンや上級船員に案内してもらうことができます。
なお、「キャプテンズブリッジビューイングルーム」から操縦席を見るだけならお金はかかりません。
さらにはシンガポール人気の老舗クラブ「ズーク」による、洋上初のナイトクラブも併設しています。その「ズーク」にはダンスクラブだけでなく、4レーンのボーリング場も。
そのほか、カラオケルームやミニサッカーができる多目的スポーツコート、7周で1キロになるジョギングコースもありました。
そんなわけで、船の上は退屈とは無縁。体を動かせる場所はたくさんあります! クルーズ船のお約束、カジノも充実していますよ。
■1日最大6食まで無料って信じられない!
エンターテインメントのことだけで文字数を使いはたしてしまいそうですが(それだけ充実しているんです!)、旅のお楽しみである「食」について触れないわけにはいきません。
船内には35店舗のレストラン、バー、ラウンジ、カフェが点在しています。クルーズ船には通常、食事代がクルーズ費用に含まれる無料レストランと、追加料金が発生する有料レストランがあり、それらが合計35店というのはなかなかの数。数日のクルーズではとても食べきれません。
大活躍必至なのが、無料のブッフェレストラン「リド」。朝食・昼食・夕食はもちろん、アフタヌーンティーやスナック類もいただけます。
朝食・昼食・夕食に加え、モーニングティーとアフタヌーンティー、24時間スナックを含めれば、合計1日最大6食まで無料となります!
メインダイニング(無料)である「ドリームダイニングルーム」は2階建て。下階が中華を含むアジアと西洋のセミビュッフェスタイル、上階は終日中華のセットメニューを提供しています。
有料レストランは、セレブリティシェフのマーク・ベスト氏が監修する洋上初のレストランをはじめ、鉄板焼き、寿司バーなど多彩。
3デッキ吹き抜けの円形バー「バー360」、シャンパンバー「バブルス」、ウイスキーバー「ジョニーウオーカーハウス」など、5つのバーを集めた「バーシティー」もクルーズならではのシチュエーションです。
多少酔っぱらっても大丈夫! あとは部屋までたどりつけばいいだけです。
■1皿1シンガポールドルの夜食メニューも
アジア系の料理が多いのも特徴で、「リド」には、ムスリムのハラルはもちろん、インドのヒンズー教やジャイナ教に対応したメニューが用意されたコーナーもありました。で、美味しいんです。
今回は足を運ぶ機会がなかったのですが、火鍋レストラン(有料)も気になるところです。そんななか、私が通い詰めたのは、東南アジアの屋台のような雰囲気の「ブルーラグーン」。
海南鶏飯にサテ、ラクサ、バクテーなど、東南アジアのストリートフードをリーズナブルな価格で提供しています。船員にも人気なようで、休憩時間に利用する姿もよく目にしました。
そして、なによりこちら、深夜の時間帯(23時から1時)には、1皿1シンガポールドルで注文できる夜食メニューを用意しているのがうれしいところです。
欧米資本が中心のクルーズ市場で、アジア資本のクルーズ会社であることは「ゲンティンドリーム」の特徴であり、魅力といっていいでしょう。
「ゲンティンドリーム」では、船内のさまざまな場所で、アジアを感じことができます。スパも、ウエスタンスタイルのトリートメントを行う「クリスタルライフ スパ」と、リフレクソロジー(足裏マッサージ)などアジアンスタイルの施術を行う「クリスタルライフ アジアンスパ」のふたつのスパ施設がありました。
船内は意外と歩くもの。「クリスタルライフ アジアンスパ」は深夜まで営業しているので、1日の締めに利用していました。
「クリスタルライフ スパ」隣接のカフェでは、野菜やフルーツを使用した、ヘルシーな飲み物や食事などがいただけます。
こちらが意外な穴場で、いつ足を運んでもそれほど人はいませんでした。朝起きて、ここでフレッシュジュースを飲み、メールをチェックするというのが、乗船中の私の日課になりました。
■最低限の荷物で、寄港地観光へゴー
クルーズの醍醐味は船の上だけではありません。寄港地観光もまたクルーズの楽しみのひとつです。寄港地での過ごし方もさまざま、そして、「自由」です。
「プーケットには何度も来ているのよね」という人なら、下船せず船の上で過ごすという選択肢もありです。下船して気ままに楽しむもよし、船が主催する現地ツアー「ショア・エクスカーション」(有料)に参加することもできます。
今回、私は初めてのペナン島ということもあり、世界遺産に登録されているジョージタウンを散策するツアーに参加しました。
ニョニャ料理(=中華系プラナカン料理)も美味しかったですよ。ハリウッドで大ヒットした映画『クレイジー・リッチ』のロケ地にもなった歴史的建造物「チョンファッツィーマンション」(通称「ブルーマンション」)も訪れました。
最後に、「ゲンティン ドリーム」の特徴を。移民の多いシンガポール発着のクルーズは、東南アジアとアジアを中心に、欧州、豪州など、時期によっても異なりますが、乗客と来る―を合わせて30を超える国と地域の人びとが乗船しています。
世界の広さ、多様さを存分に実感できます。また、繰り返しにはなりますが、短い期間の旅程があり、比較的リーズナブルで、エンターテインメント設備が充実している「ゲンティン ドリーム」は、“初めての船旅”にもおすすめです。
プーケットでは「ラム酒醸造所と市内の見どころツアー」(所要約6時間、75SGD)に参加。プーケットでただひとつの醸造所「シャロンベイ ラム醸造所」のラムが美味しいんです!
そして、もうひとつお伝えしておきたいのは盛り上がる出航の瞬間をお見逃しなく、また、窓のある部屋の場合、窓から眺める大海原も格別だということです。船旅ならではの景色、ぜひ脳裏に焼き付けてくださいまし。
なお、ドリームクルーズは、2021年には「ゲンティン ドリーム」を上回る20万トン級、最大乗員定員は9000人の大型客船を就航することを発表しました。9000人乗れる船って! 今から楽しみです。