1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ライフスタイル
  3. 『スノーフード~雪が食べものをおいしくする。』

『スノーフード~雪が食べものをおいしくする。』

東京、暑いです。猛暑ですね。 少しでも涼しくなるように、今回のテーマは“雪”にしました。 頭の中で美しい北海道の雪を想像しながら読んでください。

『スノーフード~雪が食べものをおいしくする。』

『スノーフード~雪が食べものをおいしくする。』

東京、暑いです。猛暑ですね。
少しでも涼しくなるように、今回のテーマは“雪”にしました。
頭の中で美しい北海道の雪を想像しながら読んでください。

突然ですが、「雪の下大根」って聞いたことありますか?

秋に収穫した大根を冬の間、土の中に埋めておき、雪の下で越冬保存し、春先、雪の中から取り出した大根です。同様に「雪の下にんじん」「雪中キャベツ」なんかもあります。

みずみずしさが保たれ、旨味と甘みが増し、美味しくなる、のだとか。
日本の雪国ならではの、雪という自然の冷蔵庫を利用した、昔から受け継がれている生活の知恵です。

雪の中で一冬保存すると、なぜ大根は甘く美味しくなるのか?

一説によると、大根に含まれる“ジアスターゼ”という消化酵素が、
雪の下で長期保存することで、澱粉質を分解し、糖分に変わるから、なのだそうです。
雪の中では、程よい湿度が保たれ、野菜の保存に適した、一定の低温度を保てることが、良いのだそうです。この雪を使った保存方法、野菜だけでなく、お米にも良いそうで……。
私のホームタウンである、北海道のニセコ町にも、ニセコも含む羊蹄山麓産 のお米「ななつぼし」のための雪利用米穀貯蔵庫があると聞き、興味津々で先日視察に行ってきました。

ニセコは、パウダースノーのスキーリゾートが世界的にも有名な豪雪地帯。冬に集めた雪を倉庫に保管し、雪のない季節、その雪倉庫から出る冷気をダクトを通して、米貯蔵庫へ送り、安定した低温でお米を保存しています。
(余談ですが、このお米「ななつぼし」には、「Yes!clean」マークがついてます。これは、北海道を中心に、化学肥料や化学合成農薬の低減に取り組む、環境配慮型の農業で生産された農産物に対しての認証ラベルです。

雪の冷気で保存されたお米や野菜類は、“低温順化”と呼ばれる現象を起こし、
糖度が増したり、劣化抑制、酸化を防ぐ効果もあるとか。冷蔵保存に必要な電気代も抑えられます。
さらに、雪利用米穀貯蔵庫で保存されたお米は、3、4年経っても新米と変わらない美味しさをキープできる、とも言われているそうです。

このような雪利用施設で貯蔵されたお米や野菜の保存品、加工品は、最近“スノーフード”と呼ばれ、少しづつ注目されてきています。

雪を利用した食品の保存・加工研究や商品開発、ブランド化を研究することを目的として北海道スノーフード研究会というのも今年設立されたそうです。

雪の有効利用ということでいえば、食品貯蔵用以外にも、新千歳空港の冷房も、雪冷房施設を活用しています。

このような雪を利用した施設は、実は日本全国で300カ所以上もあるのだそうです。
そんな“雪力”を利用した多くの事例を、先日北海道千歳市で開催された「第10回 雪の市民会議」に参加し、知ることができました。

地方の雪の多い地域では、スキー場などの観光利用を除けば、雪は“やっかいなもの”と見られることも多かったようですが、最近、雪を“資源”あるいは“冷たいエネルギー”として、ポジティブなアプローチで、利雪(りせつ)の取組みが盛り上がってきています。

この“利雪”研究は、日本が世界に先駆けて、研究が進んでいるとか。
コマツ製作所など、除雪関係の機械も、日本のモノが一番性能が良いと世界的にも評価が高いそうです。

可能性がまだまだ未知数の“雪力”で、地方がどんどん変わっていく未来を垣間みた「第10回 雪の市民会議」。
日本が雪力を最大限利用し、世界の食料宝庫となってほしい!と、その可能性に期待し、スノーフードを積極的に食べよう、と思っています。

それから最後にもう一つ、雪の市民会議で話題にのぼっていたのが、「雪かき道場」の活動。近年、雪かきボランティアが増えているそうです。特に都会の女性の参加者が多いそうです。雪かきはダイエットにもいいし、雪かきボランティアの後の美味しいお料理や温泉も魅力なのだそうです。

ご興味ある方、今年の冬は、“雪かきツーリズム”、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう?

林民子

『雪かき道場』
http://dojo.snow-rescue.net

↓ 北海道、沼田町のスノーフード、にんじんジュースやかぼちゃジュース、そして、雪室珈琲。どれも飲みやすく、オススメです!
沼田町は“雪力”でまちづくりを積極的に行っています。

林 民子

NPOソーシャル コンシェルジュ主宰。ジャンルを超え、社会貢献度の高いヒト、モノ、サービスをより魅力的により多くの人へ広めるための様々なプロジェクトをプロデュース。少数民族の貧困解決を目指し、上質のヤクという素材にフォーカス...

Latest Article