王子様と結ばれるのはひとりだけ。シンデレラになれなかった女たち
女性なら一度は憧れる「シンデレラ」……ですが、一見ハッピーエンドに見えるストーリーの裏には、恋に破れたたくさんの女性の涙があるはずです。今回は「シンデレラになれなかった女性たち」のエピソードをご紹介。選ばれなかったからこその幸せだって、あるのかもしれません。
「むかしむかしあるところに、シンデレラという名の美しく優しい娘がいました」
女性なら一度は憧れたことがある、シンデレラストーリー。
最終的には王子様とシンデレラは結ばれ、幸せに暮らしました。めでたしめでたし。
……って、ちょっと待って。
人生って、恋愛って、すべてがこんなに美しい物語なのでしょうか?
物語の中では悪者として描かれているシンデレラの姉たちのその後は?
王子様に恋い焦がれていた、舞踏会にいた女性たちは?
たったひとりの女性のハッピーエンドの裏には、たくさんの女性の涙があるはずです。
魅力的な男性や女性が誰かと付き合えば、誰かが裏で泣いている。
だって、シンデレラになれるのはたったひとりだけなのですから。
今回は、「シンデレラになれなかった女性たち」のエピソードをご紹介します。
もしかしたら、「シンデレラになれなかった」からこその幸せだってあるかもしれません。
■「いつか……」6年間待ち続けた王子様とは一度も結ばれなかったけれど(32歳・Hさん)
高校2年生のとき、同じクラスの男子に恋をしていました。
身長が180センチでバスケ部のエースだったモテる彼は、いつもかわいい彼女を連れていました。でも長続きせず、付き合っては別れ、また別の子と付き合い……といった感じで。
私は女として見られていない感じがしていたので、まずは彼の最高の女友達になろうと思ったんです。私はいつも彼の恋愛相談に乗っていました。
そのうち「Hは、俺の一番の理解者だ。彼女よりも大切」と言ってもらえるようになったんです。いつからか私は「付き合えなくてもいいから彼のそばにいたい」と思うようになりました。そのまま高校を卒業してからもずっと彼に片思いしていました。
でも、やっぱり人間は欲張りですよね。ある日、彼が熱烈に恋する女性が現れました。私はいつものように相談に乗っていましたが、「うまくいってほしくない」と思ってしまいました。彼の本気度が伝わってきたからです。
後日、「付き合うことになった」と報告を受けたとき、もう我慢できなくなって、6年越しの告白をしました。でも案の定振られました。「Hは一生親友だ」と。
17歳から23歳まで、6年間の片思いでした。
■アイドルに本気で恋をしていました(29歳・Yさん)
とあるイケメンアイドルに27歳までハマっていました。
おそらく年間100万円はそのアイドルに投資していたと思います。
コンサートに行っては、目があったと喜び、握手会で「付き合って(はぁと)」といえば、「いいよ」と言ってくれる……。いつか本当に付き合えると思っていたのです。
でも、ある日清純派女優とのスキャンダルが出ました。
落ち込んでいる私に、友達は「現実を見ろ」と言いました。
「このタイミングでそんなこと言うか!」と思いましたが、気付けば、20代後半、一度も彼氏ができたことがありませんでした。ずっとそのアイドルに片思いしていたからです。
いい機会だなと思って、今はそのアイドルへの思いを断ち切ろうとしています。
■運命だと思ったのに……王子様は既婚者でした(29歳・Fさん)
取引先との飲み会で、他部署の8つ年上の男性を好きになりました。
とにかくスマートで仕事ができて何もかもがタイプ。運命だと思いました。
どんどん彼にハマっていって、彼も私に好意を持ってくれて、ホテルで身体の関係を持ちました。
でもいつまで経っても「付き合おう」の一言がない。でも私はそのとき、大人の恋愛には言葉は必要ないと思っていたんです。
日が経つにつれ、私は結婚を匂わせた発言をよくするようになりました。そのまましばらく彼と関係を持っていましたが、ある日、突然「もう会えない」と彼から言われました。
理由は「既婚者だから」。私はあまりのショックに言葉が出ませんでした。大好きだったから。
私は「先がなくてもいいから一緒にいたい」と言いました。でも彼は「会うのはやめよう」の一点張り。結局私たちの関係はそこで終わりました。
でもその経験があったからこそ、今は言い寄られても相手が既婚者かどうか、最初に確かめる癖がつきました(笑)。
今は彼を引きずりつつも、婚活パーティで出会った男性と食事を重ねています。
■「シンデレラ」にはなれない。その「諦め」が幸せへの近道
「王子様が現れた! もしかして運命の相手!?」
そう思えるような魅力的な人と出会ったとき、その恋を一直線に走らせて、実らせることのできる人はそう多くはありません。
ほとんどの人が「あの人は芸能人だから」「あの人には彼女がいるから」「イケメンだけどチャラそうだから」など、理由をつけてその恋を諦めようとします。
でも決してその諦めは「私なんて……」という卑下した感情から生まれたわけではありません。
経験を重ねて、現実的に無謀な恋だとわかったから。
「諦めた」わけではなく、「さっさと諦める方法を覚えた」から。
だからこそ、王子様のような理想的な人が現れたとしても、「諦めるための理由」を探して、別の人と幸せになる方法を選択する人もいます。
こんな「シンデレラストーリー(番外編)」だってあるはず。
それはそれでいいじゃないですか。
何十年も王子様に片思いしているよりも、幸せな選択だったかもしれません。
人生は、恋は、妥協や諦めの連続。でもその先に、見える幸せがあるはずです。
きっとそれは「大人の幸せ」への第一歩です。
Text/毒島サチコ
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