「身体の相性」なんて存在しない。大切なのは互いの快感をすり合わせること
巷で話題の「セックスレス」。自分たちもいつかセックスレスになるのでは? という不安を抱いている人もいるかもしれません。今回は、共働きだけど円満な20代・30代・40代のご夫婦それぞれ3組にその秘訣を伺いつつ、新しい「性の公共」を目指して活動されている坂爪真吾(さかつめ・しんご)さんにアドバイスをお聞きしました。
付き合いも長くなってきて、セックスなしでも仲良し。
だけど、なんだかもの足りない……。
女性としての充足感は、やっぱりセックスでも満たされたい。そんな状況、ありませんか?
また、たとえ今は順風満帆でも、1年後もずっとコンスタントにセックスをしているかはわかりません。
これから長く付き合っていくパートナーと愛を深めていくためには、やはりセックスはかかせないもの。セックスレスにならないために、意識できることはどんなことなのでしょうか。
■セックスを習慣にする
お互いにセックスしたいというタイミングが重なるのを待っていたら、いつになるかわかりません。ましてや、子どもがいるとセックスをする機会をつくることがなお難しくなります。
30代、40代のご夫婦が意識しているのは、「毎週水曜日はセックスの日」「週に1回はセックスする」というように、習慣としてセックスをすることで、パートナーとお互いの予定を合わせて、その日に向けて自分の気持ちを意識的に盛り上げるようにしていることだそうです。
「セックスする日はお互いにソワソワして、ふたりだけが意識している感じも楽しい」といった意見もありました。
こちらのアイデアについて坂爪さんにお聞きしたところ「これはかなり効果的だと思います。子どもができて、夫婦だけではなくなった場合、以前よりもセックスへの欲求が薄れてしまうこともあります。多少強引にでも、機会をコンスタントにつくることが重要です」とのこと。
セックスが終わった直後に次の予定を立てると、機会を失わないそうです。
セックスの余韻が残っているうちに、予定を立てることがポイント。
■セックスの感想をちゃんと伝える
また、3組のご夫婦に共通していることは、セックスの感想を伝えるということでした。お互いが気持ちのいいセックスがさらにできるよう、セックスの後に感想やよかった体位などを話し合うのが、次へと繋がるコツだそうです。
坂爪さんはこのように言います。
「よく聞く『体の相性』という言葉がありますが、実際のところ『体の相性』なんていうものは存在しません。回数を重ねて、互いの快感をすり合わせていくのが、セックスです。パートナーはあくまで他人。発言しなければ、伝わりません。自分の意思を相手に伝えることも、広く捉えればセックスのひとつだと思います」
セックスがコミュニケーション方法のひとつだとすれば、ベッドの上も対話のための時間になります。
今回は、坂爪さんに「伝え方で気をつけるべきこと」「上手な伝え方のテクニック」も教えていただきました。
「直接的にダメ出しをしたりすると、関係性にヒビが入りかねません。うまく気持ちを伝える方法として、二択で誘導する方法があります。
たとえば、『騎乗位と正常位だったら、正常位のほうが気持ちいいな』というように、肯定的な言葉と二択をセットで使うと、相手を傷つけにくいです。こういった話をする機会は日常ではなかなか生まれないので、ピロートークだと話しやすいでしょう」と坂爪さん。
回数を重ねるごとに気持ちよくなるのであれば、次のセックスも楽しみになりますよね。
また、普段は話しにくくても、セックスの後なら「どういうことが気持ち良かったのか・心地よかったのか」を話せるかもしれません。
いままでこういった話をあまりしてこなかった方は、恥ずかしがらずに、ふたりで向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。
取材・Text/のぞみ
坂爪真吾プロフィール
「障がい者の性」問題の解決、風俗と福祉の連携など、新しい「性の公共」をつくるために活動している一般社団法人ホワイトハンズの代表。
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。