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スタイリングを通じて、「高い女性像」を演出したい【スタイリストのマイルール#1】

スタイリストの仕事――というと、装いだけをおしゃれにすれば良いと思う方もいるかもしれません。でも、実際のところは、どんなことを考えて洋服やモデルさん、女優さんを綺麗に見せているのでしょうか。そんな裏側のお話しを実際にスタイリストとして活躍されているカドワキジュン子さんに聞いてみました。

スタイリングを通じて、「高い女性像」を演出したい【スタイリストのマイルール#1】

ファッション雑誌をはじめ各メディアにおいて、モデル・女優の衣装をコーディネートするスタイリストという職業。

撮影の現場に関わる機会がなければ、なかなかお目にかかる仕事ではないかもしれません。

クライアントからの要望を汲み取り、そのシーンに相応しいコーディネートを組み、被写体のモデルらが一番美しく見えるようにスタイリングを行うこと。そこには、ファッションのトレンドから着こなしのルールにいたるまで、幅広い知見が含まれています。

今月からスタートする「スタイリストのマイルール」では、3回に渡り「職業=スタイリスト」の仕事を選んだ方にフォーカスして、ファッションを通して垣間見られる彼女たちの人生観をお届けします。

カドワキジュン子さん。月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』では、主演女優さんのコーディネートにも関わっている。

初回に登場していただいたのは、ドラマ『コンフィデンスマンJP』でスタイリングに携わり、今注目のカドワキジュン子さん。ここでは、スタイリストとして目指す女性像についてお話を伺いました。

■「衣装デザイン」を経てスタイリストに

――カドワキさんは文化女子大学(現・文化学園大学)のご出身ですが、もともとスタイリストの仕事に就こうと思われていたのですか。

ファッションは好きでしたが、最初からスタイリストを目指していたわけではありません。

高校を卒業した後に、映画の勉強をしたくて海外に留学した先で、ファッションの勉強もはじめました。帰国後は、さらに知識を深めるために文化女子大学に入学して。そこで出会ったのが「衣装デザイン」でした。登場人物をビジュアルで表現したり洋服を使ってストーリーに意味をもたせたりすることに興味を持ち、携わりたいと思うようになったんです。

でも就職となると、衣装業界を考えましたがその手段が見出せず、OLをしていた時期もありました。ですが、そこからご縁があって、スタイリストの押田比呂美(※)さんに出会い、アシスタントを務める機会に恵まれました。独立後は、ファッション誌だけでなく、ドラマで女優さんのスタイリングをさせていただけるようになり、気づいたら……夢が実現していました。

あのときを振り返ると、思い描いた通りに自分の人生が叶わず、挫折を感じていましたね。今思えば「不器用だったな……」と。その瞬間に達成できなくても、目の前のことを確実に進めていけば、「遠回りだとしても最後は得ることができる」と考えられるようになったんです。

自分が一番好きである「洋服」と離れずに、「衣装」に関わる仕事を探求していった先に、スタイリストという職業に出会えたことを感謝しています。

■気負いせず心地よい空間づくりを

――スタイリストの仕事は、撮影の現場が主になりますが、どのようなことに気をつけていますか。

コーディネートを考えることはもちろん大切ですが、撮影において「空間を演出する」ことも重要です。撮影の現場では、「何をもっとも華やかに見せるのか」を考えてスタイリングをしています。

現場のコミュニケーションで生まれるクリエイティブなことは、「相手を思う気持ち」が素直に反映されるので、それによって完成度が変わってきます。それぞれの立場で考えて動いていますが、ベストを尽くしたいとの想いは誰もが同じですよね。そのために、スタイリストとして気負いせず心地よい空間づくりができるように努めています。

メディアをはじめクライアントの方は、どれだけ読者(視聴者)や消費者の心を打つかを考えています。その中で「ここ!」という着地点を見つけるために、衣装を通して空間を作るアプローチの仕方を意識して行っていますね。

撮影カットを確認するカドワキさん(手前左)。ヘアメイクのバランスを見ながら、洋服のスタイリングも調整。(カドワキジュン子さん提供)

■スタイリングを通して「高い女性像」を演出したい

――カドワキさんが目指すスタイルを教えてください。

「高い女性像」を作っていきたいですね。

凛として独立した女性でありながら、たおやかさもあわせ持つ姿をイメージしながらスタイリングをしています。

私自身は自分のことをどこまでも裏方スタイリストだと思っているんです。世の中にはたくさんのモノがあって、そこから自分のファインダーを通して演出させていただいている。それは、撮影現場の主役はモデルさんや女優さんであり、その先に見てくださる読者や視聴者の皆さんが主役だと思っているからです。

自分のスタイリングを通して、「主役の皆さんがどれだけ輝いてもらえるのか」を常に思い描きながら行っています。

※押田比呂美:雑誌をはじめ広告などで幅広く活躍されるスタイリスト。エレガントかつクールな女性らしさを取り入れたスタイリングに女優からも支持が厚い。

取材・Text/岡田レナ
Photo/小林航平

カドワキジュン子さんプロフィール

スタイリスト・押田比呂美氏に師事。雑誌をはじめ広告・ドラマと幅広く活躍。最近では、月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』でスタイリングに携わる。趣味は舞台鑑賞やアートめぐりで、常に「空間を彩る」ことに興味を持つ。清潔感がありながらコンサバテイストの上品なスタイリングが得意。

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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