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”衝撃の40分”から目が離せない! 『デトロイト』が描く歴史に埋もれた戦慄の一夜 古川ケイの「映画は、微笑む。」#35

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イラクを舞台に米軍爆発物処理班の兵士たちを描いた『ハート・ロッカー』、オサマ・ビンラディンの捜索に執念を燃やすCIA女性分析官を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』など、センセーショナルな題材選びに定評のあるキャスリン・ビグロー監督。新作『デトロイト』は、米国デトロイト暴動で起きた戦慄の一夜を映画化した、必見の衝撃作です。

”衝撃の40分”から目が離せない! 『デトロイト』が描く歴史に埋もれた戦慄の一夜 古川ケイの「映画は、微笑む。」#35

◼︎1967年 ”デトロイト暴動”の戦慄の一夜を映画化!

今回DRESS読者のみなさまにご紹介したいのは、1967年に米国で起きた”デトロイト暴動”中に、とあるモーテルで起きた戦慄の一夜を映画化した『デトロイト』です。

白人警官による不当逮捕や虐待に対する黒人住民たちの不満が「暴動」という形で爆発した”デトロイト暴動”は、43人の命が失われ、負傷者は1000人を超える大惨事となりました。死者の大半は、警官に射殺された黒人住民でした。

昨今は、スマートフォンの普及により、米国白人警官による、無抵抗な黒人市民への暴行が知られることとなりましたが、本作の舞台は今から約50年前。

50年もの歳月、歴史の闇に埋もれていた「アルジェ・モーテル殺人事件」の真相に迫ります。

◼︎『デトロイト』ストーリー

1967年、7月23日の深夜。アメリカ中西部の大都市デトロイトのとある無許可営業の酒場に、警察が押し入った。

デトロイト市警の横暴な取り締まりに不満を抱えていた地元住民たちは、その不当な捜査に反発。住民と警察との間に小競り合いが生じ、一部の市民が暴徒化する。

この騒乱をきっかけに、デトロイトの街の各地で、大規模な略奪・放火・銃撃が勃発した。こうした非常事態に、ミシガン州は州警察と軍隊を投入。街には無数の兵士と戦車が行き交うようになる。

――そして、暴動発生から3日目の夜。

とある食料品店に民間警備員として雇われていたディスミュークス(ジョン・ボイエが)はバージニア・パークのそばにあるアルジェ・モーテルから”狙撃者による発砲”があったという騒動を聞きつけ、警察とともにモーテルにやってきた。

真っ先にモーテルに突入したのは、デトロイト市警の白人警官クラウス(ウィル・ポールター)。

クラウスは、街で略奪を行っていた一般市民の黒人男性に発砲するなど、警察の規則に背く行為を行う、人種差別主義の危険人物だった。

実は、モーテルでの発砲は、黒人青年カールが窓際でオモチャの銃をならしただけ。つまり、たわいない悪ふざけだったのだが、警察の突入に慌てて階段を駆け下りたカールを、クラウスはためらうことなく背後から射殺する。

そして、クラウスはカールが倒れた現場にこっそりとナイフを起き、正当防衛を偽装するのだった。

さらにクラウスの暴走は止まらず、モーテルに居合わせた若者たちを次々と拘束する。

音楽業界での成功を夢見る、デトロイト出身の黒人ボーカルグループ「ザ・ドラマティックス」のリード・シンガーのラリー。メンバーの弟のフレッド。

モーテルに滞在していたふたり組の白人の女の子、ジュリーとカレン。

ベトナム帰りの復員兵グリーン。

ふざけてオモチャの銃を撃ったカールの仲間のリー、オーブリー、マイケル。

彼ら全8人を、クラウスは1階の廊下に整列させる。

モーテルのどの部屋からも銃が見つからないことに苛立つクラウスは、8人に執拗な暴力を加え始める。クラウスによる過激な尋問はいっそうエスカレートし、モーテルに新たな惨劇を引き起こし……。

◼︎監督は女性初のアカデミー監督賞受賞者キャスリン・ビグロー

この衝撃作のメガホンをとったのは、女性初のアカデミー監督賞受賞者でもあるキャスリン・ビグロー監督です。

1951年、カリフォルニア州サンカルロスに生まれたビグロー監督は、フィルムスクールで修士号を取得すると、83年に長編デビューします。

91年の『ハートブルー』や、02年の『K-19』など多数の作品を発表し続けると、08年に約1500万ドルの低予算で製作した『ハート・ロッカー』が世界的に絶賛されました。イラク戦争の爆発物処理班に所属する米軍兵士を描いた同作品は、アカデミーで作品賞・監督賞を含む6部門を受賞します。

さらに、女性CIA分析官によるオサマ・ビンラディン捜索の舞台裏を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』を12年に発表すると、同作もアカデミー賞の5部門でノミネートされるなど、センセーショナルな題材選びと、骨太な作風に大きな定評を得てきました。

本作でも実際に起きたデトロイト暴動の「アルジェ・モーテル殺人事件」を圧倒的なリアリティで映像化し、その手腕を高く評価されています。

◼︎映画史上に残る戦慄の”死のゲーム”。衝撃の40分に目が離せない

警察や軍が、オモチャの銃による発砲を”狙撃者による発砲”と誤認したことに端を発した「アルジェ・モーテル殺人事件」の被害者は、若い男女9名(黒人男性7名、白人女性2名)。

そのうちひとりの黒人男性が、デトロイト市警の白人警官に射殺され、残る8人が発砲の容疑者として、強制的な尋問を受けるはめになりました。

人権問題に抵触しかねない現場への関与を恐れたミシガン州警察は、見て見ぬふりをして現場から立ち去り、モーテルは逃げ場のない密室状態となります。本作では、その拷問シーンがなんと40分も続きます。

8人を廊下に並ばせ、ひとりを別室に連れ出し、その鼻先で拳銃を発砲した白人警官・クラウスは、泣き叫ぶ残りの7名に「あっけなく死んだぞ。嘘をつくとああなるんだ」と脅し文句を告げます。
それは、8人を順番に殺すとほのめかし、彼らを完全に服従させようとする”死のゲーム”だったのですが……。

現場に居合わせた黒人民間警備員のディスミュークスは、捜査に協力しながら、穏便にことを済ませようとしますが、興奮状態にあるクラウスを抑えることができません。

果たして、8人の若者は無事にモーテルから抜け出せるのか……。約50年前に、アルジェ・モーテルで起きた事件のその衝撃の真相とは――?

『デトロイト』は1/26(金)より全国公開です。

◼︎『デトロイト』公開情報

『デトロイト』
2018年1月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
監督:キャスリン・ビグロー『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』
出演:ジョン・ボイエガ、ウィル・ポールター、アルジー・スミス、アンソニー・マッキー
配給:ロングライド
上映時間:142分
公式サイト:http://www.longride.jp/detroit/
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古川 ケイ

映画ライター。新作映画情報サイト「木曜日のシネマ」運営。 大学卒業後、インディペンデント系映画配給会社に入社し、映画業界誌の編集・ライター業務に従事したのち、宣伝部にて洋・邦映画作品の宣伝を手がける。その後テーマパーク運営...

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