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妊婦さんの味方「陣痛タクシー」ができるまで

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その年の女性のあしたが輝く社会に貢献していると考えられる商品・サービスを表彰する「女性のあした大賞」が2017年12月7日に発表され、今年は「陣痛タクシー」がサービス部門で大賞を受賞しました。今回は授賞式会場でサービスの開発背景などを伺ってきました。

妊婦さんの味方「陣痛タクシー」ができるまで

「女性のあした大賞」とは

「女性のあした大賞」とは、日本における女性客マーケティングのパイオニアである株式会社HERSTORYのシンクタンク「女性のあした研究所」が昨年から発表している賞。

その年の女性のあしたが輝く社会に貢献していると考えられる商品・サービスがノミネートされ、昨年は「足元ぬくぬくマットレス(アイシン精機株式会社」)が商品賞を、ドラマ『逃げ恥』でも注目を集めた家事代行サービスの株式会社ベアーズがサービス賞を受賞。

2年目となる今年は、特別賞を含め8社の商品やサービスが発表され、そのどれもが女性ならではの視点がふんだんに取り入れられており、各賞の発表では大きな拍手が送られていました。

最前列右から、HERSTORY代表取締役日野佳恵子さん、JapanTaxi佐藤絵里さん、日本交通野村貴史さん、JapanTaxi新井辰宏さん。

「陣痛タクシー」、ご存知ですか?

さて今回は、同賞のサービス部門で大賞を受賞した「陣痛タクシー」に着目。

陣痛タクシーとは、実際に妊婦さんをタクシーで送迎する日本交通株式会社と、陣痛タクシーに登録した妊婦さんへお祝いのマタニティギフトを贈るJapanTaxi株式会社の2社で運営するサービス。

その名の通り、産気づいた妊婦さんを病院へと送迎する、というもの。このサービスが生まれた背景について、授賞式に出席していた日本交通株式会社の野村貴史さんに伺いました。

「陣痛タクシー」HPより

「2012年5月にスタートして今年で5年半になります。それ以前にタクシーで産気づいた妊婦さんをお送りすることはやっていたんですよね。でも、妊婦さんのなかには『タクシーを呼んでもいいのかな』と不安に思っていらっしゃる方も多かったんです。かといって、救急車も『出産は病気ではない』ため、基本的には呼んではいけないことをご存知ない方も多くて」

「それなら、タクシーをご利用いただけることを、わかりやすくアピールしようということで打ち出したんです。弊社のサービス対象エリアは東京23区と三鷹市、武蔵野市ですが、おかげさまで現在は累計15万件のご登録をいただいておりまして、都内の妊婦さんの30%にご登録いただけています」

「陣痛タクシー登録および利用件数」HPより

一般のタクシーとどう違う?

では、陣痛タクシーは通常のタクシーとは何がどう違うんでしょうか? 引き続き野村さんに伺いました。

「まず、ご自宅とかかりつけの産婦人科、出産予定日などを事前登録していただきます。それにより、お電話をいただいた時点で、どこのどなたからのお電話で、どこにお迎えに上がってどこまでお送りすればよいかがわかります。なので、妊婦さんは登録していただいたら、あとは電話をかけるだけでいいんです」

「さすがに産気づいているときに、冷静にタクシーを呼んで状況を説明したり、道案内をしたりするのも大変ですよね。その手間もいらないところはご好評をいただいています。また、専用回線で24時間365日最優先で受付しているので、話し中でなかなかつながらないという不安にも対応しています」

「陣痛タクシーでのお電話が入ったときには、それ以外のお客様よりも優先して妊婦さんをお迎えに上がります。弊社のドライバーは全員が助産師による妊婦さんご送迎の講習を受けていて、万全の体制で妊婦さんからのお電話をお待ちしています」

「非常に稀なケースですが、実際に送迎の車内で赤ちゃんが生まれたこともありました。そのときは病院と連携して無事にご出産されましたが、そういった万一のときにも安全に落ち着いて対処できるよう、私たちも日々気を引き締めています」

妊婦さんに嬉しいマタニティギフト

今回の「女性のあした大賞」サービス部門の大賞受賞には、陣痛タクシーに登録することでもらえる「マタニティギフト」の内容が素晴らしい、という点もあったそうです。

マタニティギフトは、JapanTaxi株式会社が、日本交通の陣痛タクシーをご利用の方に、産前産後に必要なアイテムを詰め込んだギフトをお届けする、業界初の取り組み。

これについては、JapanTaxi株式会社の新井辰宏さんにお話を伺いました。

陣痛タクシーに登録すると、マタニティギフトがもらえる

「JapanTaxiは、日本交通の子会社として『タクシーの乗車体験』を進化させ、新しい公共交通のインフラを創っている会社です。マタニティギフトもそのうちのひとつとして、妊婦さんにもっと安心して、もっとワクワクしてそのときを迎えてほしいという思いからスタートした取り組みです。

私を含めて小さい子どもがいる社員がいまして、実際に使って良かったものや、こういうものがあったら嬉しいというものをリストアップしたんですね」(新井さん)

「そうやって実体験から選ばれた『本当にあったら嬉しいもの』を、主旨をご理解いただける協賛企業様からご提供いただいて、陣痛タクシーにご登録くださった皆様にお届けしております。中身は7〜8社から提供いただいた7〜8点の商品が入っています。

ありがたいことに大変ご満足いただき、受け取ってくださった妊婦さんがお友達にも口コミしてくださったりもして、そういう声を耳にすると、私たちも嬉しく思います」(新井さん)

女性に心強いサービスを

今回、JapanTaxiからは女性メンバーとして佐藤絵里さんが出席されていました。女性としてこのサービスをどう思うのか、お話を伺いました。

「私にはまだ子どもはいませんが、女性としてとても心強いなと思います。実際に産む立場になったときに、いつ陣痛が来るのか、そのとき自分はひとりなのか、誰かと一緒にいられるのか、やっぱりわからないですよね。でも、事前に登録しておけば、万一のときでもひとまず大丈夫と思えるので、その安心感はあります」

「自分が関わっているマタニティギフトでも、お届けするものを選ぶときに実際に見て触って確かめられるので、それもいつか自分が使うときのためにも勉強になるなとは思っています」

妊婦さんに、もっと安心を

今回お話を伺って、非常に多くの妊婦さんが登録されていること、しかしながら、いまだタクシーで産婦人科に行くことにためらいを持っている妊婦さんがいることも知りました。

特に初産ともなれば、急な陣痛や破水はいくら心づもりをしていても、落ち着いてはいられないもの。都内で両親とは別居で、夫も仕事中で自分ひとりで家にいるときに、その瞬間が訪れるかもと思えば、陣痛タクシーのようなサービスは心の支えになるのではないでしょうか。

子を持つ親が、これから子を持つ親になる人たちへ、思いやりいっぱいで運営されている陣痛タクシー。

同様の取り組みが、いちはやく全国の隅々にまで広がることを願って止みません。

取材協力

「陣痛タクシー」

お問い合わせ先
0570-08-2151
平日9:00-17:00(年末年始を除く)

「マタニティギフト」

お問い合わせ先
050-3204-4470
平日9:00-17:00(年末年始を除く)

※画像は取材協力先の許可を得て掲載しています。

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安 憲二郎

ことばデザイナー/映像作家/コミュニケーションコンサルタント。20年で21回の転職、40の職種を経験したのちに独立。キャッチコピーやコラム執筆、映像制作、コミュニケーション講師やプロモーション企画などのほか、Ameblo「自...

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