純愛なんぞ、どこかに捨ててきた

純愛なんぞ、どこかに捨ててきた

ピュアな恋がしたい、などと言ってみたりするが「ピュア」「純粋」な恋とはなんなのか。恋にピュアなどという言葉は当てはまるのだろうか。あるのだとしたら、少し夢見てみたい。


学生時代に、

「所詮、男なんて下半身で恋愛してるんだよ。下半身がときめかなかったら恋じゃない」
と言っている先輩(男)がいた。

「彼女って、自分にとって女神だと思うんですよね。自分の世界を変えてくれるし!」
と言っている後輩(男)がいた。

とりあえず「下半身がときめくってなんですか」と真顔で聞き返した覚えはあるけど、彼女のことを女神だと言っていた彼にはなんて言ったか覚えていない。でも「女神かあ、それはかなり荷が重そうだなぁ」と思った。いいな、私もそんな存在になりたい、とは思わなかった。

■ピュアな恋とは

10代から20代のころはちらほらと「ピュアな恋がしたい」と言っている人がいた。男性が多かったように思う。

「ピュアってどんなの?」
「そりゃあ見返りを求めず、愛し愛される関係だよ」

見返りを求めるとは言ってもその内容による。
ブランド物のバッグをプレゼントしたんだから、それ相応のお返しをちょうだい、とか。
でも、愛し愛される関係って「こっちがこれだけ愛してるんだから、そっちも同じぐらい愛してよ」というものとは違うんだろうか。見返りじゃないんだろうか。そうなるとピュアな恋が存在しなくなるけども。

とりあえず、好きだと思う相手に好きって言えればそれでいいんじゃないかな! と思ったり……。

■好きという感情に余計な脂肪がついていく……これが大人の恋なの?

若いころはよく「好きってなに?」「付き合うってなに?」などと言って大人ぶってみたりもした。
実際に大人になるとなんとなく「恋とはこういうもの」と納得していたはずだった。でも、30代過ぎたころからまた考えてしまう。

人を好き、という感情はどこから湧いてくるんだろう? 

だんだん、わからなくなってくる。感情が大きく動かされることもなくなり、力の限り好きだと叫びたくなる衝動もない。でもなんとなく好きな人もいないといけないような気がして……。

大人になってから厄介なのは、好意を持った相手が結婚していたり、恋人がいるケースが増えることだ。理性ある人なら「本当に好きになる前にやめておこう」と自制する。

それに「いい人だけど、趣味が合わなそう」「顔はタイプだけど収入が少ないみたい」「長男だって言ってたから何かと面倒かもしれない……」好きになる前にいくつものハードルができてしまう。

好きという気持ちに余計な脂肪がついていくような感覚。

■もしかしたら道ならぬ恋が一番ピュアなのか

そんなことを考えていると、すべてのしがらみを取り払って「好き」という気持ちだけで行動している不倫が一番ピュアなのではないかと思ってしまう。鬱屈した夫婦生活の中に、心ときめくような異性に会えば、女神だ、救世主だとなるかもしれない。

なにも考えずに恋をしようとしたら、誰にも祝福してもらえない形になってしまうのだろうか。

人を好きになるにも障害は多い。好きだと伝えてみても、相手に嫌がられれば迷惑行為になってしまいそうだし、そもそも「ピュアな恋をしたい」と言っている時点でなんだか違う気がする。

ただ恋がしたい、誰かを好きになりたい。そう思って恋をするものでもないし、どこで純粋な気持ちを忘れてきてしまったのか。それに、もはや好きという気持ち自体がピュアじゃないのでは!? 

……という思考のループにハマりそうだ。こんな「好き」という感情に説明をつけようとする自体、間違っているのかもしれない。

この記事のライター

シナリオライター。1982生まれ、大阪府出身。大学卒業後、2006年よりライターとして活動を始める。現在は胃が虚弱な痩せ型男性と暮らしながらラブストーリーについて考える日々。焼き鳥とハイボールと小説、好きなアイドルのライブに...

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