風は秋色。ブレラを散歩〜ミラノ通信#19
歩いているだけでも楽しい、ミラノの秋。主に味覚を中心にご紹介した前回に続き、今回はカフェやブティックなど、ブレラ地区の街角をご紹介します。ミラノ在住の河見恵子さんに教えていただきました。
■ミラノの秋を訪ねて。ブレラ地区を散歩
秋色のミラノ散歩、前回はメルカートと食材メインでした。今回はブレラ散歩、そしてチェントロまで気ままな散歩にお付き合いください。
ミラノはとても小さいので、ブレラ地区からドゥオーモのチェントロまで徒歩10分、モンテナポレオーネ通りなどのショッピングストリートまでも徒歩10分。逆方向にあるセンピオーネ公園や中華街まで、徒歩5〜6分。大体のところは徒歩圏です。
■個人経営のブティックは、古き良き時代を思い出させてくれる
閑静な住宅街、ブレラ美術館の先は洒落たブティックやレストランが軒を連ねています。イタリア全土に展開しているようなチェーン店ではなく、個人経営が多いのが特徴。それぞれにしっかり顧客がついて、今も昔も変わらない、古き良き時代を彷彿とさせる雰囲気です。
撮影にもよく使われる、The Storeオーナーの卓越したセンスの元に、メンズ、レディース揃っています
■戦後から続く老舗のレストラン「Ristorante Riglo」
レストランも多く、こちらは入れ替わりが激しいのですが、中には戦後まもなくから続く老舗レストランも。Ristorante Rigoloは老舗の風格、味とサービスに定評があります。
前回、ポルチーニ三昧したレストランの写真は、こちらのRigoloです。
これは、親切なカメリエーレが不器用なジャポネーゼに栗を向いてくれているところ。いつ訪れても、素敵な気分になるリストランテです。
平日はビジネスランチ中心ですが、週末は昔からずっと通っている雰囲気の家族連れで賑わっています。
デザインオフィスやショールームも多く、4月に開催されるミラノサローネの期間中は毎年、ブレラ地区だけも170余りの展示があり、かなりの賑わいとなります。
アンティークショップや工房も点在していて、モダンだけでなくレトロなものも自然と混じり合う、ホッとできるエリアです。
アンティーク店の店先、色とりどりのカットグラス
■カフェ、香水、文具店。ブレラ通りを寄り道
ブレラ美術館には美術学校も併設され、そのせいか界隈には道にテーブルを並べるカフェ形式の店が多いブレラ通りの入り口。パリと違ってカフェ文化ではなくバール文化のミラノでは、意外と珍しい光景です。
その先は、画材道具店、画廊が集まるエリアが続き、道幅も狭く遊歩道のようなブレラ通り。
チョコレートや軽食で人気のカフェ、香水、オードトワレを扱う香りの店が数件、紙やカード、文具の店がその両側に点在しています。
お気に入りのヴィンテージショップもあるので、店を覗いたり挨拶したり、この通りを抜けてチェントロに出るのに、つい寄り道して時間がかかることも。
■美しいガレリアのアーケードを通り抜けて
信号を超えると通りの名前が変わり、ジュゼッペ・ベルディ通りに。道幅も広がり、その先にはスカラ座が続いています。2〜3分もすると、スカラ座広場に到着です。
スカラ座広場からガレリアを抜けると、ミラノのチェントロ、ドゥオーモ広場が広がります。
ガラス製のドームで覆われた中央のクーポラから伸びる空間が美しいガレリアのアーケードは、通るたびにその荘厳な美しさに心奪われます。
完成まで約500年かかったドゥオーモといい、素晴らしいものを後世に残すため尽力した人々、そして、修復を重ねながら維持していく人々。こんなところはやはり、ヨーロッパ文化の素晴らしいところだと思います。
昔ながらの空気が感じられるエリアだからこその落ち着いた雰囲気があり、店が変わっても代が変わっても、その雰囲気をしっかり残しているブレラ地区は、散歩がてら歩いていると心楽しいところです。
素敵なストーリーもたくさんあるので、また改めてご紹介しますね。
■秋風を感じながら、ミラノの秋を楽しむ
秋のミラノは、独特の雰囲気があり、そぞろ歩くのに最適な季節です。大きな展示会が続いて賑わう春、日差しが強くなりバカンス前の楽しい助走シーズンの初夏(バカンスシーズン本番はゴーストタウンとなります)、どんより曇り空の冬も、それぞれに味があるのですが、やはり秋は落ち着いた良い季節。
心なしか、少し冷たく感じる空気も澄んでいるような、そんな日々です。
ミラネーゼの秋冬ファッションはモノトーンですが、色遣いやバランスが絶妙でおしゃれ上級者が多いのも、見ていて楽しいもののひとつです。
秋の味覚を存分に楽しみ、秋色の風を感じながら散策するのがオススメな、秋のミラノです。