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レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル11月18日(土)より森美術館にて

金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》の作家としてしられるアルゼンチン出身のレアンドロ・エルリッヒ。24年に渡る活動の全容を40点の作品で紹介します。東京・六本木ヒルズの森美術館11月18日(土)から2018年4月1日(日)まで。

レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル11月18日(土)より森美術館にて

見ていることだけが、現実でしょうか? レアンドロの作品は問いかけます。

レアンドロ・エルリッヒは、国際的に活躍するアルゼンチン出身の現代アーティストで、日本では金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》の作家としても知られています。大型のインスタレーションから映像まで、エルリッヒの作品は視覚的な錯覚や音の効果を用いて、わたしたちの常識に揺さぶりをかけます。

レアンドロ・エルリッヒ
《建物》
2004年
リノリウムにデジタルプリント、照明、鉄、木材、鏡
800 x 600 x 1,200 cm
展示風景:ニュイ・ブランシュ、パリ、2004年
※参考図版

一見どこにでもある見慣れた風景ですが、よく見ると、水がないのに舟が浮かんでいたり、人々がさまざまなポーズで壁に張り付いていたりと、その異様な光景に観客は驚きと違和感を覚えることでしょう。自分が見ていることは果たして現実なのか、という疑いを抱くとともに、いかに無意識のうちに習慣にとらわれて物事を見ているか、という事実に気付くのです。

レアンドロ・エルリッヒ
《建物》
2004年
リノリウムにデジタルプリント、照明、鉄、木材、鏡
800 x 600 x 1,200 cm
展示風景:104-パリ、2011年
※参考図版

本展は、エルリッヒの24年にわたる活動の全容を紹介する、世界でも過去最大規模の個展です。1995年から2017年までに制作された作品のうち約40点を紹介し、その8割が日本初公開となります。

展覧会のみどころ

1)多くが日本初公開! 初期の作品から新作までを網羅的に紹介

本展は、1995年に制作された初期の作品から新作までを網羅的に紹介することで、エルリッヒの24年にわたる活動の全容に迫る世界でも過去最大規模の個展です。出展作品約40点のうち、その8割が日本初公開作品で構成されるため、今まで見たことのない、エルリッヒ作品の新たな魅力に出会うことができます。

レアンドロ・エルリッヒ
《試着室》
2008年
展示風景:イグアテミ・ショッピングモール、サンパウロ、2016年
撮影: Luciana Prezia
Courtesy: Iguatemi Shopping Mall

2)「現代アートっていいね!」を実感、誰もが楽しめる展覧会

不思議と驚きに溢れ、好奇心を刺激するエルリッヒの作品は、観客自らが参加し体験することで初めて完成されます。さらに建物や教室、地下鉄、エレベーターなど日常の中のありふれたものが作品のモチーフとなっているため親しみやすく、現代アートに馴染みがなくても、誰もが気軽に楽しむことができるでしょう。

レアンドロ・エルリッヒ
《スイミング・プール》
2004年
コンクリート、ガラス、水
280 x 402 x 697 cm
所蔵:金沢21世紀美術館
撮影:木奥惠三
画像提供:金沢21世紀美術館
※参考図版

3)写真撮影が可能、大規模で建築的なインスタレーション作品

エルリッヒの作品の中でも特に人気がある「建物」シリーズが、本展にも登場。これは、観客が床に置かれた建物のファサード(壁面)に寝転がって思い思いのポーズをとると、鏡の効果で、まるで重力に逆らったようなアクロバティックな体勢で、壁や窓枠にしがみついているかのような光景が生まれる、大規模な体験型インスタレーション作品です。作品の一部になった自分自身の不思議な姿を、写真に撮って楽しむこともできます。

4)世界が違って見えてくる! 新たな見方を与えてくれる作品群

見慣れた風景に僅かでも認識の“ずれ”が生じると、人は突如として違和感を覚えます。エルリッヒの作品は、私たちが当たり前のこととして疑いもせずに受け止めている現実の中に、不思議で奇妙な空間を提示することで、私たちに「現実」とは何かを再考する機会を与えます。習慣や既成概念がいかに私たちの認識に影響を与えているかに気付くことで、鑑賞後の世界も今までとは違って見えることでしょう。

5)作品の背後に込められた、社会的メッセージと批評性

誰もが楽しめるエルリッヒの作品ですが、その背景には社会的メッセージが込められています。たとえば『シンボルの民主化』は、ブエノスアイレスの街の中心にそびえるオベリスクをテーマにしていますが、権力の象徴である建造物を一般市民に開放したプロジェクトとして話題になりました。また、本展のための新作『教室』は、廃墟化した教室に自分の姿が亡霊のように映り込む作品で、日本が抱える少子化や過疎化などの問題を示唆し、観客にその未来像を考えさせます。

レアンドロ・エルリッヒ
《シンボルの民主化》
2015年

レアンドロ・エルリッヒ展概要

会期:2017年11月18日(土)~2018年4月1日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53F)
開館時間:10:00~22:00(最終入館 21:30)※火曜日のみ、17:00まで(最終入館 16:30)
料金:一般  1,800円/学生(高校・大学生)1,200円/子供(4歳~中学生)600円
お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
主催:森美術館
後援 アルゼンチン共和国大使館
企画:椿 玲子(森美術館キュレーター)

レアンドロ・エルリッヒ プロフィール

撮影:Alejandro Guyot

アルゼンチン出身の現代アーティスト。1973年、ブエノスアイレス生まれ。現在はブエノスアイレスとウルグアイ、モンテビデオを拠点に活動。
ホイットニー・ビエンナーレ2000(ニューヨーク、2000年)をはじめ、第49回ベネチア・ビエンナーレ(2001年)、第26回サンパウロ・ビエンナーレ(ブラジル、2004年)、リバプール・ビエンナーレ2008(イギリス、2008年)といった多くの国際展に参加、また、ポンピドゥー・センターで開催された「パリ・デリー・ボンベイ展」(フランス、2011年)にも出展。
主な個展に、ローマ現代美術館(イタリア、2006年)、MoMA PS1(ニューヨーク、2008年)、エスパシオ・フンダシオン・テレフォニカ(マドリッド、2017年)、ニューバーガー美術館(ニューヨーク、2017年)など。国内では、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(新潟、2006年、2012年)、瀬戸内国際芸術祭2010(香川、2010年)などに参加し、2014年には金沢21世紀美術館にて日本初の個展を開催。

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