1. DRESS [ドレス]トップ
  2. カルチャー/エンタメ
  3. 【大人の教養】日本の”焼き物”は知れば知るほど面白い!

【大人の教養】日本の”焼き物”は知れば知るほど面白い!

Share

大人なら知っておきたい自国の文化。その中から今回は最も身近な”焼き物”を取り上げて、基礎からおさらいします。基本的な知識から、メジャーな焼き物の特徴、おすすめの掘り下げ方や楽しみ方をご紹介します。

【大人の教養】日本の”焼き物”は知れば知るほど面白い!

◼︎焼き物は、日本で最も身近な文化財

自国の文化なら知っていて当たり前! と言いたいですが、身近にあるがゆえに、意外と深く考えたことがなかったり、うろ覚えだったりするものです。

私自身、華道や茶道をやっていた祖母に影響を受け、幼い頃から焼き物に触れる機会はありましたが、当時は違いも良さもまったくわかりませんでした。

しかし、30歳を過ぎた頃から少しずつ気になりはじめ、今では自分のために器を買ったり、抹茶を点てたりして楽しんでいます。

食器や花器として日常的に使われている焼き物。その歴史はとても古く、ひとたびその魅力を知ると、いわば文化財を扱っているようなものだな、と思えるほど。

奥深さは計り知れませんが、知りすぎることはないので、まずは基本からおさらいしていきましょう。

◼︎磁器と陶器の違い

日本で古くから作られてきた陶磁器。

日本独自のものだと、よく知られる縄文土器などがありますが、中国や朝鮮からも優れた技術・文化を取り入れながら、日本各地でそれぞれに成長していきました。

現在、国の伝統的工芸品に指定される産地(焼き物)だけで31種類もあります。さて、現在で言われる”焼き物”とは、陶磁器(磁器と陶器)の総称ですが、違いをご存知ですか?

陶器は、”土もの”と言われるように、粘土から作られ、800〜1250度という比較的低温で、まずはそのまま(素焼き)焼き上げられます。

そこへ釉薬(うわぐすり)をかける場合は、もう一度焼かれて(本焼き)できあがり。土鍋のように厚手で吸水性があり、光を通さず、土の色が目でも感じられるのが特徴です。

対して磁器は、石英や長石などの岩石を粉砕したものを粘土に混ぜて作られ、”石もの”と呼ばれます。
1300度の高温で焼き上げることで、表面に塗った釉薬が溶けて浸透し、表面が滑らかに仕上がります。光を通して水を通さないため、食器に向いている焼き物といえます。

厚手で土のザラザラ感が見られるのが陶器。薄手で白く、ツルツルしているのが磁器というのが覚えやすいでしょう。

◼︎日本生粋の六古窯

各地で発展してきた陶磁器の中でも、古くからある窯(かま)という意味で日本六古窯(にほんろっこよう)と呼ばれる代表的な6つの産地/焼き物ができあがりました。

愛知の常滑焼(とこなめ)、滋賀県の信楽焼(しがらき)、福井の越前焼、兵庫の丹波焼、岡山の備前焼、そして愛知の瀬戸焼です。

瀬戸焼以外が無釉(釉薬なし)、瀬戸焼のみが釉薬を使用した製陶方法で、陶器も磁器も両方作られています。
六古窯は、この後に朝鮮や中国から渡ってきた技術を使った他の窯と明確に区別されており、いわば日本オリジナルのものと言えます。

六古窯はいずれも平安末期から室町時代にできあがった産地で、土そのものの風合いや焼き上がりの表情の違いが、千利休を代表とする茶の湯の文化人たちにも好まれました。

茶道や華道がお好きな方は興味深いかもしれませんね。

◼︎西洋でも愛された染付磁器

桃山時代には朝鮮・中国から渡来した技術から、唐津、有田、萩などの焼物も登場し、六古窯にも大きな影響を与えました。

特に新しかったのが染付の技術。肥前・有田(佐賀)で始まり、白い磁器に鮮明な色彩を描くこの技術は、酒井田柿右衛門により”赤絵”とも称され、伊万里港から海外へ輸出されました。

伊万里港……そうです、伊万里焼です。この伊万里焼、オランダの東インド会社によりヨーロッパに輸出されましたが、花鳥図を代表する”柿右衛門様式”が非常に人気で、王侯貴族たちによって好んで収集されたほど。

有名なドイツの名窯・マイセンでも、大量に模倣品が製造されました。

また、同じ色絵磁器で有名なもので加賀(石川)の九谷焼があります。江戸前期に一度衰退したものの、1823年のウィーン万博で”ジャパンクタニ”としてその名を世界に知らしめました。

他にも少し変わった焼き物で、安土桃山時代に長次郎が広めた楽焼(らくやき)があります。轆轤(ろくろ)を使わず手とヘラのみで作られ、その自然な歪みが趣深い陶器で、特に黒いものを千利休が愛したといわれます。

◼︎まずは好きな器から紐解く

さて、このように焼き物それぞれのエピソードを知ると、なんとなく身近なものに思えてきませんか?

前出の焼き物以外にも、美濃焼や益子焼、京焼などなど、日本にある焼物の種類は実に多く、ここではとてもご紹介しきれませんが、歴史をさかのぼったり、その作り方を調べたりすることで、これまでと違う器の顔が見えてきます。

例えば私は萩焼の抹茶碗が好きで、白さの中に、時間とともに変化するあたたかい赤みがとても趣深い焼物だと感じています。

茶碗、ぐい飲み、花器。まずはどんなものでも、好きなものを選んで、そこから知識や愛着を深めていってはいかがでしょうか。

魯山人など著名人の展覧会や美術館へ行って目を肥やしたり、陶器市などへ行って実際に手に取り、よく作る料理に合いそうなもの買ってみたりするのもおすすめ。

大人ならではの楽しい趣味が増えていくはずです。

Share

網師本 薫

アクセサリーブランドVIOLUKA(バイオルカ)代表兼デザイナー、マクロビオティック料理教室主宰、フードコーディネーターなど。2児の母。

Latest Article