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【MBA的恋愛学#3】彼との喧嘩は情報戦――相手を快く動かすことができる対話を

「MBA的恋愛講座」では、知っておくとちょっとモテる、経営学仕込みの恋愛テクニックを披露します。今回ご紹介するvol.3はついつい不毛でエンドレス、平行線になりがちな恋人との喧嘩で使える「ファシリテーション」の技術「ZOPA」と「BATNA」です。

【MBA的恋愛学#3】彼との喧嘩は情報戦――相手を快く動かすことができる対話を

こんにちは。穂高あんずです。

私は大学院でMBA(経営学修士)を取得しました。

そして、経営学を学ぶうちに
「これって……恋愛でも同じことが言えるのでは?」
「むしろ経営学の理論を使えば、恋愛のストレスや日常でのうまくいかないことが解消できるかも」
と気づき、MBA的な恋愛学を考えてみることにしました。

今回ご紹介するのは、経営学でいう「BATNA(最悪妥協できる点)」と「ZOPA(お互いが許容できる範囲)」を、恋人との喧嘩やお願いを聞いてほしい場面に生かしたものになります。彼との喧嘩はつい感情的になって長引いてしまう……という女性は、ぜひこちらを参考にしてみてくださいね。

■こんな経験はありませんか?

彼は束縛が厳しいタイプ。過去に付き合っていた女性に浮気をされたことがトラウマで、私には「男友達とは遊びに行くな、男のいる空間には行くな」と言ってくる。女友達と一緒でも「レストランやバーには男もいるから行くな」と言われている。

浮気なんかするつもりはまったくないけれど、仲良しのメンバーで話題のレストランやバーには行ってみたい。でも彼の反応を考えると言い出せない日々。

それでも彼のことが好きだから、同棲している家でご飯を作って待っているけれど、最近帰りが遅い。溜まるモヤモヤ……。

そんな昨日、ついに0時を過ぎて帰ってきた彼にモヤモヤとイライラをぶつけてしまった。

「なんで私ばっかり我慢しないといけないの!」
「私だって遊びにいきたい!」
「最近帰り遅いよね? なんで?」

すると彼は
「疲れているんだ、そんなにわめかれてうんざりだ、もういいだろ!」
と寝てしまった。

■相手を「快く動かす」ことができる喧嘩

もちろん、彼女だけが悪いわけではありません。モヤモヤがたまって爆発してしまったのも仕方がなかったかもしれません。

しかし少しだけ冷静になって、彼の「事情」に思いを馳せてみましょう。

・もしかしたら今大きな仕事を任されていて、仕事がとても忙しいのかもしれない

・元彼女だけでなく、お父さんもお母さんに浮気をされた経験があって、お父さんはずっと彼に「女の人に繁華街を歩かせるな」と教えてきたのかもしれない

・実は彼女を喜ばすために、仕事のあとに日雇いアルバイトをして給与以外にもお金を稼いでいるのかもしれない


……少しだけバカバカしいような、ありえないようなものも含めて「事情」を妄想してみましょう(少し冷静になれます)。

すると、今まで「自分のことしか見えていなかった視界」が「私と彼、双方の視界」になります。

大切なのはこの”視界”を手に入れること。その後初めて喧嘩という無駄な労力を使わずに「相手を快く動かす」準備に入ります。

■私たちがしたいことは相手をなじることじゃない

私たちが恋人と喧嘩してしまうとき、決して「相手をなじりたい」「ずっと喧嘩していたい」と思っているわけではありませんよね。

気持ちをわかってほしい、お願いを聞いてほしい……そう思うのに伝わらないもどかしさから感情的になってしまうケースがほとんどだと思います。

そこで、ついつい感情的になってしまいそうになる気持ちを抑えて、「私が今したいことは、彼に寂しいと伝えること、そしてもう少し束縛を緩めてほしいと伝えることだ」と自分自身で認識することを意識してみましょう。

この”伝える”を意識するときにポイントとなるのが、今回紹介する「BATNA(最悪妥協できる点)」と「ZOPA(お互いが許容できる範囲)」になります。

落としどころは事前に用意しておく

「BATNA」とは

不調時対策案……交渉が合意に至らなかった場合に取り得る選択肢の中で最も良い選択肢”。

彼との話し合いを始める前に、事前に自分の希望を知っておくための「最悪、ここまでなら妥協できる」という部分です。

とにかく早く彼に帰ってきてほしい、でも19時は無理だと思うし、私も22時から観たいドラマがある日もあるし、23時くらいなら許せるかな、という「23時」を自分の中で知っておくと、やみくもに「とにかくできるだけ早く帰ってきてよ!」なんて暴力的な発言をせずに済む。つまり自分の心が楽になるのです。

あるいは「帰宅時間については何も言わないけれど、私も女友達とレストランに出かけることを許してほしい」と提案するのもひとつの手かもしれません。

「ZOPA」とは
合意可能範囲……お互いの交渉が合意に至る可能性のある範囲。

前述のようにあなたは23時までには彼に帰ってきてほしい、と思っている。彼は21時以降なら帰れる日もあるかな、と思っていた場合、21時~23時までの間に彼が帰宅することがお互いに納得できる落としどころとなります。

よって、この範囲内で「じゃあ、22時半にしよう」などと決めることができます。

人は自分で決めたことは守りたい、と思うようにできています。あなたが一方的に「22時半に帰ってきてよね!」と言うよりも、彼が「自分で話し合って決めた」と思っている方が、約束を守ってもらえる確率も格段に上がります。

■相手の背後まで見る癖をつける

こうした話し合いをする際に大切なのは、「相手の背景をどこまで知っているか」ということ。

たとえば
・仕事はすごく忙しい(だから18時に退勤するのは無理)
・だけど会社の決まりで22時以降は残業禁止
・彼の会社は社外へのパソコンの持ち出しも禁止
・彼の部ではあまり飲み会に行く風習はない


などを普段の彼との会話から把握していたとしたら、「じゃあ19時帰宅は無理だけど、終電をすぎることはあまりなさそうだな」「終電ぎりぎりまで帰ってこないのは……ほかにどんな理由がありうるだろう?」などと冷静に推測することができます。「帰ってくるのが遅いってことは浮気でしょ!」などと根拠もなく彼を疑ってしまう事態は避けられるでしょう。

さらに、しっかり彼の会話での情報を覚えておけば、「月末は締め処理で忙しいって言ってたな」「それなら週末は出かけず家でゆっくりデートの方がいいかも」など気遣うこともできます。

また、彼の考え方に影響を与える要素にまで想像の範囲を広げることができると、あなたの精神的安心にもつながります。

たとえば、「彼は幼いころからおばあちゃんっ子だった。だから、おばあちゃんの教えてくれたことは今でも大事にしている。おばあちゃんは『とにかく男は女の前で弱みは見せてはいけないよ』と言っていたので、私の前で愚痴をこぼさないのは、信用していないということではないのだろう」など。

■プレゼンっぽくなると怖い。あくまで「対話」を意識して

ただ注意したいのは、あまりにも完璧に理詰めで行くと、まるで仕事の取引のように怖くなってしまうので、しゃべり方はゆっくり、ふんわりを意識してみましょう。

同じく、一方的にあなたが語り続ける「プレゼン状態」にならないようにも気をつける必要があります。あくまで「対話」をするよう、心がけてみてください。

これまでの「MBA的恋愛学」はこちら

穂高 あんず

不倫研究家、恋愛実務家。
何故か既婚者に口説かれる事が多い。恋愛は経営学を活用しこなすことでストレスが減ると思っています。

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