君も私も本当は「ぶりっこ」

君も私も本当は「ぶりっこ」

「ぶりっこ」というのはいつの時代も同性から冷たい目を向けられることが大半だ。しかし、かわいいこぶりっこはしていなくても、「○○ぶっている」女性は多い。そうやって擬態しないと、なんとも生き辛い世の中なのだ。


ある男性が言った。

「ぶりっこをするのはブサイクだけだ」

一瞬、正論のように聞こえたけど、思わず「えっ?」と聞き返した。

かわいく見せようとするのはブサイクだけで、容姿が良い子はそんなことをしなくてもいいからぶりっこなどしない……ということらしい。

いや、でも見た目がかわいい子でもぶりっこキャラはいるよ? と反論したが、「かわいい子はぶりっこしていても、していなくてもかわいいから、どっちでもいい」。

ハイハイ、そうですか。要するにかわいければなんでもいいということだろうか。

■最近は「ぶりっこ」を見るのが楽しい

ぶりっこというのは一般的に「かわいい子ぶっている」女性のことを言う。

20代のころは、ぶりっこをしている女性を見かけるとイラッとしていた。あのイライラは一体どこからやってくるのだろう。説明しがたいモヤっと感。いや、理由などないのかもしれない。嫌悪感と同時に、悲しい気持ちにもなる。

飲み会などで、「え~こんなに強いお酒飲めなぁい」と言っていた女性が、女子会では冷酒をグイグイ飲んでいる。これくらいわかりやすいといっそ気持ちが良いのだけれど。

しかし、ここ最近ではぶりっこしているらしい女の子を見るとワクワクしてきてしまう。

というのも、「ぶりっこをする」のは「自分がなりたい自分」「周りに見せたい自分」「周りが自分に何を求めているのかを承知した上で見せる自分」だから。隠しているつもりでも、どう見られたいか、どう見ているか、という本音がそこに垣間見える。

■ぶりっこは「かわいい」を演出するだけにとどまらない

ぶりっことは言っても、もはや「かわいこぶりっこ」だけではない。

・私、そんな細かいこと気にしないし? な「サバサバぶりっこ」

・そんな、私全然モテないし……ちょっと男の子は苦手かも、な「モテないキャラぶりっこ」

・ハイハイ、仕方がないなあ、私に任せときなさい、頼ってきなさい、な「姐御ぶりっこ」

などなど。ぶりっこというよりも、「ぶっている」と言ったほうがいいのかもしれない。

もともとそういう性格なら問題ないのだけれど、やっぱり無理して演じてしまっている部分、という場合はある。

それも、大半の人は無意識のうちにやっている。「ぶりっこ」をしているのは頭が良い人が多いように思う。その場で求められている自分を瞬時に判断して擬態する場合だってあるのだから。

■ありのまま、だなんて怖いことはできない

ありのままの自分でいられたらどんなに楽だろう。しかし、それは許されないことのほうが多いし、息苦しい空間を作ることになる場合が多い。

何かしらのお面をかぶっていないと、辛い。すっぴんで歩くのと同じような、居心地の悪さ。それは「大人」と言われている女性のほうが強く感じるものかもしれない。

大人になってすっぴんでいると「少しはメイクしたら?」と言われる。

ありのままでいれば「ちょっと空気を読んだらどう?」と言われる。

行き過ぎれば鼻につくけれど、何もしなかったから鼻つまみ。自然な自分でいたら、この世界はどんな軋轢が生まれるのだろうか。

「ぶりっこ見てるとイライラする」

その言葉はまさにブーメランで、何かを「ぶっている」自分もまた世の中を丸くし、誰かをイライラさせているのかもしれない。

でも、そうしていないと生きていけないのも事実ではないだろうか。

この記事のライター

シナリオライター。1982生まれ、大阪府出身。大学卒業後、2006年よりライターとして活動を始める。現在は胃が虚弱な痩せ型男性と暮らしながらラブストーリーについて考える日々。焼き鳥とハイボールと小説、好きなアイドルのライブに...

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