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大草直子、時計を使った手元のファッション

スタイリスト、ファッションエディターとして活躍する大草直子(おおくさなおこ)さんが、時計を使って手首をおしゃれに見せることについて語る。その日のコーディネートの、アイキャッチをどこにするかーーを考えたことがあるだろうか?

大草直子、時計を使った手元のファッション

アイキャッチとは、「どこか1つ視線が集まるところ」

鮮やかな色のニットを着るのもいいし、最新のシューズを履いたっていい。海外のファッションスナップなんかを見ていると、それはたいてい、おそらくその人が自信をもっているパートを強調するようなアイテムである、ということに気づく。

美しい筋肉が程よくついた脚のもち主なら、上質で艶っぽいストッキングにグラマラスなハイヒール、というように。私の場合はどこだろうと一生懸命考えて出した答えが、手首から肘までの部分。とても細かい指定のように思うかもしれないけれど、しょうがない。

手自体は小さくて好きじゃないし、やはり二の腕には自信がない。

首から肩にかけては気に入っているから、真夏になったら、背中が大きく開いたDRESSも着るけれど、それも季節限定だし。というわけで、浮上した、手首から肘を際立たせるおしゃれ。

長年恋い焦がれていた時計「IWCのポートフィノ」

そう思いついてから、ずっと長年恋い焦がれていた、IWCのポートフィノを手に入れた。

女性にしては、かなり大きめの、そして厚さもしっかりあるその時計は、必ず人の目に留まり、そして褒められる。特に男性に。

むろん、「あなたの手首はきゃしゃで素敵ですね」と言われているわけではないけれど、やはり、とても嬉しい。そうしてそこに、さまざまなブレスレットが加わっていった。マカオの、カジノの近くのジュエラーで買ったダイヤモンドのテニスブレスレットや(きちんと鑑定書もついていたし)、ニューヨークで購入した、石の名前は忘れたけれど、セミプレシャスストーンのブレスレット、おもちゃのように楽しげなミサンガは、34年来の親友からの誕生日プレゼント。

この組み合わせってきっと、ほかの誰にもできないわたしだけのもの。だからユニークだし、だから人目を引くのかな、と思う。

ファッションを通して、自信のあるパートを増やす

メンズライクな大きな時計にさまざまな素材を重ねる、という方法は、脚の美しさにも、完璧に近い全身のバランスにも、全く自信のない私に、ちょっぴりの自信をもたらし、そうして、こうやって細かく考えていけば、少しずつ「大好きで」「胸を張れる」パートが増えていくのかな、と前向きになれたのだった。

そして次に挑戦したいのが、足首をきれいに見せるコーディネート。先祖から受け継いだ大きな膝は見せたくないし、長年体育会計だった証のスポーティすぎるふくらはぎも、「大好き」とはまだ言えない。けれど、足首だけはとても気に入っているから、9分丈のパンツにきゃしゃで繊細なハイヒールなんて組み合わせに憧れる。例えば、マルジェラのシルクジャージーのパンツに、マノロ・ブラニクのメリージェーンのようなーー。

自分を好きになることの大切さ

こうして考えていくと、少しずつ自分のことを好きになっていくことに気づく。

あれも嫌い、ここも嫌いと言っているうちは、おしゃれも進まないのかもしれない。「好きなパートを、とことん褒めて伸ばしてあげる」。難しいようで、実はとても簡単。

そして、もちろん楽しい!

大草直子さんのプロフィール

1972年生まれ。B型。大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『ヴァンテーヌ』に勤務し、編集のキャリアを積む。ファッションエディター、スタイリストとして、複数の女性誌で活躍。著書『おしゃれの手抜き』『考えるおしゃれ』ほか。ベネズエラ人の夫との間に3人の子を持つ母でもある。

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