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クルーは家族 最終日のカーテンコール

東南アジアで最長の河川・メコン川を巡るクルーズ舟「アクア・メコン」の旅。4泊5日のリバークルーズを終え、なんとクルー全員で集合写真を撮影しました。ゲストが常にいる中での撮影はとても難しいものでした。全8回の連載、第7回です。【人生が変わるクルーズ体験#7】

クルーは家族 最終日のカーテンコール

いろいろ書いてきたが、「アクア・メコン」の一番の魅力を一枚の写真で表現するとしたら、この写真がふさわしいだろう。
逆に、この一枚で伝わるかもしれない。

これは、「アクア・メコン」の今回のクルーズに乗船していた全スタッフの集合写真。常にゲストがいる空間で、一つの空間に全員が集めるのは非常に難しいこと。ある意味、奇跡の一枚とも言えるかもしれない。

よく見て欲しい。彼ら、彼女たちの楽しそうな姿を。そして、20室の客室のゲストに対して、これだけのスタッフが快適に、思い出深い日々を過ごしてもらえるようにベストを尽くしているのだ。

この集合写真を提案したのは、クルーズ・ディレクターのジョニ。じつは、初日に彼女とキャプテンのポートレートを撮影したのだが、翌朝、深刻な顔をして、彼女から話があった。

「クルーは家族。私たちだけが、シップの代表のようにメディアに紹介されるのはまちがっている。誰か一人が欠けてもダメだと思う。それはパズルのピースが欠けたまま額に入れるようなもの。なんとか、全員を集めるチャンスを作るので、誰一人欠けることない集合写真を撮ってもらえないだろうか?」

その思いにノーとは言えない。それだけの気迫もあった。

フォトグラファーの福森氏は、フライパンのように熱くなった屋根の上で30分ほど全員が集まるまで粘ることになったが、それだけの価値のある写真だと思う。

ジョニは、以前ホテルで働いていた。そして、休みで2週間、カンボジアで過ごした時に、この国に恋をしてしまい、6年間ボランティアの仕事に身を投じることになったという。

土地の魅力もさることながら、人に魅せられたと教えてくれた。

そして、資金も底をついてきたので、以前の経験を生かして、「アクア・メコン」で働くことにしたというのだ。次なるチャレンジのために、大好きな土地でホスピタリティ業界に戻り働いているのだ。

だからこそ、地元採用である彼女たちは大切な家族であり、何よりの宝である。その思いを全員に伝えるためにも、最終日の夜にあるサプライズがあった。

それは、ジョニが自ら、普段は表に出ないスタッフたちも含めて、全員をフルネームで紹介していったのだ。その光景は、まるで舞台のカーテンコールのようだった。ゲストはもちろん、やむことのない拍手を送り続けた。

「アクア・メコン」の物語の最後を飾るのは、この写真を置いて他にないと思う。


●クルーズの問い合わせ先
アクア・エクスペディションズ日本地区販売総代理店
インターナショナル・クルーズ・マーケティング
Tel. 03-5405-9213

Photos : Kunihiro Fukumori
Text : Rica Ogura

DRESS編集部

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