【DRESS出版部 活動報告】どうしたら、いい本がつくれるの?
昨年末に誕生したDRESS出版部の第1回部活が2月9日(木)、東京都新宿区にあるブックカフェ神楽坂モノガタリで行われました。
出版部は毎月5〜6冊のビジネス書を出版し、2016年には「自分を変える習慣力」や「はたらく人のコンディション辞典」といったベストセラーや話題の本を世に送り出している、クロスメディア・パブリッシングとDRESSとのコラボ部活です。今回の部活では、2016年にやはり話題となった「本当に必要なものはすべて『小さなバッグ』が教えてくれる」の著者・横田真由子さんをお招きして、本を出したきっかけ、実際に1冊の本を書き上げるということはどういうことなのかをお話いただきました。
生まれ持っての行動力が、著作執筆を支えた!
横田さんはGUCCIの販売員として顧客獲得数No. 1の実績を上げ、その後独立して女性が自分らしいキャリアを築くためのカウンセラーや、企業での研修講師をなさっています。企業で仕事をしていた時から同僚や友人に一目置かれていたのは、行動力と情報収集力だそうです。横田さんのお話から、日常の行動が著書執筆につながっていることが分かりました。
・ 人の話や雑誌の情報などで気になったキーワードがあったら翌日でもすぐ見に行く、調べに行く
・ 素敵だなと思う人がいたら会って話を聞く
・ 自分が収集した情報は惜しみなくアウトプットする
気になったことを自分の目と耳で確かめることで、体験した確かな情報をつかむことができます。また、何かを知るために出かけることで、新たな人との出会い、そこで聴ける貴重なお話、大きな発見があるといいます。
横田さんの第1作である「本当に必要なものはすべて『小さなバッグ』が教えてくれる」(クロスメディア・パブリッシング)のコンセプトは、「バッグが小さければ身軽になり、出かけるのが楽しくなる。出かけた先には自分が予想していなかった風景や人との出会いがある」というもの。まさに、横田さんの普段の行動から得た体験や気づきが書籍になりました。
︎時代の流れに合った、キャッチーな視点を持つ
様々な体験を書籍の企画にするにはまず、「自分だけの視点」が重要だと横田さんは言います。さらに本の担当編集者によると、その視点が時代の空気、受け入れられるものと合致した時に企画として可能性が高まるのだそうです。
横田さんが「本当に必要なものはすべて『小さなバッグ』が教えてくれる」につながる出版企画を発表したのは、出版のためのスクールに通っていたことがきっかけでした。そのスクールが主催する企画プレゼン大会の審査員が「小さなバッグ」というキーワードにひっかかりを感じたのがチャンスとなりました。さらに担当編集者は「2015年くらいからミニマリストというライフスタイルが注目されていたのですが、横田さんが提唱する『本当にいいものを厳選して持つ』という『ミニマルリッチ』というコンセプトは、ミニマリストがブームになる中で受け入れられやすく、さらに新しいコンセプトだったのでいけると感じました」と、企画がスタートした当初を振り返りました。
・ 時代の空気感、ブームにも敏感になる
・ ブームの一歩先を行く独自の視点を持つ
・ 普段から流行や話題に対して「なぜそれが流行るのか」を深く考える
「流行っていることは多くの読者さんが知りたいこと。その知りたいことを発信する時に、自分だけのフィルター、つまり視点を通して情報の価値を上げることが著者には大切なのではないでしょうか」
これは横田さん自身、常に心がけていることだそうです。
2016年12月に出版された第2作「素敵な靴が一歩踏み出す勇気をくれる」を執筆する際は「素敵な靴って、どんな靴のことだろう」ということをとことん考えたそうです。世の中にはハイブランドの素敵な靴や高価な靴がたくさんありますが、それだけを「素敵な靴」とまとめてしまうのはどこにでもある情報です。そこで横田さんが考えたのは「女性は普段から様々な役割で生きている」ということ。「働く私」「妻の私」「母の私」といった、日常の役柄を引き立ててくれる靴を素敵な靴として、ポジティブに生きる秘訣を書き上げました。
︎迷ったら走る!
会場から出た「企画を考えて行き詰まったらどうしたらいいですか?」という質問への横田さんの答えが「まずは走りましょう!」。横田さんはランニングを日課としているそうですが、書籍の企画や執筆に行き詰まった時は、まず走るそうです。走っていると頭がリセットされて、思いがけないアイデアが浮かんでくるそうです。
価値がある本とは、売れる本である!
・ 多くの人が興味、関心のあるテーマが企画になる
・ 読者が何を求めているかを常に意識する
・ 企画の付加価値と差異化を考える
・ 制約条件の中で、プロとして仕事をする
小早川さんは若かりし頃、上司から「自分が関心を持ったテーマを企画にすれば、同じように知りたいと思う読者はたくさんいる」と教えられたそうです。企画の入り口で大切なのは「自分だけが言いたい、知りたい」ことではなく、たくさんの読者が知りたいと思い、実際に役に立つテーマかどうかだと言います。いいテーマを作れたら、読む人が求める内容になるか、さらに類似本との差異があるかというつながりの中で、一冊の本が世に出るというお話は非常に勉強になりました。
横田真由子さんの書籍にも触れ、「小さなバッグ」「素敵な靴」は多くの人の興味・関心に触れること、さらに「バッグ」や「靴」という誰でも持っているものを通して何を伝えるかという付加価値、差異化が企画実現になったというお話も伺いました。
部活に参加してくださった方々の多くは、本を出版することに興味をお持ちのかたでした。「出版社に持ち込む企画書はどのくらい具体的に書いたらいいのか」という質問に小早川さんからは「企画と切り口、ターゲット読者の想定は必ず必要。本を出したことがない方の場合、原稿を書いて持ってきていただくと文章の雰囲気などを編集者がつかみやすいです」というアドバイスもありました。
︎1冊の本から世界が広がる、ブックカフェ
今回、会場協力をしてくださった神楽坂モノガタリは、美術や哲学、絵本といった様々な本が、隣り合わせで並ぶ棚の中でまたひとつの物語を紡ぎ出すプロの選書ならでは書籍が取り揃えられたお店です。書棚に並ぶ本は、カフェスペースで購入前に読むこともできます。1冊の本から、自分の関心がどんどん広がっていく心地よい体験を楽しむのに最高です。部活に参加した方も、休憩時間に思い思いの本を購入されていました。
出版部は今後も、実際に書籍を世に送り出した著者や編集者を招いて、本の企画がどのようにできていくのか、いい企画とは何かといった実用的なお話を伺っていきます。本が好きな方、本を出してみたいと思う方の参加を募集します!
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。