「疲れた」と思わず口に漏れてしまったときに、自分のためにしたいこと【カツセマサヒコ 連載 #2】
「疲れた」と口にしてしまうことありませんか? 素敵な異性と出会うこともあれば、長く付き合っていた人と別れることもある。仕事で大きなプロジェクトが成功することもあれば、入社以来一番大きなミスをしてしまうことも。ライターのカツセマサヒコさんが、生きていくなかで訪れるたくさんの喜びや悲しみにそっと寄り添うエッセイ、第二回。
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■疲れた、そんなときに自分を救う方法
「今日はもう、疲れた」
終わるはずもない仕事量を、明日の自分に持ち越した。
ようやく会社を出たころには、見たかったドラマさえとっくに終わっている時間だった。
そんな日が、しばしばある。
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やっと自宅に着いて、スーパーで5割引きになった惣菜を取り出す。
引越し当初は「週に3回は自炊したい」と思っていたはずが、既に5日連続の外食。
貯まっていく洗濯物と、ほぼ空っぽの冷蔵庫に嫌気がさす。
そんな日が、続いてしまったとする。
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「疲れた」
またしても口に出てしまうほど、疲れてしまった。
ジャケットも脱がず、化粧も落とさず、ベッドに倒れ込んだ。
しばらく動けなくなり、ようやく起き上がったころには日付が変わっていた。
「ああ、シャワー浴びなきゃ……」
重い腰を上げて、なんとか浴室にたどり着く。
そんな日が、延々と続いてしまったら。
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そんなときは、そろそろ、自分を救う方法を考えたい。
とっておきのご褒美に、何を用意してあげられるか、考えたい。
海外旅行は、金銭的にも時間的にも厳しい。
豪華なディナーに出かけるのも、疲れる。
もっと日常的なところ。
疲弊しきった体力でも手の届く範囲で、自分を労ってあげる方法は、ないだろうか。
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たとえば、
お風呂の温度を1度上げて、好きな曲1曲ぶん、いつもより長く浸かる。
好きな音楽を小さなボリュームでかけておいて、体が暖かいうちに、そのままベッドにダイブする。
いつもよりひと手間加えたコーヒーや紅茶を飲む。
時間は遅いけれど、コンビニで一番高いスイーツを買って食べる。
美容院を予約する。
翌朝の支度をいつもよりていねいにする。
カバンやサイフの中身を整理してみる。
抱えたモヤモヤを紙に書き起こしてみる。
迷っていた家具や洋服を、思いきって買ってみる。
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「昨日と違うことをした」
それだけで、日々に一瞬、色が付く。
昨日の自分は退屈で好きになれなくても、今日、ひとつ昨日と違うことをすれば、明日は違う自分に会える気がする。
だから、「がんばっているね」と、自分に声をかけるように、1日のどこかにアクセントを付けてみる。
そうすることで、明日の自分を今より少し好きになればいい。
そうすることで、明日からの自分を励ましてあげればいい。
それでも、やめたくなってしまったら。
そのときは清々しく、やめてしまえばいい。
どうせやめたくても全部やめることはなかなかできないんだし、残った「やめられないもの」でがんばっていけばいいんだから。
それくらいがきっと、ちょうどいいはずだから。
下北沢のライター・編集者。書く・話す・企画することを中心に活動中。
趣味はツイッターとスマホの充電。