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優等生すぎて面白味なし?吉良奈津子的・管理職ファッションの傾向と対策【デキる女の決断クローゼット #7】

一見隙のない、クールでカッコいい、ハイ&ローファッションに身を包む「吉良奈津子部長」。でも、よく見ると改善すべき点がいろいろある? 遊び心を取り入れて、親しみやすく見せるファッションを勝手に提案させていただきます。

優等生すぎて面白味なし?吉良奈津子的・管理職ファッションの傾向と対策【デキる女の決断クローゼット #7】

■優等生すぎるハイ&ローファッションは、人間関係で損をする

今日は、フジテレビ放送中のドラマ『営業部長 吉良奈津子』で、松嶋菜々子さん演じるワーキングマザー、吉良奈津子部長のファッションを取り上げてみたいと思います。

吉良部長、スタイルの良さを活かした清潔感のある着こなしで、高級品とそれ以外を上手にミックスさせた、お手本のようなハイ&ローファッションです。 

服はボッシュ、セオリーなど、私たち働く女性が身近に感じる数万円の国内ブランド。一方小物類は、ジュエリー・時計がショーメやブシュロン、バッグはサンローランやグッチ、そして靴はマロノブラニクやジミーチュウの9㎝ヒールなど、高額品がずらり。いずれも服とは1桁〜2桁違うハイブランドです。

きっと吉良部長、3年間の産休中にファッション誌を読み込んで、スキのない部長ファッションを研究したに違いありません。ところがこのパーフェクトファッション、よく見ると、ところどころに残念ポイントが散見されます。

1.デキる女が「形だけ」に見えてしまう、ドヤ顔ハイブランドと白い服
まず第一に、小物をわかりやすく高価なハイブランドで固めすぎな気がします。
こうした細かいアイテムに、男性はなかなか気づきません。密かに気づき比べたがるのが女性です。

全部合わせたらマンションの頭金になりそうなハイブランドづくしは、
「他の女子社員とはちがうの。だって私は部長だから!」
と、職場やママ友、周囲の女性を威嚇するための武器にもなりかねません。

さらに、せっかくのサンローランのサック・ド・ジュールやグッチのパドロックは、A4サイズの書類が入りません。営業部長としては致命的なのではないでしょうか。

また吉良部長は、白いパンツやジャケットがお気に入りのようですが、これも周りのワーママには反感ポイントになってしまいそう。

長男の荘太くんはいつもママの腰まわりにまとわりつくでしょうし、保育園の送り迎えでママチャリに乗るときも、白い服の汚れをいちいち気にしなければなりません。ひんぱんにクリーニングに出すとなると少々実用性に乏しく、機能より見た目優先なファッションからは堅実さが窺えません。

一見正統派なお手本ファッションですが、なんだか部長として中身が伴わない面を、ハイブランドで埋め合わせしようとしているように見えてしまう、とは言い過ぎでしょうか。クリエイティブから営業部長に抜擢されたけれど、実は自信がないんです、という自分自身を露呈してしまっているようで、ちょっと残念です。

2.色使いがおじさん
吉良部長のお仕事ファッションは、紺、白、グレーが中心で、他の色がほとんどありません。色使いだけ見ると、ほとんどおじさんです。

男性役員やクライアントと渡り合わなければならない立場上、一分の隙も見せまいという気持ちがファッションから表れていますが、あまりにも優等生すぎて取りつくしまがない、と感じてしまう方もいそうです。

吉良部長、きっと小さい頃から真面目で一生懸命、生徒会長にも率先して立候補してくれちゃうタイプに違いありません。
その気まじめさがファッションにも表れていて「部長ファッションとはこうあるべき!」と、肩に力が入りすぎてはいないでしょうか。

男性からは、「可愛げのないヤツ」
女性からは、「なんだか冗談も通じなさそう」
と思われ、頑張っているのに良好な人間関係につながらない、ちょっと損なファッションに見えてしまいます。

■優等生部長に必要なのは、「遊び心」が醸し出す「親しみやすさ」

そんな吉良奈津子部長にご提案したいのは「遊び心」です。こう言うと、
「きちんとした服は得意だけど、着くずしとか遊び心って、いったいなんなの⁉︎」
そうおっしゃる方、多いです。

遊び心とは「真面目一辺倒からすこし外れる余裕」のことです。
吉良部長の職場がもし金融関係なら、色はそのままで換金性の高いジュエリーはすべて外すことをおすすめしますが、広告代理店であればもう少し時代のエッセンスを取り入れてみてもいいのではないでしょうか。

具体的に改善ポイントをあげてみましょう。

まず、白い細身のパンツをいったんやめてみましょうね。
代わりに今年流行のベージュのワイドパンツはいかがでしょう。

この数年、ガウチョパンツ(キュロットスカートに見えるパンツ)が流行したので、太めのパンツに抵抗感がない女性が増えたのではないでしょうか。
真ん中に折り目が入った「センタープレス」のパンツは、テロっと太いだけのパンツよりきちんと感があるように見え、女性らしさの中に凛としたマニッシュな雰囲気を感じさせます。

次に靴です。
西に大口の契約先があれば飛んでいき、東に困った部下がいれば行って大丈夫だと言う。そんな頼れる部長の雰囲気を持つのは「走れる高さのヒール」です。

形はシンプルなプレーントウ。でも、ただの黒い靴では授業参観みたいですので、ここはパイソン柄を選んでみました。パイソンやヒョウなどのアニマル柄は、ブラウスやスカーフなどの上半身で取り入れると、主張の激しい大阪のおばちゃん化するので、靴でチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。面積が小さく、座った会議中の目線に入らない位置なので、うるささを感じません。

また、グリーンのベルトで、少量の色を加えてみました。面積の小さな小物でも、おじさんのクローゼットにはないような色を取り入れると、女性らしいやわらかさが出ます。
このベルトはリザード(とかげ)の革で、ベルトにしては高級品ですが、(といっても3万円前後ですが)キラキラ目立つピアスやネックレスで数百万のものを身につけるより、上質な革小物にお金を使うほうが、大人の風格がにじみ出るものです。

最後にバッグは高級品ではありませんが、しっかりとA4が入るものに。

いかがでしょうか。
ワイドパンツやアニマル柄で少し流行も取り入れて、面白みに欠ける優等生服を崩し、少量の色使いで女性らしさを加えたことで、おじさん色スーツではなくなりました。実用性にも裏打ちされ、ぐっと賢さと親しみやすさが感じられると思います。
「それどこのですか?」と、中村アンさん演じる職場の派遣社員・今西朋美とも話が盛り上がりそう。
 
今の時代は、かっちりよりゆるく、ブランド品よりプチプラがカッコいいという空気感が主流です。そんな流れを少しだけファッションにも取り入れるだけで、「優等生」から「余裕のある人」になれます。
「ビジネスの服にそんなこと関係あるの?」と言われそうですが、大ありです。

外見は、その人の好みだけでなく、金銭感覚やコミュニケーション力まで、私たちが思っている以上に、総合的な「人となり」をずばり表し、周りに少なからず影響を与えるものだからです。

日頃「がんばってるのにどうして?」と感じることが多い方は、これまでの「あるべき服」を少しだけチェンジしてみてはいかがでしょうか。

●まとめ
ファッションは、その人の総合力を示すもの。正統派すぎる優等生ファッションには、少しの遊び心を加えて余裕のある人に見せて。

輪湖 もなみ

ワードローブコンサルタント/リメイクデザイナー 大手アパレルで16年間ブランド管理や店頭指導などに携わる。長年培ったノウハウを個人のクローゼットに応用し、毎日着る服がないと悩み断捨離を繰り返す人を救うため、クローゼットコン...

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