【ジルデコ chihiRo 連載 #3】雨の日に聴きたいジャズ5選
もうじき梅雨。ジメジメとした憂鬱な季節は、自宅でのんびり過ごすのが正解。そんなときに聴きたいジャズを5つセレクトしました。オシャレな気分になれること間違いなし!
■ 音楽だってファッションの一部?
「最近の女の子はオシャレには気を使うのに、聴いてる音楽はダサい」
あ、私が言ったんじゃありませんよ。最近どこかで耳にしたセリフです。
「◯○女子」が次々に生まれる中で次は「ジャズ女子」がくるというニュースも耳にし、「I’m not a JAZZ singer」というこのコラムのタイトルから「not」を外して思いきりこの流れにのってしまおうかと思っているほど。
再びジャズブームが来るのでは……もしかしてジルデコの時代が到来!? と淡く腹黒い期待を抱きながら今日は「雨の日に聴きたいジャズ」をご紹介していきます。
■Lizz Wright 『Soon As I Get Home』
個人的に断然おすすめです。今すぐにでも聴きたい。
いわゆるジャズジャズしていない歌い方に好感が持てるボーカリストで、(という意味ではまだジャズ嫌いを引きずっているのかも(笑))
同じ1980年生まれ、という共通点でまず親近感を持ち、同世代のシンガーがどうジャズを歌っているのだろうと聴きました。
まずボーカルのルバート(テンポがない演奏)から始まり、鍵盤のコロコロした音が添えられるとたちまち雨の日サウンド。歌詞は特に雨について歌ったものではありませんが、個人的には雨の日の憂鬱さに始まり、リズムが入ってくると雨の日の良さを感じる、素敵な曲なのです。
雨の日によく「あぁ、早くお家帰りたいなぁ」と窓の外を見ていた授業中。
そんな情景が浮かんできます。
■Astrud Gilberto & Stan Getz『The Girl from Ipanema』
「イパネマの娘」と言った方がピンとくるかもしれませんね。
ほんの少し前までこの曲を聴くとお客さんが全然聴いていない中で演奏するジャズの営業を思い浮かべてしまって、全然好きになれなかったのですが、そんな先入観が消えてくると、まぁ、なんと雨の似合う曲なのでしょう。
ボサノバなので夏をイメージする人もいるかもしれませんが、雨降る日に自宅やカフェでこの曲をかけていたら、絶対に「私もしかしてオシャレじゃない?」間違いない。
もちろんスタンダード中のスタンダード曲なので莫大な数のバージョンがあります。Astrud Gilbertoのバージョン以外でも楽しめると思います。
■Danilo Perez Trio 『Overjoyed』
ジャズもそんなに聴かない私が「歌ものならまだ聴ける」なんて言っていた数年前にインスト曲に心を開くなんてかなりのミラクルですが、おそらく、いや、間違いなく大好きなスティーヴィー・ワンダーのカバーだったからなのだと思います。
ダニロ・ペレツというピアニストのトリオです。誰でも知っているこの名曲を変拍子でアレンジしていて、ときにえぐいですが、その美しさに心奪われます。
カバーのアレンジって原曲をいじり過ぎてもその曲のファンをがっかりさせてしまうし、原曲に近すぎてもつまらないし、バランスが難しいところなのですが、この透明感は原曲にも劣らぬ勢いです。
雨の日にワクワクさせてくれます。
■Esperanza Spalding『Radio Song』
とてつもなく可愛い人です、可愛いくせに歌いながら弾くベースは男も尻尾を巻く超絶テクニック。
曲はめまぐるしい展開、難解、でも愉快(韻踏んでみました)。
エスペランサを聴いていたら、とりあえずイケてます。ご安心ください。
この曲はコーラスがとても変わっていてジェットコースターのよう。
雨の日の憂鬱な気分をおちゃめな空気にさせてくれます。
気合いが入らない日も一気にオシャレスイッチ、入ります。
■Nat King Cole『Unforgettable』
いや、もう少し古き良きジャズみたいなのを聴きたいってときもありますね。
わけもなく寂しい気分になりがちな雨の日は男声の優しい歌に包まれたい。
今回はめちゃくちゃ王道にナットキンコールの代表曲を。
ストリングスの効いたオーケストラの演奏のおかげで昔の映画の世界に入り込んだような気分に。
あぁ、音楽はどこへでも連れてってくれるから素晴らしい。
雨の日を一味違う楽しみ方ができそう。
梅雨の季節を音楽と共にちょっとオシャレな気分で過ごしてもらえたら嬉しいです! 音楽もファッションの一部です!