家系図をつくり、自分のルーツを調べてみる
先祖一人ひとりがしてきた、一つひとつの選択。それによっていまの自分がある。過去から現在までの数えきれないほどの選択とドラマを想像できたら、未来の子孫のためにどんなときでも前を向いて選択し続け、生きていこうと思えるはず。家系図をつくって、自分のルーツを調べてみよう。
■家系図を調べてみた
ひょんなことから「家系図」を調べて作成してみました。
以前から自分のルーツである先祖について知りたいと興味を持っていたものの、まだその思いは漠然としたものでした。現存する家系図を探してみるとか、作成方法について調べてみるとか、こうした具体的な行動にはいたらなかったのです。
そんなある日、親しい友人が作成を始めたと聞いて、俄然やる気になりました。家によっては家系図を残しているところもあるでしょうが、一般的なのは戸籍謄本を取り寄せて先祖を辿っていくやり方です。ただし、個人的にやるのは手間も時間もかかるので、その友人から紹介された家系図専門の司法書士に委託することにしました。作成には1ヶ月半〜2ヶ月かかり、相場はまちまちです。
お盆にはお墓まいりをしてご先祖様に手をあわせる習慣のある日本人であっても、実際にどんな先祖がいたのかを知る人は少ないかもしれません。せいぜい生きているうちに会ったことがあるのは曽祖父、曽祖母まででしょうし、それ以前の先祖については、名前すら知らないというケースが多いでしょう。私自身も、ボルネオ島で暮らしていた母方の曽祖父くらいまでは話だけで聞いたことがありますが、それ以前の先祖についてはほとんど知りません。どんな暮らしをしていたのか、どんな人柄だったのか、そこまでは分からなくとも、せめて名前だけでも知りたい。家系図を申し込んでからというもの、そんな思いが日に日に強くなっていきました。
■自分のルーツ
その後、家系図が無事に完成しました。
現存する戸籍をたどっていくと、父方の祖父と祖母、母方の祖父と祖母の4家系をだいたい170年ほど遡ることができました。天保の時代です。
家系図を眺めているうちに、先祖たちが生きた時代のにおいや手触りがおぼろげに伝わってくるようでした。男子に恵まれずに養子をとった夫婦、戦争で配偶者を失くして再婚した夫、生後数ヶ月で亡くなった子どもたち、男女合わせて12人の子宝に恵まれた夫婦、祖父の名前を継いだ長男など、そこには確かに彼らが生きた証があったのです。
■価値のない人間などいない
どんな人にも価値がある。
短命であっても、無名であっても、特別な功績を残していなくても、どんな時代においても生き抜いた個人の人生はとても尊いものです。一人ひとりの戸籍を取り寄せて次第に完成していく家系図を見ながら実感するのは、この中の誰かひとりでも欠けていたら、いまの私は存在しなかったという事実。もし、ひとりでも戦や病気で欠けてしまったら。もし、ひとりでも伴侶と結婚するのをやめていたら。もし、ひとりでも生きるのを途中で諦めてしまったら。いまの私が存在することはありませんでした。
思えば、人生というのは、一つひとつの選択の連続です。今日、あの場所に出かけるかどうか。今日、あの人と会うかどうか。今日、結婚することにイエスというかどうか。今日、病を治すために新しい治療を受けるかどうか。そんな一つひとつの選択が奇跡のように積み重なって、いま、私はここに生きている。そんな過去から現在までの幾多もの選択とドラマが想像できたとき、私もまた、未来の子孫のためにしっかりと前を向いて選択し続け、人生を生きていこうと思えたのでした。
家系図を作成することから、本当に多くのことを学ぶことができます。戸籍謄本を取り寄せながら自分で作成するのもまた素晴らしい経験になると思います。