村上アシシさん「半年仕事・半年旅人」で世界を浮遊する暮らし
ノマドに断捨離、ミニマリズム……。窮屈な環境や、物質的な支配から解放されようというライフスタイルが最近流行っています。今回は定住しない生き方、「半年仕事・半年旅人」というスタイルで生きる、村上アシシさんにお話をお伺いしました。
■村上アシシさんが考える「半年仕事・半年旅人」というスタイル
ノマドに断捨離、ミニマリズム……。窮屈な環境や、物質的な支配から解放されようというライフスタイルが最近流行っています。
僕の場合は10年前、外資系コンサルティングファームから独立したのを機に、断捨離どころかほとんどの持ち物を部屋ごと手放しました。この10年間、スーツケースに入らないモノを買ったことがないですし、半年以上同じ場所に定住したことがありません。
人によっては僕を「意識高い系」とか「富裕層」だと思っているみたいですが、まったくそんなことはなくて。半年で1年分の給料を稼ぎ、残りの半年を旅して暮らす僕のライフスタイルの場合、ダブルコストを避けるには拠点を置かない生活が一番効率的なんです。
言うならば「浮遊層」ですね。
「半年仕事・半年旅人」というスタイルに行き着いたのは、2005年のドイツコンフェデレーションズカップでサッカーを現地観戦したことがきっかけでした。
海外で生のサッカーを観戦する楽しさにすっかり魅了され、翌年のワールドカップ観戦を目標に退職を決めたんです。2006年にフリーの経営コンサルタントとして独立して以降、半年間はガッツリ働き、半年間は日本代表のサポーターとしてサッカー観戦の旅に出るようになりました。
■「やらぬ後悔よりやる後悔」がモットー
一度きりの人生、できるだけ人とコミュニケーションしたいと思っています。
でもその反面、恋愛では難しいと感じることもある。女性の他愛ない相談話にどうしても仕事柄、ソリューションを提示してしまうんです。これ、モテない男の典型ですよね(笑)。
そして最大の問題は、サッカーのためなら何週間でも何ヶ月でも海外へ行ってしまうこと。真剣なお付き合いをする場合、女性からすれば絶対将来が不安になりますよね。いつか運命の女性が現れて、その人が「ずっと日本にいてほしい」と言うのなら、そのときはライフスタイルを見直すかもしれないですが……。
でも、世の中のほとんどの女性は、僕みたいな定住しない男を真剣な恋愛対象として見ないように思います。つまり、旅人って恋愛に向いていないんですよね。
紙の本のようにかさばらないし、暗いところでも読めるし、万が一タブレットをなくしてしまっても、情報そのものはクラウド上に保存してあるので、どこからでも見られる。旅に必要不可欠なアイテムとして、ロジ旅の中でも勧めています。最低限の情報をタブレットやスマホに集約して、最大限の五感を使って旅を楽しんでほしい。そうすれば旅はもっともっと魅力的になるはず。そんな想いを込めて書いた一冊です。
僕がサッカー人としても旅人としても、もっともリスペクトしている中田英寿氏が、現役引退に際しこんな格言を残しました。
「人生とは旅であり、旅とは人生である」――この言葉に背中を押され、会社を辞めて「半年仕事・半年旅人」として歩み始めた僕もすっかりアラフォーです。
今年は仕事と旅に加え、フルマラソン走破に向けて定期的にランニングも始めました。せっかくならいつまでも自分磨きはしていたいし、熟成された男を目指し続けたいですからね。
Text/Photo=波多野友子
■村上アシシさん(むらかみあしし)さんのプロフィール
1977年札幌生まれ。東京理科大学卒業後、コンサルティングファーム「アクセンチュア」へ入社。2006年同社から独立し「半年仕事・半年旅人」というスタイルを確立。2010年には「世界一蹴の旅」で32ヶ国を巡るなど、ワールドカップをはじめ海外でのサッカー日本代表の試合をほぼ制覇している。サポーターの立場でありながら、サッカー業界人や選手からも一目置かれる存在。
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