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心と身体を解放してくれる、自分のためのランジェリー

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一枚のレースのランジェリーとの出会いから、下着は“自分を解放するもの”だと考えるようになったという北菜月さん。ランジェリーマニアでもある彼女が、心と身体を解放してくれるランジェリーと、それらを楽しむ3つのシーンについて綴ります。

心と身体を解放してくれる、自分のためのランジェリー

下着はいつからか、身に着けることが義務化された。日本においては、しっかりと形作られたブラジャーにバストをおさめ、欧米人のように丸く見せることが国民の大多数に定着した。

私自身はAカップにも満たない規格外のサイズのため、手に届く範囲のメーカーのブラはいまいちしっくりこなかった。大きく見せたいわけではない。ただ、私にとってはないものを大きく見せることは“偽物”であり、受け入れがたかった。

ある日、パッドもワイヤーも何もない、一枚レースのランジェリーに出会ったとき、私の身体は初めて下着に認められた気がした。皮膚の上を覆うたった一枚のレース。ありのままの自分の身体を、ぺったんこな胸板を好きになれた。

下着は、身体を押さえつけるものではなく、自分を解放するものであると思う。
透けている頼りない下着には抵抗がある女性は多い。しかし固定観念を取り払うことで、自分が知らなかった自分と出会い、自信を持つことができる。ランジェリーにはそんなパワーがある。今、私はil Felino.(イルフェリーノ)というランジェリーコンセプトストアを運営している。自分の身体を受け入れ、愛するきっかけになるように……ilFelino.は、そんな思いでランジェリーを提案している。

■1.ダイバーシティをランジェリー姿で体現する

何年も前から世界中でダイバーシティが叫ばれ、各国のランジェリーブランドからもそういったメッセージが発せられている。

では、日本はどうだろうか? 雑誌などのメディアにしても、下着メーカーのイメージビジュアルにしても、変化は一部でしか感じられない。体型や顔など容姿に対するコンプレックスを抱えている人がターゲットで、ダイエットやアンチエイジングが常にトレンドワードだ。美しくなろうとあがくほどに、心身ともに疲れていく人も少なくはないだろう。メンタルヘルスにとって決してよいものではない。

私は、ランジェリーの仕事を始めて以来、ダイバーシティを体現するべくSNSで自らの下着姿をアップし続けている。既存のランジェリーショップ店員のイメージを、身を持って壊すことによって、ランジェリーをもっと身近なものに感じてもらえるのではないかと考えた。

私のスタイルは、ベリーショートに少年のような平べったいメリハリのない身体、奇天烈なポージング。一般的に連想されるランジェリーのイメージとはかけ離れたようなビジュアルだ。

小さいバストをさらけ出すことは、恥ずかしいと感じる人が多いだろう。でも私はそれを個性であり、自分のファッションと定義する。誰かが定義した美に自分を当てはめることに意味はない。美の価値観は多様であるからこそ美しい。美は自分で定義する。自分に自信を持ちたくましく生きていくために、私はランジェリーを身に着ける。

■2.部屋をお化粧するように花を飾り、自分のためにランジェリーを纏う

花は私たちの生活に彩りを与えてくれる。私にとっては、StayHomeの時間が増えたことが花の存在価値を再認識するきっかけとなった。素敵な花を飾るのが楽しくなり、オーダーしたドライフラワーのブーケは、つい先日届いたYuviKawanoのランジェリーの色と重なった。

なくて困るものではないが、あることによって豊かさが増すもの。そういった意味では、ランジェリーも同様の存在だ。ランジェリーは家でも楽しむことのできる“ファッション”であった。おしゃれを楽しむシーンを失ってしまったコロナ禍においては、必要以上に華美なアクセサリーやハイヒールを不要と感じる人も増えただろう。家にいるだけであれば楽な方がいいし、もはやノーブラでもいい。

こんな状況で嗜好品であるランジェリーは売れるのか、正直疑問に思った。しかし、お客さまからは「素敵なランジェリーが自宅で過ごすことのモチベーションになった」との声が寄せられた。ランジェリーは、不特定多数の人に見せるためのものではない。だからこそ、自由に自分自身の欲求を満たすことができるものでもある。誰かのためではなく、自分のために身に着ける。消耗品ではない、嗜好品としてのランジェリーの価値を再認識した。

私は、自分の顔にお化粧をしなくなった分、部屋をお化粧するように花を飾った。

■3.お気に入りのボディスーツで、自分ひとりの時間を愛す

同じく家にいる時間が増えたことで、今までほとんどこだわりがなかったインテリアに急に興味を持つようになった。部屋を片づけて、今まで死んでしまっていた家具やオブジェたちを並べると、息を吹き返してくれた。

緊急事態宣言が出ていた期間も、家具屋の売り上げは落ち込まなかったようだが、おそらく多くの人々が、快適なおうち時間が過ごせるように部屋を整頓し改良したのだろう。そうすると、もう少しいい部屋着やランジェリーも欲しくなる。

整えたインテリアに囲まれて、お気に入りのランジェリーでゆっくり本を読む。その時間がとても愛おしく感じた。インテリアもランジェリーも、特にSNSにアップするわけでもない。自分と家族だけが知るものであることは、この上ない贅沢だ。

私がもっとも愛用しているアイテムは、ボディスーツだ。一枚でも纏う布を少なくしたいと思うので、オールインワンのボディはたくさん持っている。比較的肌の露出が少ないので、部屋着としても機能する。ボトムをはけばそのまま外にも出かけられる。

ここ数年ボディースーツはトレンドに上がっているが、まだまだニッチなアイテムだ。こんな時期だからこそ、少し手が出しにくいアイテムも、誰にも見せない自宅でのおしゃれからトライしてみてほしい。

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北 菜月

Lingerie concept store “il Felino.” General manager
ランジェリー愛好家

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