【色彩心理】五感で感じる。色が持つ不思議なパワーとは?
普段何気なく見ている色には、さまざまな心理的効果や特性があるのを知っていますか? 上手に取り入れれば、心身のバランスを整えたり自分をより魅力的に見せたりできるんです。そこで、企業や個人のカラーコンサルティングをおこなう七江亜紀氏に、色が持つパワーや日常生活で使える色彩テクニックについて教えていただきました。
特定の色を見て心が落ち着いたり、明るい気持ちになったりしたことはありませんか?
私たちの周りには常にたくさんの色が溢れており、無意識のうちに色の持つパワーに影響を受けています。
そこで今回は、カラーコンサルディングサロン「Lustre(ラスタ)」を設立し、色のプロとしてメディア監修や大学等での講演、書籍の出版などをおこなう七江亜紀氏に、色の魅力や活用方法についてお聞きしました。
ここでは、色が持つ不思議な力や人に与える影響力についてご紹介します。
■色は視覚だけでなく五感全てで感じるもの
そもそも、色とは一体何なのか――。
「多くの人が、物体に当たって反射した光を目で捉えたものを色だと思っているのではないでしょうか。あくまで私個人の見解なのですが、人は視覚だけなく聴覚や触覚、嗅覚など、五感全てを使って色を感じているのではないかと考えています。黄色を見たときに無意識にレモンが連想されて『すっぱい』という感覚にリンクするといったような感じです」
また、同じ色でも人によって色の見え方や感じ方が変わるのだそう。
「色の見え方は、見る人の記憶や心理状態によって異なります。たとえば、植物が連想される緑は癒しの色というイメージを持っている方が多いと思うのですが、うつ症状のある人が見るとまったく違う感情を抱くことがあります」
さらに、国や文化によっても色の持つ意味が変わるのだとか。
「色の世界はとても奥が深くて、知れば知るほど面白いんですよ」と七江氏は楽しそうに語ってくれました。
色は全身の感覚を使って捉えるもの。イマジネーションが豊かになるほど色彩センスも磨かれていくのだそう。心を研ぎ澄まして、色のパワーを最大限に受け止めましょう。
■色には使う人・見る人の心理をコントロールする力がある
色は人の心理に影響を与えるといわれていますが、具体的にどんな効果があるのでしょうか?
「色には人の感情や行動を操作する効果が期待できます。わかりやすい例でいうと、一般的には寒色を見ると冷たさを感じ、暖色を見ると暖かさを感じるといわれているんですよ」
色によって人に与える印象はさまざまで、上手に利用すれば周囲に与える自分のイメージをコントロールできるのだそう。
「相手にこう見られたいという願望があるときは、ぜひファッションに色彩心理を取り入れてみてください。色は、相手だけでなく身につけている人自身にも影響を与えます。色のイメージにふさわしい行動や言動をとろうという意識を持つことで、自然と表現したい自分に近づくことができるはずです」
色の効果を引き出すためには、身につける人自身の努力も必要不可欠なんだとか。内面を磨くことを忘れず、ポジティブな気持ちで色の力を活用することが大切です。
■色にはプラスとマイナスの意味がある
色にはプラスとマイナスの意味があり、使い方やタイミングを誤ると周囲に不快感を与えてしまうこともあるため注意が必要だと七江氏は語ります。
「有彩色の中で一番明るい『黄色』は、開放的・元気・閃きを与えるといったイメージを持っています。一方で、幼稚・落ち着きがないといったマイナスイメージがある色です」
黄色同様に目立つ色とされている「赤」にも、まったく異なる意味があるのだそう。
「『赤』は情熱的・リーダーシップがあるなどのイメージを持つ色ですが、使い方を間違えると暑苦しさや威圧感を与えてしまうことも……。早口な人や声の大きい人が身につけると、赤色のエネルギーの強さが仇となって相手を疲れさせてしまう場合があるので気をつけてください」
また、「青」はクールダウンしたいときに活躍する色なのだとか。
「空や海を連想させる『青』には、気持ちを沈静化させたり、集中力を高めたりする効果が期待できます。副交感神経を刺激して血圧や体温を下げるので、冷え性の方は多用しないほうがよいでしょう」
日常のさまざまなシチュエーションに合わせて、積極的に色を取り入れて欲しいと七江さんは語ります。
「身につけるだけでなく味覚や触覚などからも色のパワーを吸収できます。たとえば、リセットの意味を持つ『白』の力を取り入れたいと思ったときは、牛乳を飲んだり雪遊びをしたりするのも効果的です」
これをきっかけに、身近にある「色」を意識して毎日を過ごしてほしいと七江さんはおっしゃっていました。
七江亜紀 Aki Nanae プロフィール
色のひと®/カラーキュレーター®/株式会社ナナラボ 代表取締役
それぞれの色が持つ普遍の魅力を組み合わせ、独自の価値基準でこれからの新しい生活価値を提案するライフスタイルクリエーター。企業やビジネスパーソンを対象とし、ファッション・食・インテリア等、ライフスタイル全般のカラーコンサルティング、及びカラーディレクションをおこなう。「色」を視覚だけに頼らず五感全てを通してイメージ できるよう、さまざまなものの価値向上を図る。また、多くのメディア監修や、大学・講習会の講師も務める。3万人に及ぶカラーコンサルティング経験と、独自のメソッドから成るアドバイスはわかりやすく実践的と評判。著書は『働く女性のための色とスタイル教室 』(講談社)や『知って役立つ色の事典・TJMOOK』(宝島社)他多数。2018年11月10日には、中央公論新社より『いろ習慣』を刊行予定。
http://www.lustre.jp
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