1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ライフスタイル
  3. 美を意識する人は皆を幸せに、華やかにする力がある【高田賢三】

美を意識する人は皆を幸せに、華やかにする力がある【高田賢三】

パリ在住の世界的ファッションデザイナー、高田賢三さんによる連載。「華やか×◯◯」をテーマに毎月1本コラムをお届けします。第9回は「華やか×美」でその思いを綴っていただきました。高田賢三さんが考える、華やかな美しさとは――。

美を意識する人は皆を幸せに、華やかにする力がある【高田賢三】

美しいと思うこと――それは人それぞれ感じるもの。一人ひとり異なる美学がありますよね。

僕がクリエーションという世界で作品を表現するとき、美しいものばかりではないかもしれないけれど、心に伝わってきたもの、そして心に伝わるものを”カタチ”として発表する。美しさって、人の五感で感じたものではないのかな? 美しいからこそ、そこに感動がある。そしてそれが、次のクリエーションへのエネルギーへつながる。

”美”との出会いは人の感性を磨いてくれるものだとも思う。

そして、“美”という文字には、私たちをとても心地良くさせてくれるプラスの印象がありますよね。

「美しいですね」という言葉を前にして、誰も嫌な気持ちはしないもの。

■凛とした美しさとは

ご存知のように、僕はパリに住んでいて、さまざまなレセプションやパーティーに出席します。海外の方は男性でも女性でも相手をスマートに褒める一方、僕は相手を褒めることがとても恥ずかしい感じがして苦手です。そういう場で日本人ってあまり人を褒めることがないように思うのです。ちょっと照れくさい、というか、そんな感じですよね。

また、褒められた方も、日本だと「いやいやそんなことはないです、そちらの方が……」という風に立ち振る舞う。それが日本人の奥ゆかしさ、といえるでしょう。海外では、「ありがとう。あなたも素敵ね」と本当に嫌味なく返ってくる。長年海外に暮らしていますが、それでも幼い頃からの生活習慣の違いで、褒めるのを躊躇してしまうなぁと感じることがしばしば……ありますね(笑)。

日本でも海外でも、自身の見せ方を知っている方は、それが作られたものではなく内面から醸し出される美しさであり、楽しみ方を知っている。だからその表情が自然であり、かつ凛として見えるのでしょう。

■健康と”美”はつながっている

僕は年に数回、体のケアをするために、イタリアへ行きます。健康面も含め、体の内側から綺麗にし、リセットしています。

毎日の生活を、僕たちは何気なく過ごしていますが、過度な飲食そして自分では気になってはいないけれど、精神的なストレスも蓄積されていると思うのです。

イタリア滞在中は、規則的な生活をします。もちろん体のチェックやファスティングとまでは言いませんが、体に負担をかけるような食べ物ではなく、健康面を意識した食事をし、デトックスに近い時間を過ごします。

1週間強そんな日々を送ると、体が軽くなり、気持ちもフラットになり、新たなパワーがみなぎってくる。そんな感覚があります。

精神的にも肉体的にも常に自分らしい”美”をキープしていきたいですね。

■五感で感じる美しさ

生活しているなかで、「綺麗」や「カッコいい」という要素に美しさを見出すことがある。食に対しても、ただ美味しいというだけではなく、そこには視覚、味覚や嗅覚で感じる美もある。音楽もそうであるように、「カッコいい」と感じるだけでなく、聴覚で感じる”美”がありますよね。

“美”とは一言では言い表せない、とてつもなく大きな意味があるのでしょう。

美しく着飾る。美しく見せる。美しい立ち居振る舞い。

私たちが感じる”美”とは、自分自身の周りにある、あらゆる対象のものから自身の感性という、ある意味で主観的な想いの上で成り立っているのかもしれません。

それぞれで趣味・思考が違うように、”美”に対しても、その想いは人それぞれなのかも。ただ、自然体であるのが一番美しいと思います。肩の力を抜いた何気ない動きや仕草などが、その人の考え方や生き方を反映していて、そこからにじみ出る個性と美意識が、人を魅了するのではないかと。

”美”を意識することは、皆を幸せに、そして華やかにしてくれるのではないかと思うのです。

高田 賢三

デザイナー。 1939年 兵庫県生まれ。文化服装学院で服飾デザインを学び、'60年第8回装苑賞受賞。その後'64年に渡仏。 1970年 パリにブティックを開き“JUNGLE JAP”として初コレクションを発表。パリの伝統...

Latest Article