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小林麻央さんが教えてくれた、自ら人を愛することの豊穣

乳がんと闘病していた小林麻央さんが2017年6月22日夜、帰らぬ人となりました。夫、市川海老蔵さんへ、麻央さんが最期の瞬間に伝えた言葉は「愛してる」だったと海老蔵さんは会見で、涙を流しながら語りました。夫の海老蔵さん、ふたりの子供たちへ、常にたくさんの愛情をもって接した麻央さんの生き様から、私たちが学べることは――。

小林麻央さんが教えてくれた、自ら人を愛することの豊穣

■ガンと闘いながら、誇りを持って生ききった小林麻央さん

歌舞伎役者・市川海老蔵さんの妻でフリーキャスターの小林麻央さんが亡くなられました。享年34歳。乳ガン発覚から2年8カ月。痛み、苦しみに耐えて治療を続けてこられましたが、6月22日夜、ご家族に看取られ、帰らぬ人となりました。



昨年6月、夫・海老蔵さんが記者会見を開き、麻央さんがガン乳ガンの治療中であることを公にされてから3カ月後。2016年9月に開設された麻央さんのブログ「KOKORO.」の更新回数は、352回にも及びました。

ガンの転移といった厳しい状況も含め、闘病の経緯がつつみ隠すことなく綴られたブログは広く共感を集め、読者数は250万人を超えていたといいます。

つらい闘病の日々を過ごしながらも常に前を向き、顔をあげて進もうとする麻央さんの明るさ、強さは、ガンと闘う患者の皆さんばかりではなく、多くの人々を励まし続けました。



病は、いつ誰を襲ってくるかわかりません。先端医療を駆使しても根治のかなわない重病も、いまだ無数にあります。けれども、たとえ病に体の自由は奪われても、こころに病巣を巣くわせはしない。いつどのような苦境にあるときも誇りを抱き、自分らしさを貫いて生ききる。

352回更新された麻央さんのブログは、「人の人たる尊厳とはなにか」を、わたしたちに示し続けてくれたように思います。

■麻央さん最期の言葉は、海老蔵さんへ「愛してる」

麻央さんが旅立ち一夜明けた、今日6月23日午後。ご主人である市川海老蔵さんの会見が開かれました。そこで海老蔵さんが語った麻央さんの最期は、次のようなものでした。



ご両親、姉の小林麻耶さん、お子さんの麗禾(れいか)ちゃん、勸玄(かんげん)くんなどのご家族に囲まれた中、麻央さんの顔をのぞきこんだ海老蔵さんの目を見つめ、「愛してる」と言い遺して、麻央さんは息を引き取ったというのです。



それまで気丈にふるまっていた海老蔵さんは、ここまで話すと堰が切れたようにぽろぽろと、大粒の涙をこぼしました。3年近い闘病の日々を支え続けた末、迎えてしまった別離の瞬間に、最愛の妻から贈られた言葉が「愛してる」──。

命の灯が消えるその瞬間、最期の力をふりしぼり夫に愛を伝えた小林麻央さんの人生は、34年という短さとは裏腹に、なんと限りなく豊かなものであったことでしょうか。

■自ら愛することの素晴らしさを、麻央さんは私たちに示してくれた

その豊かさは、魂のすべてを賭けて愛せる人に出会えたからこそ得られた豊かさ。麻央さんがそこまで愛せる人に出会えた理由は、彼女が「愛されようとするよりも、自ら愛する人であったから」なのだと、わたしには思えてなりません。



人は往々にして、「自分を愛してくれる人がほしい」「もっと愛されたい」「大切にされたい」と願ってしまいますね。それは誰もが抱く、ごく自然な願いであるはず。

けれどもしかすると、愛されることよりもさらに豊かに自分を満たしてくれるものが「愛する」という行為なのかもしれない。その対象は、特別な誰かに限る必要などなくて、自分の周りにいてくれる人、あるいはネット越しであってもつながることのできた人のすべてでさえあったり。



わたしたち女性の内に息づく母性とは、本来こんなにも無限の豊かさを秘めているのだということ。愛し尽くすことこそ、与えられた命を輝いて生ききることなのだと、麻央さんの生きざまが語りかけてくれているような気がしてなりません。皆さんはどう思われるでしょうか──。


最後に、最期まで前向きに、美しく生きた小林麻央さんへ。心から、ご冥福をお祈り申し上げます。

湯木 景子

各女性誌ライター、広告プランナーとしての豊富な経験をもとに、女性が人生をより楽しく生き、魅力を磨くためのコンテンツをお届けしています。

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