常に華やかな気持ちでいること。そうすれば新たな出会いが舞い込む【高田賢三】

常に華やかな気持ちでいること。そうすれば新たな出会いが舞い込む【高田賢三】

パリ在住の世界的ファッションデザイナー、高田賢三さんによる連載。「華やか×◯◯」をテーマに毎月1本コラムをお届けします。第7回は「華やか×仕事」でその思いを綴っていただきました。


1999年10月、パリで自分のブランドを立ち上げて30年目。そして60歳。2000年
を迎えるのを機に自分のブランドから離れる決意をした。ある意味で新しい第一歩の始まりだった。

ブランドとして関わる最後のショーはパリの郊外のゼニットという3000人強が入れるコンサートホールで開催した。前半は新作のコレクション、後半は自身が30年間手がけてきたコレクションの集大成を披露。後半のコレクションでは、お世話になった方々に出演してもらった。海外から僕の最後のショーのために駆けつけてくれたモデルや友人。300点ほどの作品を皆、想いを込めて着てくれた。嬉しかった。僕らしく楽しく締めくくりができたのも本当に周りの友人がいたからだと、心から感謝の気持ちでいっぱいになった。

その後、その年末にほぼ毎年クリスマスバカンスを過ごすプーケットに友人たちと行き、楽しい時間を過ごした。新年を迎え、一人二人と仕事に戻っていく友人たちを送り出した。

最初は、仕事も一段落して、ほっとした気持ちだったが、日に日に不安になってきた。
自分はこれから何をしたらよいのか? 何をしようか? 忙しい毎日を送っている最中の
バカンスとはちょっと違う感覚があった。

■時間がたっぷりできたとき、自分磨きに励んだ

パリに戻ってからは、たっぷりある空白の時間を埋めていくかのように、あらためてフランス語や絵画、まったくできなかったコンピュータの操作方法、フラメンコなどを習った。一日のスケジュールをぎっしり詰めていったのだ。

時間はいっぱいあるのに、何もしないことが怖かったのでしょうね。その反面、再出発に向けて自分磨きに精を出した。

その後、自分自身でブランドを立ち上げてみたが、なかなか難しかった。自分として何ができるのか? そう自問自答する日々を送っていた。

1970年代に自分のブランドを立ち上げたときのアイデンティティが日本・アジアであり、
その国々の伝統・文化を“服”というカタチに落とし込んで評価を受けたときとは少し違うが、この先、世界各国の伝統・文化を継承する取り組みができないか、との思いに到った。

それからは、パリや世界の老舗ブランドとのコラボや、その国々の伝統的なものが次世代に受け継がれていくにはどうすればいいか考え、行動に移した。

■新しいことに挑戦しようとする気持ち、行動が、次なる道を切り拓く

一例としてお話すると、BACCARATとのコラボ。LUMIERES D’ASIE(アジアの光)というテーマで、ブッダや燭台、花器、屏風などを発表した。バカラのクリスタルと和の漆器をコラボさせた作品。ブッダはすべてクリスタルでブッダを飾る台を黒の漆器で制作し、アジアとヨーロッパの融合的な作品を作らせていただいた。光の向きによって輝くクリスタルは何とも妖艶な雰囲気を醸し出していた。

また、これは自分の趣味としてだが、2000年以降、絵画を描き始めました。アクリル画では、オリエンタリズムをテーマに、能面と自画像や、友達のポートレートも描いた。海外からいくつか依頼を受けて、小さい個展も行いましたね。今はあまり描く時間がありませんが。

これらの経験を思い返してみると、さまざまなモノ・コトへの挑戦や、挑戦してみたいという意識、実行に移すことなどが、本当に大切だと思います。

自分自身の気持ちを華やかに持ち続けることが、新たな仕事や人との出会いにつながっているのだと……。



この記事のライター

デザイナー。 1939年 兵庫県生まれ。文化服装学院で服飾デザインを学び、'60年第8回装苑賞受賞。その後'64年に渡仏。 1970年 パリにブティックを開き“JUNGLE JAP”として初コレクションを発表。パリの伝統...

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