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四季の花々は私たちの人生を華やかに彩ってくれる【高田賢三】

毎年桜が咲くのを楽しみにしている高田賢三さん。今年もさまざまな表情の桜と出会いたい、と話す。「花は私たちを夢へ誘い、そして寄り添い、人生を華やかに彩り、演出してくれる存在」と語る高田さんに、華やか×花をテーマに寄稿いただきました。

四季の花々は私たちの人生を華やかに彩ってくれる【高田賢三】

僕たちの生活に密着している花。いろいろなオケージョンで花はとても重要なポジションを占めていると思うのです。

誕生日・結婚式・入学式等のさまざまなお祝い事では花を贈り、そして人が天に召されるときには、花を手向けます。人生の中の重要な節目節目に、あるときは華やかにあるときは静寂に、人の心を伝え届けてくれる。

そして衣・食・住にも花との絆は欠かせません。花を飾るだけでなく、花をまとう、花の香りを楽しむ、花を食すなど、五感を通して僕たちを癒してくれる。

ここまで書いていて、幼少の頃、小学校のテストで花丸をもらったときの嬉しさをふと思い出しました(笑)。花には不思議な力がありますね。

僕の30年間のKENZOブランドでのコレクションには、毎回必ず花のモチーフを使用していました。それは僕が花が好きなこともあるけれど、花が人の気持ちやモチベーションを上げてくれる存在だからなのかもしれません。

■趣のある四季の花々

春の気配とともに、花屋さんには色とりどりの春の花が並ぶ。そして木々もつぼみが大きくなり、そして冬の間は殺風景だった街にも花が咲き始めて、それを目にすると気持ちも一気に華やいでくる。

もちろん四季それぞれの花にも趣がある。桜や芍薬(シャクヤク)やアヤメなどの春の花や、夏に咲くダリア。そして、素朴な野花・ケシの花なども美しい。

今の時期は桜ですね。桜にはいろいろな種類があり、大きく分類すると8種あるらしい。

ヤマザクラは、山の緑の木々の中にアクセントの様に浮かび出て、自然との調和が素晴らしい。ソメイヨシノの夜桜は何ともいえず綺麗で透明感があり、神秘的な雰囲気を醸し出している。枝垂桜も幽玄な魅力がある。

桜は一気に満開になり、あっという間に散り始める。ひらひらと花びらが舞う桜吹雪。地面は桜の絨毯のように花びらが敷き詰められる。最後まで美しく可憐でもあり、桜の魔法に酔いしれてしまいそうだ。

■花は私たちの人生を華やかに彩ってくれる

そして、5月と言えば燕子花。燕子花図がすぐ頭に浮かぶ。

総金地の六曲一双屏風に、鮮烈に描きだされた燕子花(カキツバタ)の群生。花弁のふっくらとした表現が見事である。

尾形光琳の作品の中でも代表作。美しく洗練された画面構成が見事で大好きな作品で圧巻です。ただ、未だにアヤメ科なんだと思いますが、燕子花と菖蒲とアヤメの区別が難しい(笑)。

特に好きな花が芍薬。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」ということわざがある。女性の容姿や立ち振る舞いを花にたとえていると言われていますが、この言葉を聞くとやはり日本女性の奥ゆかしさとしなやかさが目に浮かびますね。凛とした日本女性の心を綴る素敵なたとえだと思います。

今年はとても楽しみにしていることがある。いつも時期を少し逃してしまって、満開の桜を見られないことが多いけれど、4月初旬に日本に戻れることから、思う存分満開の桜を満喫・堪能したいと思っている。今からいろいろな表情の桜との出会いにわくわくしています。

花は私たちを夢へ誘い、そして寄り添い、人生を華やかに彩り、演出してくれる存在だと……。

高田 賢三

デザイナー。 1939年 兵庫県生まれ。文化服装学院で服飾デザインを学び、'60年第8回装苑賞受賞。その後'64年に渡仏。 1970年 パリにブティックを開き“JUNGLE JAP”として初コレクションを発表。パリの伝統...

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